診療だより
カテゴリー一覧
粉瘤
-
赤くなった炎症性粉瘤はやっかい!
2021-09-11 UP! カテゴリー:粉瘤, 診療だより
粉瘤は赤くなることがあります。
それが炎症です。
赤く腫れて痛いです。
治療の基本は切開してのドレナージです。
根治術ではなく対処療法が基本です。
時に、炎症性粉瘤に対して、根治術を行うことがあります。
エコー検査で評価します。
今回は54歳の女性のかたにご協力頂きました。
ありがとうございます。
10年前より、右上口部に腫瘤がありましたが、急に腫れて
きたそうです。中央にヘソがあることから粉瘤を考えます。
エコー検査で嚢腫壁がかなり崩れているのがわかります。
上顎骨近くまであるので、かなり深い粉瘤です。
原則としては、切開ドレナージによる応急処置ですね。
顔なので、根治術を狙います。
4mmトレパンでヘソに穴をあけます。膿と内容物がでます。
最後にCyst(袋)をきれいに剥がしとります。
摘出した粉瘤の病理組織検査です。
ヘソの部分がかなり入り組んでいるのがわかります。
嚢腫壁(袋)の底部は口輪筋の近傍まで及んでいます。
手術して19日後です。陥凹を残して上皮化しています。
これから3~6ヵ月かけて傷が目立たなくなっていきます。
炎症性粉瘤を初回から「くりぬき法」で根治しました。
初回に切開排膿して、二期的に根治術を予定すると、患部が瘢痕で
硬くなっているのでメスでの摘出になります。
顔に大きな傷を作るのはいただけません。
今回は上手く行きましたが、できない症例もあります。
蛇足ですが抗生剤のみ処方する医師は問題外です。
炎症性粉瘤の病態を理解していないからです。