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エクリン汗嚢腫 ーその3ー
2024-07-03 UP! カテゴリー:ボトックス, 診療だより
おなじ投稿を失礼します。
最近、暑くなってきたせいかエクリン汗嚢腫
の患者さまが多いです。
たいていは汗管腫と誤診されますね。
エクリン汗嚢腫を診断できるドクターは
少ないですね(涙)。
診断に悩んだ時は皮膚生検するといいのですが、
多くのドクターはそれすらもやりません(怒)
生検とは丸い円筒状のメス(トレパン)を使って
皮膚を一部採取することです。
私は2mmトレパンを好んで用います。
さあ、この女性の診断は?
生検の実際です。
1つだけ検査すると取りこぼしがあることが
あるので、通常は複数個検査します。
検査した穴は縫合しなくてもいいですが、
私は6-0白ナイロンで一針縫合します。
1週間後に抜糸します。当日より入浴できます。
病理組織検査です。エクリン汗嚢腫の像です。
エクリン汗嚢腫は中年以降、特に更年期世代の女性の
顔にできやすく、真皮内のエクリン汗腺が大きくなり
袋状の嚢腫を形成することで起こります。
汗をかきやすい時期にでき始め、症状が徐々にひどく
なることがあります。原因は不明です。
1つずつレーザーで焼くのもありですが、顔中に無数
に生じるので、当院では負担が少ないボトックス治療
を第一選択としています。
治療前 ボトックス治療後
たくさん注射すると痛いので、麻酔クリームと
笑気麻酔を併用することもあります。
マイクロボトックス(Intradermal microbotox)
と呼ばれる手法です。
エクリン汗嚢腫の数にもよりますが、ボトックスは
割と多く30単位~60単位使用します。
おまけの効能として、毛穴の引き締め、毛穴からの
汗や皮脂の減少が期待できます。
注意点として、
下眼瞼の内側に注射しすぎると眼が綴じにくい、
上口部の外側では口が閉めづらいなどの訴えがあります。
解剖学的な筋層の走行を考えて処置しています。
夏前から夏に年1回の治療でよいのではないでしょうか。
「中年期以降、暑い時期に急に顔でにぷつぷつが出て、
涼しくなると目立たなくなる」
そんな症状でお悩みの方は遠慮なくご相談ください!