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粉瘤 メスか、くり抜きか?
2013-03-24 UP! カテゴリー:粉瘤, 診療だより
顎の粉瘤を2例供覧します。
粉瘤の状態で術式が大きく異なることを理解して下さい。
42歳男性。右顎の粉瘤です。
何回も化膿したそうです。自分でも潰したとのこと。
エコー検査で粉瘤の輪郭は不明瞭、内部エコーも不均一です。
くり抜き法は不適応です。
切開線をデザインします。両端の線は顎のラインです。
広頚筋の筋膜上で切除します。
真皮縫合をきっちりかけて創を盛り上げます。
病理組織検査です。粉瘤はしっかりと取りきれています。
病理組織検査のアップです。嚢腫壁が4つに飛び散っています。
このように飛び散った粉瘤はくりぬき法で取りきることは困難です。
44歳男性。右顎の粉瘤です。マジックで印をつけました。
エコー検査です。両外側陰影があり、嚢腫壁の境界も明瞭です。
4mm トレパンでくりぬき法を行いました。半年程でニキビ痕くらいになります。
病理組織検査です。プロの技ですね。
小さな粉瘤でもその状態によって術式が大きく異なります。
メスよりはくりぬき法のほうが傷はずっと目立たなくなります。
粉瘤は自分でいじらない、気になるようならば化膿する前に病院に行く。
皮膚外科医である私からのメッセージ、伝わったでしょうか。
【注 意】
粉瘤に発赤・腫脹などの炎症所見がある場合は手術の時期ではありません。
なるべく早く地元の病院(皮膚科・形成外科・外科など)を受診してください。