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腱膜性眼瞼下垂症 -Sunken eyes-
2010-03-18 UP! カテゴリー:眼瞼下垂, 診療だより
Sunken eyes とは何でしょうか?
動詞 sink (沈む、くぼむ)の過去分詞が sunkenです。
イギリス英語では sunken を形容詞としても用いるようです。
sunken eyes くぼんだ目という意味でしょうか。
腱膜性眼瞼下垂症の患者さんにはsunken eyesを呈している人が多いのです。
下の絵は腱膜性眼瞼下垂症の解剖です。
挙筋腱膜が瞼板からゆるんだり、はずれることで眼瞼下垂が生じます。
眼窩脂肪を被う眼窩隔膜と挙筋筋膜はくっついているため、腱膜性眼瞼下垂症では
眼窩脂肪も眼の奥に引き込まれていきます。これがsunken eyesの原因です。
最近、私が執刀した腱膜性眼瞼下垂症の症例を提示します。
54歳の女性です。眼の開けづらさ、頭痛、左眼の奥の痛みを主訴に来院されました。
上眼瞼のくぼみが著明ですね。
電子カルテから拝借します。MRD が右1mm、左0.5mmと重症な眼瞼下垂症です。
右上眼瞼の挙筋腱膜を前転したところです。上のほうに黄色い眼窩脂肪が見えます。
sunken eyesの強い症例では皮膚縫合の際にこの眼窩脂肪にも糸をかけるのがコツです。
術後1ヶ月半の写真です。
眼の開けづらさはもうありません。頭痛、眼の奥の痛みも消退しました。
sunken eyesも著明に改善しているのが分かりますね。
54歳、人生もう一花咲かせられそうですね。
腱膜性眼瞼下垂症の手術は眼のあけづらさを解消する機能を目的とした手術です。
しかし、結果として上眼瞼の若さも得られることが多いのです。
まさに機能美の追求でもあります。
追記
遺伝的に上眼瞼のくぼみが強い人もいます。脂肪注入などもよいと思います。
残念ですが私は脂肪注入を行っていません。
脂肪注入を希望のかたには岐阜市にある「市田クリニック」さんを紹介しています。
院長の市田正成先生の技量はとても素晴らしいです。