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診療だより

粉瘤

  • 粉瘤 くりぬき法 season 2

    2009-01-16 UP!     カテゴリー:粉瘤, 診療だより

    粉瘤の手術を受けに京都から患者さんが来られました。
    なぜか関東よりは関西方面からの患者さんが多いですね。
     
    左下顎にしこりがあり、商談などで相手の視線をしこりに感じるのがずっと気になっていたようです。

     
    この程度の大きさの粉瘤であればメスによる切除摘出より、くりぬき法による摘出のほうが傷は
    ずっときれいに治ります。
     
    下の写真が皮ふ科SSクリニックの粉瘤くり抜きセットです。
    注射の痛みを最小限に抑えるために29Gマイジェクターを使用しています(写真一番右)。

     
    これがくりぬき法に用いる4mmトレパンです。3mmでは粉瘤の壁が上手く摘出できません。
    4mmを使用するのがコツです。たった1mmの違いが大きいのです。

     
    4mmトレパンで粉瘤のヘソをくり抜きます。くり抜く角度も重要です。
    よい位置でくり抜けば、つまむだけで粉瘤の嚢腫壁が自分から飛び出してきます。

     
    完全に摘出できたかどうかは術中の所見で見当が付きます。
    嚢腫壁がきれいにポップアウトされています。これが本当のくりぬき法です。

     
    嚢腫壁の底をルーペを用いて摘出します。完全に摘出しないと再発します。

     
    摘出後の状態です。創は最終的にニキビ痕くらいの小さな傷となりほとんど目立ちません。

     
    基本的に手術検体は全例を病理組織検査に提出しています。
    病理標本でも嚢腫壁がしっかりと取れているのが確認できました。

     
    1週間後に再診してもらいました。肉芽が十分に盛り上がりとてもいい状態でした。
    わざわざ名古屋まで来た甲斐がありました、と何とも嬉しいお言葉を頂きました。
     
     
    別の患者さんです。右外眼角部のしこりがどんどん大きくなってきたとのこと。
    腫瘤の中央部に黒いヘソがあり粉瘤であることが分かります。

     
    この部位は顔面神経の側頭枝に気をつけなくてはなりません。
    嚢腫壁をぎりぎりで取る「くり抜き法」のほうが安全性が高いのです。

     
    手術して2週間後の状態です。肉芽が盛り上がり上皮化しています。
    1年もするとキズはほとんど分からなくなります。

     
    もし自分の顔に粉瘤ができたらメスで大きくがばっと取るのではなく、くりぬき法で取ってほしいな・・・。
    名古屋の柴田先生に手術して欲しいな・・・。  なんて(笑)。
     
    粉瘤のくりぬき法は慣れない医師が行うと再発することもあります。
    経験豊富な皮膚外科医の執刀を受けることをお勧めします。
     
     
    【大切なお知らせ】
    化膿したことがある粉瘤はくりぬき法はできません。
    粉瘤の袋が周囲組織と癒着してしまうからです。メスでの切除しかできません。
     
    耳の粉瘤もくりぬき法は不適です。
     
    また、現在粉瘤が化膿して赤く腫れている状態なら、お近くの皮膚科で切開排膿処置を
    受けてください。その状態で当院を受診されても手術はできません。
    元の皮膚科で切開してもらい、化膿が落ち着いた後紹介状を持参して来院してください。

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