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信州大学方式の「眼瞼下垂手術」
2016-02-08 UP! カテゴリー:眼瞼下垂, 診療だより
「信州大学方式の眼瞼下垂手術」
インターネットでこのような表記をよく見かけます。
私も信州大学方式による眼瞼下垂手術をベースにしています。
広い意味で挙筋前転術に分類されるドクターも多いと思います。
ほんとうにそうでしょうか?
今回はちょっとマニアックなお話です。
眼形成手術カラーアトラス(エルゼビア・ジャパン)より
信州大学方式と呼ばれる術式と類似しています。
眼窩隔膜を切り開き、挙筋腱膜といっしょに前転しています。私も信州大学方式は挙筋腱膜修復術に分類されるような気がします。
挙筋腱膜を瞼板から切り離すことが少ないからです。ちなみにこのカラーアトラスでは挙筋前転の項がありません。
挙筋切除術の項で挙筋腱膜とミュラー筋を結膜から剥がして前転固定します。挙筋腱膜のみミュラー筋から剥がして前転固定する術式も少しだけ触れていますが、
挙筋切除術の項に入っています。形成外科領域での挙筋前転術は、眼科領域では挙筋切除術もしくは挙筋短縮術の項で
ひとくくりにされています。このことが眼瞼下垂手術の分類をややこしくしている一因だと私は考えています。
話は変わりますが、信州大学方式の松尾先生は眼瞼下垂手術でミュラー筋に損傷させる
ことをとても嫌います。ミュラー筋を刺激させると青白核を刺激して、不眠などの症状がでやすいからだそうです。
ダウンタイムが少ないことを売りにした眼の裏からミュラー筋ー挙筋腱膜をタッキングさせる、
いわゆる「切らない眼瞼下垂手術」ああいうのはどうなんでしょうかね?
信州大学方式の眼瞼下垂手術はとてもよい術式だと思います。
眼瞼下垂が重症の人、眼瞼下垂の修正術ではこの術式では限界があるのも事実です。