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粉瘤以外の皮膚腫瘍1 -血管平滑筋腫-
2017-10-13 UP! カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより
顔に生じる頻度が高い皮膚腫瘍の1つが粉瘤です。
顔に膨らみがある腫瘍を何でもかんでも粉瘤と診断する医師が
多いのも事実ですが、それはよくありません。
私たち皮膚外科医は腫瘍を触ることでおおよその診断をつけます。
それから皮膚超音波診断(エコー検査)を行い、さらに診断をしぼりこみます。
粉瘤以外の皮膚腫瘍をシリーズとしてブログに書いていく予定です。
49歳の女性です。
1年前より左上口部のしこりに気づかれました。
近くの皮膚科を受診。様子を見るように言われたそうです。
心配になり別の皮膚科を受診。当院を紹介されました。
左上口部に皮下腫瘤を触れます。(青い線は手術で切開するデザインです)
エコー検査です。内部エコーは等エコーです。粉瘤以外の腫瘍を考えます。
粉瘤以外の充実性腫瘤と診断しました。
くり抜き法で治療することはできません。
青くデザインされた線をメスで切開して腫瘤を摘出します。
腫瘤はぽろりと出てきました。
摘出した検体です。
病理組織検査です。
血管腔、平滑筋細胞の増生があります。血管平滑筋腫Angiomyoma の像です。
手術1週間後の所見です。
今回の手術のポイントは、
①上口部の腫瘤が粉瘤ではないことを読み取ること。
②手術の切開線を口唇縁に一致させること。
腫瘤は完全に摘出できているので再発することはありません。
傷も口唇縁に一致しているので目立ちません。
皮膚腫瘍は鑑別診断できる皮膚科医に相談することをお勧めします。