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粉瘤くり抜き法「三種の神器」 ー玉 番外編ー
2020-06-11 UP! カテゴリー:粉瘤, 診療だより
粉瘤くり抜き法「三種の神器」玉は、超音波診断装置(エコー)だ!
前回、そんなことをお話ししました。
エコーについては、いろいろと思い入れがあるので、触れます。
エコー機器を導入される予定の先生がたの、参考になれば幸いです。
2009年、虎の門病院へ国内留学しました。
その頃のボスは、皮膚外科の大家、大原國章先生でした。
柔軟な頭の持ち主である大原先生は、皮膚科領域でいち早く、
エコー検査の有用性を見抜いていました。
エコー検査は、臨床生理検査部にお願いして、皮膚科医が立ち会う
スタイルでした。(今思えばこれがとてもよかった!)
皮膚癌で腫れたリンパ節の、エコー検査を依頼した事があります。
臨床生理検査部の桑山さんが、このリンパ節は丸く腫れているので、転移の可能性が高いと診断。
リンパ節は転移すると、球形になることを知りました。
これは、CTでは得られない情報ではないか!これはすごい!
この件から、私は、エコーに情熱を持つようになりました(大袈裟な)。
虎の門病院での経験を、論文として発表しました。
ありがたいことに、複数の科で引用されています。
この当時、虎の門病院の臨床生理検査部で使用されていたエコー機器は、
東芝メディカルSSA-380A。
東芝製(現在はキャノンメディカルシステムズ)のエコーは、バランスがよいと思います。
クリニックでエコーを買い替える時、いくつものメーカーの機器をデモさせて頂きました。
各メーカーさま、その節は大変お世話になりました。
私がデモさせて頂いたエコー機器を、順に紹介させてもらいます。
印象はあくまでも、私個人の主観ですのでご容赦ください
①キャンノンメディカルシステムズ(旧東芝)
エコーはバランスがよく、血流画像が特に優れていると、感じました。
エコーの王道かもしれません。
残念なのは、ノート型の小さいタイプが、少ないことです。
②KONICA MINOLTA
コニカミノルタのエコーは、整形外科領域で人気が高いです。
腱、腱周囲病変の画像描出に定評があります。
私事ですが、手掌にできものが生じたので、中日病院手の外科を受診した
ことがあります。
中日病院でも、コニカミノルタのエコーが使われていました。
カタログを拝見すると、プローブにこだわっているようです。
私はSNiBLEをデモしましたが、シャープな画像でした。
③HITACHI
日立製のエコーは、以前から、表在系に定評があり、乳腺外科のドクターが好んで
採用する傾向があります。
組織の固さをカラー画像で処理する、エラストグラフィーのソフトは、HITACHIが
本邦初開発です。HITACHIのエコー機器は2021年3月にFUJIFILMに譲渡されました。
上の写真は、ノート型エコーのNoblusです。
18MHzプローブは粉瘤、脂肪腫など表在系腫瘍の描出が、デモした中で、
最もきれいでした。心が揺らぎました。
④GE Helathcare
今回紹介したエコー機器のなかで、唯一の外資系です。
最終的に私が購入したのは、上の写真(実物)の
GE社のノート型エコーLOGIQ e premiuです。
標準の12MHzプローブの画質は、並みです(GE社さん、ごめんなさい!)。
採用した理由は、なにか?
22MHzの高周波プローブが、つけられるからです。
これは、すごく重要!!
顔の粉瘤画像 12MHzプローブ使用
同じ粉瘤の画像 22MHzプローブ使用
12MHzと22MHzでは、見える世界が違います。
なぜかリンゴが・・・。
小さな皮膚腫瘍の診断には、高周波プローブが、圧倒的に優位なのです。
基本的には、日本製を応援したいので、HITACHI、KONICA MINOLTA社さんらが、
22MHz以上の高周波プローブを作ってくれることを、期待しています。
エコーを購入する予定の先生は、必ずデモしてくださいね。
エコーは、使う先生との相性もありますから。
とりとめのない文章に、最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。