診療だより
カテゴリー一覧
血管腫
-
唇の血管拡張性肉芽腫 -よい治療とは-
2020-08-25 UP! カテゴリー:血管腫, 診療だより
皮膚のできものは、色々な種類があります。
だからこそ、皮膚科専門医が適切に診断する必要性があります。
28歳のご婦人にご協力いただきました。ありがとうございます。
当院を受診する約3か月前より、右下口唇の縁に赤いできものが出現。春日井市の皮膚科で、血管腫か血管拡張性肉芽種と言われ、
液体窒素治療を3回受けました。
赤いできものはどんどん大きくなり、出血するようになりました。
ここに通院していては「ダメだこりゃ」と思ったそうです。
右下口唇の赤いできもの。
3ヵ月という早い臨床経過、できものの外観から血管腫は除外。
血管拡張性肉芽腫を強く考えます。
あえて鑑別するとすれば、無色素性悪性黒色腫。
こやつは怖いやつです。
ダーモスコピー検査で鑑別診断します。
多彩で異常な血管増生像はなく、血管拡張性肉芽腫と診断します。
血管拡張性肉芽腫に液体窒素治療を行うドクターがいますが、
あまりお勧めできません。
痂皮となって摘落すればよいのですが、たいていは刺激で大きく
なります。しばしば表面がびらんして、出血します!
赤いできもののエコー像です。
深部まで血流が増加しています。
出血が怖いですが、炭酸ガスレーザーで削ります。
治療が無事に終了しました。
治療して24日後です。すこし発赤が残りますが治癒しています。
治療前 治療24日後
血管拡張性肉芽腫に液体窒素治療するのは、よくないと考えます。
刺激で大きくなり、びらんを生じて出血する ことが多いからです。
無色素性悪性黒色腫と鑑別できる診断能力、レーザー治療で摘出で
きる技術力があるクリニックを受診してください!
追記
大変申し訳ありませんが、レーザー治療による腫瘍摘出術は皮膚
縫合を伴わないため、保険診療の適応外となります。