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粉瘤 本当のくりぬき法
2016-04-08 UP! カテゴリー:粉瘤, 診療だより
久しぶりに粉瘤の話です。
私のブログの影響か、粉瘤(アテローム)をくりぬき法(へそ抜き法)で行う
施設が増えてきたようです。他院で顔の粉瘤をくりぬき法(?)で治療したが再発した。
何とかして欲しい。そんな相談をしばしば受けます。
症例をしっかりと選択して、
正しい「くりぬき法」を行えば、再発することはほとんどありません。今回もブログに協力していただき、ありがとうございます。
28歳の男性の方です。 右頬に立派に育った粉瘤をお持ちです。
私は必ずエコー検査で腫瘍の性状を確認します。
境界明瞭な炎症を生じていない粉瘤の像です。
粉瘤の下では顔面動脈が拍動しています。
この患者さまはSSクリニックを受診する前に名古屋市の総合病院皮膚科を
受診されています。診察を受けた若い女医さんから、メスは傷が残る、くりぬき法は再発するなど
説明を受け、出鼻をくじかれます。要するに手術の自信がなかったのでしょう。
明らかに経験不足です。
「傷が残る」 便利な言葉です。
傷を最小限にする、そして内容を納得してもらうのが医師の仕事です。悩んだ末に当院を受診されました。
この大きさで炎症を生じていない粉瘤ならば、再発する可能性はまずありません。
くりぬき法で内容物を揉みだした後、袋(嚢腫壁)を取り出します。
手術8日後です。
まだ小さな穴が残りますが、あと4日もすれば穴はふさがります。
粉瘤くりぬき法は単純な手技に見えます。
単純だからこそ奥が深いともいえます。
選択するトレパンのサイズ、くりぬく部位・方向などセンスが要求されます。
再発してしまった粉瘤は周囲に瘢痕形成があるので、メスでとらないといけない
こともあります。くりぬき法は再発するから・・・などと言い訳する先生のくりぬき法を
受けるのはいかがなものでしょうか?経験豊富な先生を選ばれるのがいいですね。
【注 意】
粉瘤に発赤・腫脹などの炎症所見がある場合は手術の時期ではありません。
なるべく早く地元の病院(皮膚科・形成外科・外科など)を受診してください。