診療だより
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レーザー脱毛
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たかが脱毛、されど脱毛。
2012-05-08 UP! カテゴリー:レーザー脱毛, 診療だより
レーザー脱毛についていろいろと考えさせられます。
メラニンを含有している毛に可視光のレーザーを照射すると、レーザーの熱エネルギーが毛から毛嚢に拡散し、
毛嚢に存在するfollicular stem cell を破壊することで脱毛が生じます。
follicular stem cell は外毛根鞘性の最外層に存在しているので、レーザーの照射時間はある程度長い
ほうがよいのでしょう。
(スキルアップ 皮膚レーザー治療 中外医学社より引用)
メラニンを有している毛のthermal relaxation time は大体40~100msec、表皮は3~10msec、
レーザーによる脱毛のパルス幅(照射時間)は10~50msec が理想的とされています。
このパルス幅では表皮の熱変性の方が強くなるので、表皮を冷却する装置が必要です。
日本で一番普及しているレーザー脱毛はキャンデラ社のGentle LASE でしょう。
たしかによいレーザーです。
このレーザーは波長が755nm、パルス幅は3msecです。
パルス幅がやや短いのが気になります。これではうぶ毛脱毛は難しいのでは?
私はフォトRFによる光脱毛(レーザー脱毛と謳っている先生がいますが大変な間違いです)をしていました。
光脱毛は効果にかなり限界があります。ずっと悩んでいました。
光脱毛(フラッシュランプによる脱毛)で毛のバルジ領域まで光エネルギーを届かせるのは難しい。
皮膚の表層に熱がこもる印象があります。だから熱傷のリスクが高いのです。
葛西健一朗先生、北野幸恵先生にレーザー脱毛をこんこんと教えて頂きました。
関西、関東を代表するこのお二人には今でも深く感謝しています。
葛西先生は言いました。
「オレはどんな毛が来ても、すべて脱毛してやるつもりで脱毛機械を全て入れ替えたんだ。」
その影響でサイノシュアーElite MPX を購入しました。波長は755(Alex)と1064(YAG)nm
Alex、YAGともに0.5~300msec のパルス幅を選択することができます。 これは凄い!
その他の特徴としてYAG⇒Alex、Alex⇒YAGの連続コンビネーション照射が可能。
このMPX(マルチプレックス)照射でYAGの照射痛を軽減することができます。
ワキ、前腕、下腿はAlex、口囲、ビキニラインはYAGを好んで使用しています。
うぶ毛はどうしても熱エネルギーは多く照射しないと効果がありません。
表皮への負担が少ないYAGがより適しています。
光脱毛で効果が無かったワキ脱毛をレーザー脱毛します。(写真は左ワキです)
光脱毛はあくまでも美容器を使った脱毛にすぎません。レーザー脱毛は医療機による脱毛治療です。
美容器と医療機、この違いが分かりますか?
毛に発赤反応が生じ、微妙に毛がポップアウトするくらいがよいです。
毛周囲への発赤がないと効果が弱い、かといって毛が抜けるくらい強く照射するのもまずい。
このさじ加減が脱毛治療では重要ですね。
シミ治療、脱毛治療は結果がはっきりしているので誤魔化しがききません。
これからもリアルな治療を追及します。