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粉瘤くり抜き法「三種の神器」 ー剣 番外編ー
2020-06-15 UP! カテゴリー:粉瘤, 診療だより
三種の神器、剣(つるぎ)の番外編です。
な、なんと「三種の神器」草薙剣(くさなぎのつるぎ)は名古屋にあります!
熱田神宮(名古屋市熱田区神宮1丁目1-1)
姉の天照大神(あまてらすおおみかみ)の高天原(たかまがはら)で乱行を
働いて出雲に追放されたスサノオ。
そこで出会ったのが老夫婦とその娘・稲田姫命(くしなだひめのみこと)。
老夫婦から、娘がヤマタノオロチに食われてしまうこと聞いたスサノオは、
娘を嫁にもらう約束でヤマタノオロチを退治。
その時に大蛇の尾から見つかったのが草薙剣だとか。
三種の神器「剣」のイメージ画像です。
粉瘤くり抜き法での「三種の神器」剣が剪刃であることは前回
お話しました。
実は剣であるスプリング式剪刃を私は3種類用意しています。
顔、体、四肢など粉瘤が生じた部位によってスプリング式剪刃を
使い分けています。
これぞ professional ではありませんか!
手術器具にこだわることはよい手術をするのにとても大切です。
粉瘤くり抜き法「三種の神器」鏡・玉・剣の三篇でした。
長いことお付き合いくださりありがとうございました。
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粉瘤くり抜き法「三種の神器」 ー剣(つるぎ)ー
2020-06-15 UP! カテゴリー:粉瘤, 診療だより
あっという間に、最後になりました。
さびしいです・・・。
粉瘤くり抜き法「三種の神器」、最後は剣(つるぎ)です。
「くり抜き法」における剣は剪刃(せんとう)です。
剪刃は手術用のハサミのことです。
開業当初は写真上の眼科剪刃、3年目から写真中央のアイリス剪刃、
現在は写真下のスプリング式剪刃を使用しています。
それぞれの剪刃に良さがあります。
が、粉瘤のヘソ周囲は袋が入り組んでいることがあり、
刃先が薄いほうが手術には有利です。
眼科用のスプリング式剪刃は刃先が薄く、切れ味もよいです。
今回は40歳代女性のかたにご協力いただきました。
ありがとうございます。
数年前から右肩にできものがあります。
皮膚に穴があいており、見た目も気になると。
エコー検査です。
臨床的に粉瘤を考えますが、エコーでは無エコー領域が出現。
内容物がかなり硬くなっていることが疑われます。
4mmでくり抜きます。
スプリング式剪刃で袋を皮膚から上手に剥がします。
黒いかたまりがでてきました。
やはりスプリング式剪刃で切除摘出します。
粉瘤の袋を取り出しました。
病理組織所見です。ヘソの入り口部分。
黒いかたまり部分。
粉瘤の袋はきれいに全部とれています。
ヘソ入り口の病理所見を拡大します。
袋のヘソ部分は重層扁平上皮が複雑に入り組んでいます。
粉瘤くり抜き法による再発はヘソ周囲が多い気がします。
ヘソ周囲をいかに適切に取りきるか!
だから切れ味がよく、刃先が細いスプリング式剪刃がよいのです!
何事もそうですが、
本気で手術するのならば、ここまで極めないといけません。
大学院生のアルバイト医者が、バイト先の診察室で見よう見真似で行う
くり抜き法は、くり抜き法もどきです。
再発がとても多い!
本物のくり抜き法を希望される人は、お気軽にご連絡ください。
最近は自費ですることが多くて、申し訳ありません。
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粉瘤くり抜き法「三種の神器」 ー玉 番外編ー
2020-06-11 UP! カテゴリー:粉瘤, 診療だより
粉瘤くり抜き法「三種の神器」玉は、超音波診断装置(エコー)だ!
前回、そんなことをお話ししました。
エコーについては、いろいろと思い入れがあるので、触れます。
エコー機器を導入される予定の先生がたの、参考になれば幸いです。
2009年、虎の門病院へ国内留学しました。
その頃のボスは、皮膚外科の大家、大原國章先生でした。
柔軟な頭の持ち主である大原先生は、皮膚科領域でいち早く、
エコー検査の有用性を見抜いていました。
エコー検査は、臨床生理検査部にお願いして、皮膚科医が立ち会う
スタイルでした。(今思えばこれがとてもよかった!)
皮膚癌で腫れたリンパ節の、エコー検査を依頼した事があります。
臨床生理検査部の桑山さんが、このリンパ節は丸く腫れているので、転移の可能性が高いと診断。
リンパ節は転移すると、球形になることを知りました。
これは、CTでは得られない情報ではないか!これはすごい!
この件から、私は、エコーに情熱を持つようになりました(大袈裟な)。
虎の門病院での経験を、論文として発表しました。
ありがたいことに、複数の科で引用されています。
この当時、虎の門病院の臨床生理検査部で使用されていたエコー機器は、
東芝メディカルSSA-380A。
東芝製(現在はキャノンメディカルシステムズ)のエコーは、バランスがよいと思います。
クリニックでエコーを買い替える時、いくつものメーカーの機器をデモさせて頂きました。
各メーカーさま、その節は大変お世話になりました。
私がデモさせて頂いたエコー機器を、順に紹介させてもらいます。
印象はあくまでも、私個人の主観ですのでご容赦ください
①キャンノンメディカルシステムズ(旧東芝)
エコーはバランスがよく、血流画像が特に優れていると、感じました。
エコーの王道かもしれません。
残念なのは、ノート型の小さいタイプが、少ないことです。
②KONICA MINOLTA
コニカミノルタのエコーは、整形外科領域で人気が高いです。
腱、腱周囲病変の画像描出に定評があります。
私事ですが、手掌にできものが生じたので、中日病院手の外科を受診した
ことがあります。
中日病院でも、コニカミノルタのエコーが使われていました。
カタログを拝見すると、プローブにこだわっているようです。
私はSNiBLEをデモしましたが、シャープな画像でした。
③HITACHI
日立製のエコーは、以前から、表在系に定評があり、乳腺外科のドクターが好んで
採用する傾向があります。
組織の固さをカラー画像で処理する、エラストグラフィーのソフトは、HITACHIが
本邦初開発です。HITACHIのエコー機器は2021年3月にFUJIFILMに譲渡されました。
上の写真は、ノート型エコーのNoblusです。
18MHzプローブは粉瘤、脂肪腫など表在系腫瘍の描出が、デモした中で、
最もきれいでした。心が揺らぎました。
④GE Helathcare
今回紹介したエコー機器のなかで、唯一の外資系です。
最終的に私が購入したのは、上の写真(実物)の
GE社のノート型エコーLOGIQ e premiuです。
標準の12MHzプローブの画質は、並みです(GE社さん、ごめんなさい!)。
採用した理由は、なにか?
22MHzの高周波プローブが、つけられるからです。
これは、すごく重要!!
顔の粉瘤画像 12MHzプローブ使用
同じ粉瘤の画像 22MHzプローブ使用
12MHzと22MHzでは、見える世界が違います。
なぜかリンゴが・・・。
小さな皮膚腫瘍の診断には、高周波プローブが、圧倒的に優位なのです。
基本的には、日本製を応援したいので、HITACHI、KONICA MINOLTA社さんらが、
22MHz以上の高周波プローブを作ってくれることを、期待しています。
エコーを購入する予定の先生は、必ずデモしてくださいね。
エコーは、使う先生との相性もありますから。
とりとめのない文章に、最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。
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粉瘤くり抜き法 「三種の神器」 ー玉ー
2020-06-10 UP! カテゴリー:粉瘤, 診療だより
さあ、玉(たま)です。
今回は、三種の神器の二番目です。
くり抜き法「三種の神器」の玉は、超音波診断装置だと、考えています。
皮膚腫瘍は、圧倒的に粉瘤が多いですが、もちろんそれ以外の
皮膚腫瘍もあります。
皮膚線維腫、皮膚混合腫瘍、石灰化上皮腫、血管平滑筋腫、神経鞘腫など。
いずれも他院で粉瘤と診断され、当院を受診した疾患群です。
今回は、55才の女性にご協力いただきました。
みなさまの善意で、このブログは支えられています。
診察時のエコー検査がいかに大切かを、全力でお話します。
55才女性、左鼻翼周囲のできものです。
できものが大きくなり心配になり、F医科大学附属病院を受診。
最初は皮膚科を受診。
エコー検査、MRI画像検査を受け、粉瘤を疑われたそうです。
なるべく傷を残したくない旨を、伝えたところ、同病院形成外科を紹介されました。
形成外科の先生も、いろいろと熱心に考えられたようです。
口腔内からのアプローチもあるが、粉瘤は皮膚と連続しているので、
難しいかもと。
形成外科の先生が悩まれる気持ちも、よくわかります。
さあ、ここからが本番。
SSクリニックを受診したときの、エコー検査を供覧します。
12MHzのエコー画像です。
正直、この画像では、皮膚腫瘍を粉瘤と確定するのが、難しいです。
腫瘍が下の筋層と接しているので、嚢胞性病変に特徴的な外側陰影、
底面後方エコー増強が、わかりづらい。
22MHzのエコー画像です。
あっ、上方に、ヘソに対応したりんごのツルに似た構造が、見えます!
これが、高周波プローブの威力です。
これで、腫瘍は粉瘤と、診断できます。
この時点で、MRI画像検査は不必要ですからね。
なるべく傷を残したくない、という患者さんのリクエストに沿います。
傷を残したくないのは、術者の私も同じです。
3mmの穴をあけ、袋を底から全部取り切ります。
(傷を小さくしたかったので、4mmではなく、あえて3mmトレパンを選択しました)
袋はなかなか深く、上唇挙筋に癒着していました。
病理組織検査。袋の入り口の所見です。
エコーで、リンゴの果梗にあたる粉瘤のヘソ部分は、病理組織を見ると、
アメーバのように袋が、発達しているのがわかります。
アメーバの部分を取り残すと、粉瘤は再発します。
エコーで袋の形態の目星をつけ、無影灯で視野を明るくして、特殊な医療ハサミ
(三種の神器 剣)で、しっかり取ることが肝要です。
剣(つるぎ)に関しては、次回のブログでね!
手術して、2週間が経過しました。
少し、陥凹が目立つ時期ですが、半年もすれば、目立たなくなります。
結果として、患者さんには、とても満足してもらいました。
いつも思うのですが、
皮膚腫瘍の専門家は、形成外科医ではなくて皮膚科医です!
普段から、病理組織検査を見慣れている皮膚科医は、どうしたら
最少のダメージで、腫瘍が取り切れるかを考えています。
皮膚癌もそうですね。
問題は、安直に形成外科医に投げ出してしまう皮膚科医が、多いこと
です。それは、大学病院レベルでもあることです。
まあ、愚痴はこのくらいにして。
現在の超音波診断装置(エコー)は、とても優れています。
これから購入する先生は、22MHz以上の高周波プローブが使用できる
機種を、選んでください。得られる画像が、段違いですから。
粉瘤くり抜き法「三種の神器」玉=超音波診断装置でした!
ここだけの話ですが、
エコーもないような施設で、皮膚腫瘍の手術は、受けないほうがいいですよ。
皮膚腫瘍の手術は、術前の万全の準備で、結果が半分以上きまりますから。
今回は、少し毒舌ブログでした。すみません。
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粉瘤くり抜き法「三種の神器」 -鏡その2-
2020-06-08 UP! カテゴリー:粉瘤, 診療だより
さあ、三種の神器、「鏡」の続きです。
もう一つは、医療ルーペです。
SSクリニックでの三種の神器「鏡」は、無影灯と医療ルーペです。
医療ルーペと言えば、医龍の朝田ドクター、ドクターXの大門未知子が
手術中に装着していましたね。
美男美女が着用すると、ほんとうにさまになります。
今回ブログに協力頂いたのは49歳の男性です。
深くお礼申し上げます。
10年前からある、左後頚部の粉瘤です。
どんどん育ってきたそうです。
これだけ育った粉瘤を、メスで切除して縫い縮めると、かなり大きな
傷跡が残ってしまいます。
男性でも、それは嫌ですね。
エコー検査で、袋はきれいな状態。 くり抜き法の適応です。
くり抜き法で、袋の内容物を揉み出します。
袋を完全に摘出します。
袋は、穴をあけた入り口に残ることがあるので、ルーペをつけて
しっかり観察します。
袋を疑う組織があれば、必ず追加切除します。
袋が完全に取れました!
病理組織検査像です。粉瘤の入り口です。
粉瘤の底部分です。
手術してから2週間が経過。穴はほぼふさがりました。
最終的には、ニキビ痕くらいの傷で落ち着きます。
小さな穴で粉瘤の袋を取りきるには、無影灯で明るい視野を
確保すること、医療ルーペで術野を拡大することが、とても大切です。
医療ルーペは、ずいぶん浮気をしてきました。
遍歴を時系列に紹介します。
メディカルU&A社のスポーティーなルーペ。
アディダスのロゴがお洒落ですね。
聖心美容外科札幌院の前多一彦先生愛用のDr.Kim
美容外科医の間で人気が高いサージテル。
最後に行き着いたのが、PENTAX (HOYA) 3倍ルーペ。
レンズの数が多いので、視野が広く明るいのが特徴です。
ルーペだけで、かるく100万円以上を投資してきました。
いい手術をするためです!
私が行うくり抜き法は、日々進化しています。
より小さな穴で、再発させないことを目標としています。
自費で行うことが多いですが、それだけの価値は十二分にあります。
三種の神器「鏡」その2=医療ルーペでした。
次回は三種の神器、「玉」=皮膚超音波機器を紹介します!
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粉瘤くり抜き法「三種の神器」 -鏡その1ー
2020-06-06 UP! カテゴリー:粉瘤, 診療だより
だいぶ普及してきましたね。
えっ、なんのことか?
そう、「粉瘤くり抜き法」のことです。
SSクリニックの柴田がブログ、学会、書籍で全国に普及させました(?)
若い先生がたもチャレンジしているようです。
それ自体は喜ばしいことです。
名古屋では粉瘤くり抜き法に手を出す美容外科医が増えています。
なぜか再発が多いですね (涙)
再発が多い美容外科に電話して病理組織標本の件で問い合わせした
ことがあります。
標本は自分の目では見ていないのでよくわからないと・・・
そりゃあ、だめでしょう。
手術がまったくフィードバックできていない。
だから再発を繰り返すのでしょう。
粉瘤といえど患者さんにとっては自分の体をあずける大切な手術。
執刀医は万全の体制で手術に取り組むで欲しいですね。
「粉瘤くり抜き法」、簡単なように見えて、実は奥が深い手術です。
私が粉瘤くり抜き法で心がけている三種の神器を紹介します。
絶対、内緒にしてくださいね (笑)
三種の神器とは鏡、剣(つるぎ)、玉(たま)のことです。
今回は鏡について。
粉瘤くり抜き法における鏡は無影灯(むえいとう)です。
手術室で使う大きな灯りです。
私はドイツのベルヒトールド社製を愛用。
多灯式の無影灯が日本では主流ですが、私は上の単灯式が好きです。
光のムラが少ないからです。
粉瘤の袋は皮膚にくっついています。
小さな穴から袋を全部取るには明るい光が必要です。
今回協力いただいたのは46歳の女性です。
この場をお借りして深謝いたします。
頚部の粉瘤です。初診時にはすでに赤くなり炎症を併発。
エコー検査でも粉瘤の袋はぐちゃぐちゃになっています。
(LOGIQe 22MHzプローブ使用)
悩みましたが、その日に緊急手術です。
炎症を生じた粉瘤は袋が周囲と癒着して剥がすのがたいへんです。
袋を少しでも残すと再発します。
無影灯の光であけた穴を360度しっかりと確認。ここがキモです。
時計5時方向に袋の残骸を確認、追加切除します。
摘出した粉瘤の病理組織像です。
これで安心です。
粉瘤はもう再発しないはず。
診察室の簡易ベッドで手術を受けて再発した人が当院に来られます。
再発しない「くり抜き法」手術に無影灯は必須です。
クリニックに1台無影灯、無影灯!
手術室のあるクリニックでくり抜き法を受けられることをお勧めします。
というわけで、今回のテーマがくり抜き法「三種の神器」
鏡=無影灯 でした。
次回はもう一つの鏡、医療ルーペを紹介する予定です。
当医院は『予約制』です。お問い合わせ・診療のご予約はこちら 受付可能時間=診療時間 TEL 052-332-7870
診療時間
当医院は『予約制』です | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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PM 2:00 - PM 4:30 | ☆ | ☆ | ☆ | / | ☆ | ☆ |
PM 5:00 - PM 6:30 | ○ | ○ | ○ | / | ○ | / |
○…通常診療
☆…手術/レーザー治療(フォトRFなど)/ヒアルロン酸/ボトックス治療など