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ヒアルロン酸注入 -私の考え-
2009-01-25 UP! カテゴリー:ヒアルロン酸, 診療だより
フィラー治療とよばれる注入治療の代表はなんと言ってもヒアルロン酸注入とボトックス注射です。今回はヒアルロン酸注入について私の考えを述べます。
ヒアルロン酸は以前より整形外科領域で関節に注入されるなど安全性が確立している治療です。ヒアルロン酸は注入後6ヶ月くらいで吸収されてきます。吸収されるからこそ安全なのです。
治療のポイントはずばり3つです。
● どの大きさの粒子のヒアルロン酸を選択するか
● どの深さにヒアルロン酸を注入するか
● 注入後のていねいなマッサージ実際の治療を供覧します。
一番多いのがほうれい線と呼ばれる頬部の溝(シワ)です。この溝を目立たなくするためにヒアルロン酸を注入します。年齢、ほうれい線の深さによって使用するヒアルロン酸を選択します。粒子の異なる2つのヒアルロン酸を同時に注入することもあります。このシワは重力が関係するため必ず起きた状態(座位)で注入部位をマーキングします。
私は注入も座位で行います。
開院当初は浅く注入していましたが、現在はやや深くボリュームをつけるように注入しています。これまでの経験からそのほうがシワは目立たなくなります。
矛盾するようですが最初の注入はやや控えめにします。水分を吸って翌日にもっとふくらむからです。1週間後に再診していただき必要に応じてタッチアップ(追加)します。
大切なのは注入後のマッサージです。マッサージに関しては施術者の間で意見が分かれます。私は必ず注入後に口腔内に人差し指を入れ皮膚面を親指でマッサージします。
これによりヒアルロン酸が自然なグラデュエーション(段差)を持った状態で落ち着きます。この操作をしないと後から触ってゴワゴワとした感触がとても気になることがあります。
次の症例です。口角から顎にかけてシワ(マリオネットライン)が深く目立ちます。
注入後の写真です。マリオネットラインはほうれい線よりも治療が難しいとされていますが
ふっくらときれいに修正されています。院長、相変わらずいい仕事していますね(笑)。
口角の横にはジュビダームウルトラ 3、マリオネットラインにはSub Qを注入しました。
もちろんバリバリバリューにマッサージしました。
この2枚の写真を比べて気づくことがありませんか?
ここにヒアルロン酸のプラスα効果が隠されています。ヒアルロン酸注入によってシワが目立たなくなるのはもちろんですが、注入により顔の肌全体がみずみずしく潤います。
注入前後で化粧ののりが全然違いますね。意外と知られていませんが重要なことです。顔全体をアップできないのが残念ですが、この方はヒアルロン酸注入のみでとても若返りました。ヒアルロン酸注入以外の治療は何もしていません。
久しぶりにお会いしたのですが顔全体から幸せオーラが溢れ出ていました。
なんだか私も嬉しかったです。幸せオーラは伝播しますね。
打ち方もとても大切です。右手の小指がポイントです。左手で注入部にほどよいテンションを加え、右手の小指でシリンジ(注射器)の角度を固定します。
閑話休題。
JR名古屋高島屋10階の催会場で「日本の伝統展」が開催されていました。
伊勢型紙のコーナーで達人の手の動きをじっと見ていました。右手の小指に注目してください。この固定が大切なのです。この達人は右手の小指が変形しています。
これぞプロフェッショナルの指です。ここまで到達しないといけない!
院長が珍しく勉強しています。右手に何か持っていますね?
アップです。そうです、ハンドグリップです。
とある方から、ヒアルロン酸注入で定評がある東京のクリニックの先生方はみなこのハンドグリップで指の練習をしていると教えて頂きました。
院長も東急ハンズでさっそく購入しました。ヒアルロン酸注入で圧をかける親指、人差し指、中指をこれで毎日刺激しています!! 意識することがスキルアップのコツです。
1月20日にヒアルロン酸販売会社大手のMENTOR社ヨーロッパ代表のBenoit Girardotさんが皮ふ科SSクリニックを訪問してくれました。フランス人です。
そういえばフランスの大俳優ジャン=ポール・ベルモントに似ていませんか?
院長、何気にハンドグリップでアピールしています(笑)。
ジャン=リュック=ゴダール監督、ジャン=ポール・ベルモント主演の映画「気狂いピエロ」。
これは名作ですよ。ゴダールは映画を芸術の域まで高めたと言われてます。
ヒアルロン酸注入は簡単に見えますが術者の技量によって効果に大きな差がでます。
まだまだヒアルロン酸注入についてお話したいことはたくさんありますがまた次の機会に!
皮ふ科SSクリニックはヒアルロン酸注入にも力を入れています。