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眼瞼下垂手術における術中調整
2013-07-22 UP! カテゴリー:眼瞼下垂, 診療だより
月刊誌「形成外科」克誠堂出版 7月号を購入。
特集は「眼瞼下垂手術における私の術中調整の工夫」です。
愛知医科大学形成外科、北里大学北里研究所病院形成外科、
東京女子医科大学東医療センター形成外科の3施設から
腱膜性眼瞼下垂手術の術中調整についての報告がありました。
手術デザインのコツ、麻酔はしっかりと量を使うこと、挙筋腱膜を固定
した際には座位で左右を確認、睫毛の向きに注意する、など。
それ程、新しい報告はありませんが、自分の術式を再確認するには
役立ちました。
手術はなんといってもデザインが重要です。
左右差を生じさせないためには、左右の操作を交互に行うのがよいです。
右眼の皮膚を切除した後、眼輪筋を切除します。
すぐに左眼の眼輪筋を切除します。
右眼の眼窩隔膜を切開します。
すぐさま、左眼の眼窩隔膜を切開します。
挙筋腱膜を前転して瞼板に固定します。
挙筋腱膜のどこに糸をかけるか、これがポイントです。
術中にキャリパーで瞼板の幅、筋腱合流部から位置を測定します。
成書には、筋腱合流部から4mm末梢側の挙筋腱膜を瞼板に縫合するように
記載されています。
上の印が筋腱合流部、下の印はそこから4mmの位置です。
この位置で縫えば、ちょうどよいか?
よい場合もあいます。そうでない場合もあります。
結論として、4mmの位置はあくまでも参考にすぎません。
左手で挙筋腱膜を前転して、そのテンションを感じ取りながら、
瞼板と固定します。左手の感覚がとても大切です。
下の図で、左は眼瞼下垂の常態、右は下垂手術をした状態を絵で示しています。
手術により、しっかりとした重瞼ラインができ、睫毛も上を向きます。
腱膜性眼瞼下垂術の調整として以下のようにまとめます。
○ 手術デザインなど測定できるのものを左右正確に測定、デザインする。
○ 手術操作は左右の眼瞼で各ステップごとに交互に行う。
(切除する眼輪筋の量、眼窩隔膜を切開する位置など等しくする)
○ 挙筋腱膜と瞼板の縫合は左手の感覚を研ぎ澄まし、同程度に固定する。
(前転する部位は左右差がでても、左手の感覚を優先する)
果てしない道を追いかけるのが、眼瞼下垂手術の道のりです。
ゆめゆめ慢心しないよう、精進し続けたいものです。