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診療だより

眼瞼下垂の記事一覧

  • 腱膜性眼瞼下垂症 ー術式の変遷ー

    2010-02-14 UP!     カテゴリー:眼瞼下垂, 診療だより

    2010年1月号の月刊誌「形成外科」の特集は眼瞼下垂症の治療戦略でした。
     

     
    高齢者の人口が増加する日本において、加齢による腱膜性眼瞼下垂症の
    注目度が高くなっています。
     
    オンラインショップのAmazonで興味深い本を購入しました。
    久保田先生(帝京大学眼科名誉教授)が書かれた眼瞼下垂の本です。

     
    眼瞼下垂手術の歴史などとても興味深く読ませていただきました。
    眼瞼挙筋前転術の経結膜法であるBlaskovics法から経皮法であるBerke法への変遷。
     
    4,000例を超える著者の手術経験は大変説得力があります。
    著者は経皮法による眼瞼挙筋前転術がより優れていると述べています。
     
    信州大学形成外科の先生から指導を受けた自分としては見解を異にする点もあります。
     
    久保田先生は瞼板側(下側)よりアプローチして、眼瞼挙筋を眼窩脂肪から剥離します。
    また原則として上眼瞼の皮膚は切除しないようです。
     
    私も片側のみの眼瞼下垂症、軽度の腱膜性眼瞼下垂症にはこの術式を選択することがあります。
    手術侵襲が低いからです(下の写真、鑷子で保持しているのが挙筋腱膜です)。

     
     
    ここからが今回のブログの本当の趣旨です。
     
    重症の腱膜性眼瞼下垂症では眼窩隔膜を切り開き、眼窩隔膜と挙筋腱膜を一体として前転させます。
    私はこの術式をご指導して頂きました。
     
    かなり重症の腱膜性眼瞼下垂症の症例を提示します。
    眼窩隔膜と一体に前転した右側の挙筋腱膜です。透けて見えるくらい薄くなっています。

     
    同じ患者さんの左側の挙筋腱膜です。

     
    腱膜性眼瞼下垂症がひどいケースでは、挙筋腱膜が上の写真のように薄く伸びきっています。
     
    これ程までに薄くなった挙筋腱膜をあえて眼窩隔膜から剥離するのは、挙筋腱膜そのものを
    損傷させるリスクがあると思いませんか?
     
    薄くなった挙筋腱膜だからこそ眼窩隔膜と一体化してより強い支持組織として瞼板に再固定する
    のが理にかなっている
    と、強く思います。
     
     
    使用する手術器具も大切です。
     
    挙筋腱膜を優しく扱うために、斜視鉤と鑷子はマイクロアドソンセッシを使用します。
    道具にもこだわってこそ、正しい腱膜性眼瞼下垂手術ができると思っています。

     
    眼科と形成外科とでは眼瞼下垂症手術へのアプローチが異なる点もあります。
    手術症例を重ねる中で、そのギャップを自分なりに埋めていきたいと思うこの頃です。
     
     
    参考文献
    形成外科 克誠堂 Vol.53  2010年1月号
    「眼瞼下垂 」 文光堂 久保田伸枝

  • 眼瞼下垂手術 Life work

    2009-11-28 UP!     カテゴリー:眼瞼下垂, 診療だより

    私のライフワークのひとつが腱膜性眼瞼下垂手術です。
     
    多くは語りません。手術は結果が全てです。
     
    41歳の男性です。私が経験した中でも重症の眼瞼下垂症です。
    日常生活ではアイプチをしています。そうしないと目が開かないのです。
     
    MRDは左右ともマイナス。LFは左右とも 0.2mmです。

     
    かなり重症です。しかし、睫毛と眉毛の距離はそれ程離れていません。
    手術はデザインがとても重要です。この一枚の写真から瞬時にいろいろな情報を得ます。
     
    切開線はgray line より6mm、皮膚の切除幅は7mmにとどめました。
    重症例ですが、この症例では皮膚を切除しすぎないのがポイントです。
     
    専門用語が多くてすみません。私のブログは同門の先生がたも見ていますので。
     
    眼瞼下垂手術において通常は眼窩脂肪は切除しません。しかし今回の症例に限っては
    眼窩脂肪が多いため一部を切除しました。これで上眼瞼もすっきりとします。

     
    術後1ヶ月の写真です。もうアイプチをしなくても目が開きます。

     
    眼を閉じた写真です。創も自然で目立ちません。

     
    術後2ヶ月の写真です。
    手術直後に比べると1mmくらいは戻りますね。手術はやや過矯正でちょうどよいのです。

     
    術後3ヶ月の状態です。目元の表情が柔らかくなって自然な奥二重です。
    手術デザインをしっかり考えるとその人にあった眼瞼の形態に落ち着きます。
    手術はデザインがとても重要なのです。

     
     
    この患者さんが術後に言われました。
    「先生、アイプチを使わなくても目が開くようになりました。頭痛も肩こりもなくなりました。
    一番驚いたのは記憶力がよくなったことですよ。何も忘れないんです。自分でも驚いています。」
     
    眼瞼下垂手術と記憶力。関係はないと思いますが・・・。
     
    この手術からは色々な事に驚かされます。
    頭痛、肩こりがなくなった。足の冷えがなくなった。記憶力がよくなった、などなど。
     
    眼瞼下垂手術で交感神経の過緊張が取れて全身の血流がよくなるせいでしょうか?
     
    まだまだ未知の領域が多い分野です。だからこそやりがいがある手術なのです。

  • 松尾式マイクロ持針器 【眼瞼下垂手術、匠への道】

    2009-08-30 UP!     カテゴリー:眼瞼下垂, 診療だより

    ついに購入しました!
     
    ずっと欲しいと思っていました。
    信州大学形成外科 松尾 清教授が考案した眼瞼下垂手術用の持針器。
    1本 9万円もするのですよ(涙)。
     
    いい手術をするにはいい道具が必要です。弘法、筆を選ぶ、です。
     
    下の写真がロック付マイクロ持針器(フォーメディック社)です。

     
    先端のカーブが何とも魅惑的ですね。

     
     
    眼瞼下垂手術を執刀してつくづく思います。
     
    この手術に1例として同じ症例はない。
     
    眼窩隔膜・挙筋腱膜の厚さ、下横走靭帯の走行、瞼板の固さなど、どれも全例が異なるのです。
     
    奥が深くとてもやりがいのある手術です。
     
    匠への道を歩んで行きたいですね。

  • 腱膜性眼瞼下垂 【手術の手順について】

    2009-06-22 UP!     カテゴリー:眼瞼下垂, 診療だより

    まぶた、開けにくくないですか?
     
    ハードコンタクトレンズの影響か30歳代で当院を受診される腱膜性眼瞼下垂の人が増えています。
    なかには20歳代の方もおられます。
     
    腱膜性眼瞼下垂とはまぶたを挙げる挙筋腱膜と瞼板の結合が緩むことで生じる症状です。
     
    いろいろな術式がありますが挙筋腱膜を瞼板としっかりと固定することが手術の基本です。
     
    眼瞼下垂症の目安としてMRD (margin reflex distance)がよく用いられます。
    これは 角膜反射(黒目の中心)と眼瞼縁の距離のことです。
     

    正常ではこの距離は3.5~4.0mm程度です。軽度の眼瞼下垂では1.5mm前後、中程度では0.5mm前後、
    重症では角膜反射が隠れるためマイナスの値となります。
     
    その他に上眼瞼挙筋機能 LF(前頭筋をブロックした状態で上と下を見てもらい、この間の距離を測定します)、
    挙筋腱膜の評価(睫毛の向き、重瞼の幅の左右差)を参考にします。
     
    私が実際に行っている手術について供覧いたします。
     
     
    52歳の女性です。
    黒目にまぶたがかかっており、目が開けにくそうです。睫毛は下を向いています。
     
    まぶたを挙げるのにおでこの筋肉(前頭筋)を用いるため眉毛は上がり、眉毛と上眼瞼の距離が伸びています。
    眼窩脂肪も引き込まれるため眼窩が陥凹しています。
     
    その他に下垂症でよく見られる慢性的な頭が重い肩こりの症状を併発しています。
    この方のMRD は右 1.0mm 左 0.5mm です。

     
     
    睫毛から5~6mm上でデザインします。皮膚は5mmにしました。
    手術の2時間前に麻酔テープをまぶたに貼ってきてもらい、麻酔の痛みを減らします。

     
     
    皮膚、眼輪筋を切除した後に眼窩隔膜を切開します。眼窩隔膜を切らない術式もあります。
    腱膜性眼瞼下垂症の人の挙筋腱膜はうすくなっていることが多いので切開した眼窩隔膜
    反転させて挙筋腱膜といっしょに前転させています。

     
     
    眼窩隔膜と腱膜の翻転部にある下横走靭帯の内側と外側を切断します。
    この操作を行わないと術後のツッパリ感の原因となることがあります。大切な操作です。
    写真下の剪刃の先端が下横走靭帯を指しています。

     
     
    挙筋腱膜を前転させ、眼窩脂肪をWhitnall靭帯まで剥離します。鑷子先端がWhitnall靭帯です。
    (下の写真は他の患者さんのものを使用しています)

     
     
    眼窩隔膜と挙筋腱膜を前転したところです。斜め外側に走行しているのが分かりますか?

     
     
    6-0プロリンを用いて挙筋腱膜を瞼板に縫合固定します。3点で固定します。
    挙筋腱膜のベクトル方向(やや外側です)に固定するのがポイントです。
     
    中央で固定した後、座位になってもらい眼の開きに左右差がないかを確認します。
    座位で確認することがとても大切です。手間がかかりますが必要不可欠な操作です。

     
     
    手術が終わった直後の写真です。麻酔の影響で腫れていますが、眼がかなり開きました。
    眼力が出ました! 最初の写真と見比べてください。
     
    眉毛と上眼瞼の距離も縮まりました。機能を改善する手術ですが、整容的にも若々しくなることが多いですね。
    また、この方は手術を受けて頭の重さが完全になくなり、肩こりは半分以下にまで減少しました。
    このように頭痛、肩こりが改善される方が多いのも驚きです。

     
     
    院長ブログに載ることを快く了解してくれた患者さま、ありがとうございます。
    手術を受けた方の表情が明るくなり、やってよかったと言われる瞬間が最高です!
    ~
    北澤 健 先生へ
    私にこの素晴らしい術式をおしみなく教えて下さり、言葉では表現できないくらい感謝しています。
    先生のように一例ずつ丁寧に魂を込めて執刀していきたいです。

  • 本当の眼瞼下垂手術

    2009-02-20 UP!     カテゴリー:眼瞼下垂, 診療だより

    織田信長の時代、「人生50年」と言われていました。
    人間の身体は50歳を超えるとあちこちに支障が出てくるものなのでしょう。
     
    眼瞼下垂がまさにその代表ではないでしょうか。
     
    ここで述べる眼瞼下垂は後天性眼瞼下垂のことです。加齢、長期のコンタクトレンズ装用などにより眼瞼挙筋
    (まぶたを持ち上げる筋肉)が弱まることで十分に目が開かない状態となります。
     
    額にシワを寄せたり眉を上げて目を開こうとするので、額にシワが刻まれやすくなる、眉毛が上がる、
    目つきが悪くなるなど整容的な問題も生じます。
     
    信州大学形医学部成外科 松尾 清教授が提唱されるように眼瞼下垂が肩こり、偏頭痛、うつ病、自律神経失調症の
    原因となっている可能性もあります。
     
    眼瞼下垂症の最も有効な治療は手術です。
    瞼板から離開した眼瞼挙筋(挙筋腱膜)を眼窩隔膜とともに瞼板に縫合固定します。
     
    信州大学医学部形成外科 松尾 清教授が提案された松尾式眼瞼下垂手術が有名です。
     
    離れた眼瞼挙筋を瞼板にタッキングするだけの術式が簡易で侵襲も少ないのですが術後の癒着が弱く
    再発率も高いようです(私も以前はこの手技でした)。
     
    M総合病院にて正当な松尾式(信州大学式)眼瞼下垂手術に遭遇させてもらいました。
     
    この病院の形成外科部長の北澤 健先生は信州大学医学部形成外科医局の先生です。
    その高い技術には定評があります。
    全国から患者さんが来られ眼瞼下垂手術は1年以上待たなくてはならないほどです。
     
     
    下の図を参照してください。左図は眼瞼下垂のない状態です。右図は挙筋腱膜(青色)と
    瞼板のゆるみや離開によって、瞼板を挙上する力が低下した状態です。

     
     
    下の図は腱膜性眼瞼下垂の手術(挙筋腱膜前転術)です。眼窩隔膜(紫色)を切開して眼窩脂肪を挙上し
    挙筋腱膜(青色)の状態を調べてこれを適正な位置まで前転します。

     
    前転した挙筋腱膜(一部、眼窩隔膜を含む)を瞼板に縫合固定します。
    理論は簡単なようですが実際の手術には複数のポイントがあります。
     
    切開した眼窩隔膜といっしょに挙筋腱膜を前転したところです(右上眼瞼)。
    白く見えるのが挙筋腱膜です(正確には眼窩隔膜と挙筋腱膜が一体となったもの)。

     
    眼窩脂肪を押し上げてWhitnall 靭帯まで挙筋腱膜を剥離します。
    つっぱりをなくすため下横走靭帯は必ず両端でカットするのがポイントです。
     
    挙筋腱膜を瞼板に縫合固定したところです。
    この状態で座位にして上眼瞼の開きを確認します。左右差があれば固定し直します。

     
    後退していた眼窩脂肪が下がることでsunken eye (眼瞼陥凹)の改善も期待できます。
    いろんな意味で理にかなった術式です。
     
    縫合固定(左上眼瞼)のアップです。原則として2点もしくは3点縫合です。
    眼瞼挙筋は上直筋と連続しており同じベクトル方向に固定するのがポイントです。

     
    写真中央が北澤健先生です。その眼差しは深く澄み切っています。写真左が私です。

     
    信州大学方式は再発率が少なくからとても優れた方法だと思います。
    ミュラー筋の刺激が低下することにより頭痛、肩こりが改善するかたもいます。
     
    医学は絶えず進歩します。我々医師も絶えまぬ努力が必要です。
     
     
    参考文献
    まぶたで健康革命  松尾 清 小学館
    眼科プラクティス 19 外眼部手術と処置  大鹿哲郎 編集 文光堂
    セレクト美容塾・眼瞼 改訂第2版  美容塾 編著 克誠堂
    スキル美容外科手術アトラスⅠ 眼瞼  市田正成 文光堂
    形成外科 50巻記念号 形成外科手術スタンダード30 2007年増刊 克誠堂
    形成外科 特集 上・下眼瞼の除皺術 2003年2月号 克誠堂
    眼瞼学 眼瞼下垂症手術  栗橋克昭 メディカル葵出版

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