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ほくろ治療 今さら思う
2012-10-08 UP! カテゴリー:ほくろ, エルビウムヤグレーザー, 診療だより
エルビウムヤグレーザーを購入して2年以上が経ちました。
炭酸ガスレーザーを使うことはほとんどなくなりました。
血管拡張性肉芽腫、陥入爪で爪甲矯正術を行う時くらいでしょうか。
ほくろ治療で大活躍のエルビウムヤグレーザー。
炭酸ガスレーザーより10倍水分吸収が高いです。 ↓
エルビウムヤグレーザーで組織を削ると焦げません。
水への吸収が10倍だとなぜ焦げない?
北野幸恵先生とこの件についてお話させて頂いた事があります。
この事を追求しているうちにランベルト・ベールの法則にたどり着いたそうです。
ランベルト・ベールの法則とエルビウムヤグレーザーがどう関係あるのか?
分からないまま時間が流れました。
千歳台きたのクリニック(北野 幸恵院長 www.kitanohifukeisei.com )のブログ
皮膚の歳時記にこのことについての説明がありました。
目からうろこが落ちる思いで読みました。
北野先生の快諾を得ましたのでかなり簡略化して書きます。
ランベルト・ベールの法則
法則は対数関数で示されるので割愛します(以前のブログを参照して下さい)。
「吸収係数」と「一定量のエネルギーが減衰する距離」は反比例の関係にある。
この法則から吸収が10倍よいと同じ量の光エネルギーが組織に吸収されるまでに
進む距離は10分の1になります。
エルビウムヤグレーザーはエネルギーが小さいボリュームに凝縮されるので、水分子が
ごく短時間に蒸発し、蒸散します。だから焦げないのです。
これに比べ炭酸ガスレーザーはエネルギーがより大きい組織に分散吸収されるので、
温度上昇が非常に緩やかです。照射を重ねることで周囲組織がじりじりと熱くなり
組織から水がなくなり、「焦げ」が始まるのです。
下の写真のような患者さんがよく来院されます。左頬部の凹み、何か分かりますか?
写真はほくろ治療後です(私が治療したわけではないですよ)。
このようにベテランの美容外科の先生が治療しても陥凹が残ることもあります。
ほくろを目立たなく治療することはあんがい難しいのです。
私の経験では陥凹が残りやすいのはおでこです。
上口部(鼻と唇の間)は治療後に盛り上がることがあるので注意が必要です。
ほくろは広く、なだらかに面として少しずつ削っていくと傷跡が目立ちにくくなります。
ほくろ治療でエルビウムヤグレーザーを好んで使用する理由はそのためです。
ほくろは一太刀で削るのではなく繊細に少しずつ削り取っていく作業に似ています。
彫刻に近いのかもしれません。
このような素敵な建造物も少しずつこつこつと作っていくしかないのです。
(写真はサクラダファミリア 2006.9.12 訪問 )
開業した今でも学問的興味をずっと持ち続け診療に打ち込む北野先生。
いやはや凄いお人だなと、今さらながら感じ入ります。
写真中央が北野幸恵先生(大阪のメディカルU&A セミナーにて)。
東京大学理科Ⅲ類卒業の才色兼備の素敵な先生です。
今回のブログはかなり北野先生のブログを真似しました。私に独創性はあまりないので。
北野先生、快諾して頂きありがとうございます。