診療だより
カテゴリー一覧
皮膚腫瘍
-
石灰化上皮腫 -粉瘤ではない!-
2014-05-08 UP! カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより
いろいろな皮膚腫瘍の患者さんが、お見えになります。
18歳の高校生。左上腕のしこりです。
(ブログに協力していただき、深謝いたします。)若い人の腕にできる硬いしこり。
皮膚科専門医ならば、確定診断は容易です。このような典型例でも他の皮膚科クリニックで粉瘤と診断され、当院を受診
されることがほとんどです。本当に不思議な現象です。これは典型的な石灰化上皮腫です。
エコー検査です。ぼんやりとしたモザイク状の内部エコー。
後方は無エコー領域が広がります。石灰化上皮腫は粉瘤と同様、毛包系の皮膚腫瘍です。
石灰化上皮腫は粉瘤と異なり、嚢腫壁がありません。石灰化上皮腫にくりぬき法は不適応です。
無理に小さな穴から摘出しようとすると、内容物がぼろぼろと崩れます。
内容物が硬いので擦れて、皮膚が赤い水疱のように見えることがあります。
白いごつごつとした内容物です。崩さないように摘出することがポイントです。
病理組織検査です。好塩基性の小型円形細胞と好酸性のshadow cell から構成される
腫瘍です。石灰化上皮腫の像です。表皮直下に水疱が形成されています。皮膚腫瘍は粉瘤だけではありません。
石灰化上皮腫のような毛包系腫瘍以外に、表皮系、汗腺系、脂腺系、線維組織系、
脂肪組織系、筋組織系、骨・軟骨系、脈管系腫瘍など多種多様です。そのすべてに対応するのが、皮膚外科です。
そこが形成外科との違いであると、私は考えています。全国に、プロフェッショナル意識を持った皮膚外科医が増えるといいですね。