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【石灰化上皮腫】 診断が大切!
2010-09-12 UP! カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより
ときどき遠方から患者さんが来られます。
広島県から来られた26歳の女性です。
左眉毛にしこりがあります。前医で粉瘤と診断されたそうです。
腫瘤は硬く触れ、粉瘤ではなく石灰化上皮腫を疑います。
石灰化上皮腫はトレパンによるくりぬき法は不適です。
4mmの穴では腫瘍が取れきれない、またくり抜きの刺激で検体がぼろぼろになって
しまうからです。
正確な診断があってこそ正しい皮膚腫瘍の治療が可能なのです。
不遜な言い方ですが、粉瘤と石灰化上皮腫を鑑別できる皮膚科医は10人に1人でしょう。
だからこそ皮膚外科学会の存在価値があるのです。
エコー検査です。 腫瘤の表面でエコーが強く反射され後方が無エコーとなっています。
石灰化上皮腫で矛盾しない所見です。
傷跡が目立たなくなるよう眉毛の下縁に沿っての切開でアプローチします。
白色の腫瘤です。きれいに取れましたね。
病理組織は好塩期性の小型円形細胞と好酸性に染まるshadow cell から構成される
石灰化上皮腫の所見です。
広島県ですと福山市の岩崎皮フ科形成外科がお勧めです。
院長の岩崎泰政先生は皮膚外科学会の評議員もしておられます。
全国に皮膚外科の輪が広がるといいですね。