診療だより
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脂肪腫 -切開線と経過-
2014-04-20 UP! カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより
皮膚腫瘍の切開線について、尊敬するK先生にアドバイスを
頂いたことがあります。手術の切開線についてまとめました。
ブログに協力頂いた患者さんに、心より感謝いたします。
これは育てましたね。服の上からでも目立つようです。
エコー検査です。上下の矢印の範囲が腫瘍です。レンズ型の iso density mass。
脂肪腫の所見です。点線が下床ですが、筋膜と癒着しています。脂肪腫も良性腫瘍ですので、自然消退することはありません。
少しずつ大きく育ちます。大きな脂肪腫の場合、肩こりを訴えることも珍しくないです。
気になるようならば、私は手術をお勧めします。
脂肪腫に限らず、皮膚腫瘍は切開デザインが重要です。
日常生活の動きでねじれるせいか、たいていは創が広く目立ちます。
このようにS字型に曲線を描くようなデザインは lazy S 切開と呼ばれます。
私もこのような切開デザインを習ったことがあります。其の利点として、
①観音開きのように皮弁が挙上できるので、術野が広がって操作しやすい。
②S字型の切開創は直線よりも緊張を分散するので、創が目立たなくなる。私の経験では、
S状でもストレートでも術野の広がりに大差はない、むしろ創はS字のほうが
よれるせいか、目立つことがある。私は皮膚の緊張が少なく、よじれが少ない方向へストレート切開します。
腫瘍より、なるべく小さく切開するように心がけています。肩、背中の脂肪腫はたいてい、筋膜と癒着しています。
スタン式モノポーラフォーセップで筋膜と剥離します。
筋膜はperforator が多いので丁寧に止血します。真皮縫合をきっちりと合わせ、皮膚縫合します。
縫合創の長さが脂肪腫より小さいのがわかりますか?手術して1週間、抜糸直後です。
脂肪腫を取るのに、広く剥離するので紫斑が生じています。抜糸後からテーピング指導します。
最低2ヶ月は、続けていただきます。創を目立たなくするのに、テーピングは大切です。
手術1ヵ月後です。
テーピンングの痕が長方形に見えます。創もかなり落ち着いてきました。傷をゼロにするのは不可能ですが、そこそこ目立たなくすることに
こだわっています。女性の肩、背部はイブニングドレスなどで露出する部位ですから。
きれいにしたいですね。脂肪腫の切開ラインと術後の管理、どちらも重要です。