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診療だより

診療だよりの記事一覧

  • 高密度焦点式超音波システム -3ヵ月後の経過-

    2016-04-25 UP!     カテゴリー:診療だより, HIFU(フェイスリフト)

     
     以前にもブログの紹介させていただいた患者さまです。
     
     前回は右側のお顔でしたので、今回は左側を供覧します。
     
     67歳の女性です。
     治療前の左横顔です(お化粧なし)。 顎から首のラインを気にされていました。
    画像 56064 B

     

     超音波による引き締め治療(HIFU)を1回のみ行い3ヵ月後です。
    (写真は化粧ありです)
    治療3ヶ月のコピー

     

     比較します。施術前(左)、施術後(右)
    画像 56064 B治療3ヶ月のコピー

     顎から首のラインがすっきりしたのが確認できます。

     友人に久しぶりに会い、顔が小さくなったねと言われたそうです。

     高密度焦点式超音波システム(HIFU)はよい治療だと思います。

     照射中は多少ピリピリしますが、ダウンタイムがほとんどありません。
     超音波が皮膚を通過して脂肪組織、SMASをターゲットにするからです。

     頬のたるみ、顎から首のたるみが気になる方にお勧めの治療です!

  • 粉瘤 本当のくりぬき法

    2016-04-08 UP!     カテゴリー:粉瘤, 診療だより

    久しぶりに粉瘤の話です。

    私のブログの影響か、粉瘤(アテローム)をくりぬき法(へそ抜き法)で行う
    施設が増えてきたようです。

    他院で顔の粉瘤をくりぬき法(?)で治療したが再発した。
    何とかして欲しい。

    そんな相談をしばしば受けます。

    症例をしっかりと選択して、
    正しい「くりぬき法」を行えば、再発することはほとんどありません。

    今回もブログに協力していただき、ありがとうございます。

    28歳の男性の方です。 右頬に立派に育った粉瘤をお持ちです。
    右頬 粉瘤

     

    私は必ずエコー検査で腫瘍の性状を確認します。

    境界明瞭な炎症を生じていない粉瘤の像です。
    粉瘤の下では顔面動脈が拍動しています。
    エコー

     

    この患者さまはSSクリニックを受診する前に名古屋市の総合病院皮膚科を
    受診されています。

    診察を受けた若い女医さんから、メスは傷が残る、くりぬき法は再発するなど
    説明を受け、出鼻をくじかれます。

    要するに手術の自信がなかったのでしょう。

    明らかに経験不足です。

    「傷が残る」 便利な言葉です。
    傷を最小限にする、そして内容を納得してもらうのが医師の仕事です。

    悩んだ末に当院を受診されました。

    この大きさで炎症を生じていない粉瘤ならば、再発する可能性はまずありません。

    くりぬき法で内容物を揉みだした後、袋(嚢腫壁)を取り出します。
    嚢腫壁

     

    袋こそが粉瘤の本質です。袋を傷つけずに完全に摘出します。
    嚢腫壁2

     

    手術8日後です。
    まだ小さな穴が残りますが、あと4日もすれば穴はふさがります。
    Ope 8D

     

    粉瘤くりぬき法は単純な手技に見えます。

    単純だからこそ奥が深いともいえます。

    選択するトレパンのサイズ、くりぬく部位・方向などセンスが要求されます。

    再発してしまった粉瘤は周囲に瘢痕形成があるので、メスでとらないといけない
    こともあります。

    くりぬき法は再発するから・・・などと言い訳する先生のくりぬき法を
    受けるのはいかがなものでしょうか?

    経験豊富な先生を選ばれるのがいいですね。

     
     【注 意】
    粉瘤に発赤・腫脹などの炎症所見がある場合は手術の時期ではありません。
     なるべく早く地元の病院(皮膚科・形成外科・外科など)を受診してください。

  • 高密度焦点式超音波システム -60歳代のたるみ-

    2016-03-08 UP!     カテゴリー:診療だより, HIFU(フェイスリフト)

     加齢によるフェイスラインのたるみ。

     当院でもスレッドリフト(糸によるフェイスリフト)による引き上げなど
     いろいろな治療を提案させていただいています。

     当院で人気のある治療のひとつがHIFUと呼ばれる超音波を利用した
     フェイスラインの引き上げです。

     67歳の女性です。ブログに協力してくださり、心より感謝します。

     治療前の右横顔です(お化粧なし)。
     顎から首のラインを気にされていました。
    画像 56062 B

     

     首から頬までをしっかりと照射するので、お時間は60分ほど要します。

     人によってはSMAS(表在筋膜)への照射で痛みを感じることがあります。
     その際は照射エネルギーを落とすと、痛みは軽減します。

     治療直後です(お化粧なし)。違いがわかりますか?
    画像 56068 B

     

     治療1ヵ月後です(お化粧あり)。
     横顔がずいぶんとすっきりしましたね。
    画像 57150 B

     

     ご友人からは顔がすっきりしたね、と言われたそうです。

     顔の引き締めをしたいが、糸はちょっと恐い。
     そんな人にお勧めの治療です。

  • 信州大学方式の「眼瞼下垂手術」

    2016-02-08 UP!     カテゴリー:眼瞼下垂, 診療だより

     「信州大学方式の眼瞼下垂手術」

     インターネットでこのような表記をよく見かけます。

     私も信州大学方式による眼瞼下垂手術をベースにしています。

     広い意味で挙筋前転術に分類されるドクターも多いと思います。

     ほんとうにそうでしょうか?

     今回はちょっとマニアックなお話です。

     眼形成手術カラーアトラス(エルゼビア・ジャパン)より

     信州大学方式と呼ばれる術式と類似しています。
     眼窩隔膜を切り開き、挙筋腱膜といっしょに前転しています。
    挙筋腱膜修復

     

     この項の見出しです。「挙筋腱膜修復術」となっています。
    挙筋腱膜修復2

     

     私も信州大学方式は挙筋腱膜修復術に分類されるような気がします。
     挙筋腱膜を瞼板から切り離すことが少ないからです。

     ちなみにこのカラーアトラスでは挙筋前転の項がありません。
     挙筋切除術の項で挙筋腱膜とミュラー筋を結膜から剥がして前転固定します。

     挙筋腱膜のみミュラー筋から剥がして前転固定する術式も少しだけ触れていますが、
     挙筋切除術の項に入っています。

     形成外科領域での挙筋前転術は、眼科領域では挙筋切除術もしくは挙筋短縮術の項で
     ひとくくりにされています。

     このことが眼瞼下垂手術の分類をややこしくしている一因だと私は考えています。

     話は変わりますが、信州大学方式の松尾先生は眼瞼下垂手術でミュラー筋に損傷させる
     ことをとても嫌います。

     ミュラー筋を刺激させると青白核を刺激して、不眠などの症状がでやすいからだそうです。

     ダウンタイムが少ないことを売りにした眼の裏からミュラー筋ー挙筋腱膜をタッキングさせる、
     いわゆる「切らない眼瞼下垂手術」

     ああいうのはどうなんでしょうかね?

     信州大学方式の眼瞼下垂手術はとてもよい術式だと思います。
     眼瞼下垂が重症の人、眼瞼下垂の修正術ではこの術式では限界があるのも事実です。

     浜松市でご開業された松尾形成外科・眼瞼クリニックで松尾教授と。すばらしい先生です。
    IMG_6721

  • 眼瞼下垂修正手術  ごめんね?

    2015-11-26 UP!     カテゴリー:眼瞼下垂, 診療だより

     眼瞼下垂の修正手術をずいぶんと手がけてきましたが、
     驚かされることがあります。

     今回は驚きの症例、サブタイトルは「ごめんね」。
     
     ブログにご協力頂いた患者さまに心より感謝いたします。

     51歳の女性です。
     
     名古屋市内の総合病院形成外科で眼瞼下垂手術を3回も
     受けられました。

     
     「3回手術を受けたが、左の瞼がどうしても上がりません」
    術前 開瞼

     
     下を向いた状態の写真です。左の瞼に注目してください。
    術前 閉瞼

     

     ハードコンタクト性眼瞼下垂です。
     「簡単な手術ですよ」と勤務先の形成外科の女医さんに手術を勧められました。

     左眼はまったく改善せず、むしろ瞼が重たくなりました。
     左眼は2回の修正術を含め計3回の手術を受けています。

     修正術は2回とも、皮膚を切除するだけの手術だったそうです。

     結局、左眼は改善されず、
     執刀医の女医さんからは「ごめんね!」ですまされたそうです。

     ごめんね、涙。
     田原俊彦、じゃないよね。

     何度もメスが入っていると、瘢痕で修正術の難易度があがります。

     修正術を引き受けるかどうか悩みましたが、後輩医師からの紹介であったこと、
     患者さんが勤務する病院は、私もご縁があったことより引き受けさせて頂きました。

     前医で皮膚をかなり切られているので、皮膚切除は最小限にします。
     睫毛からの重瞼線の距離が揃うようにデザインします。
    手術デザイン

     

     左眼の手術野です。
     信州大学方式とのふれこみで手術されたそうですが、眼窩隔膜は切開されておらず、
     信州大学方式ではありません。まあ、患者さんにはわかりませんよね。
    挙筋腱膜

     

     瞼板を露出します。おや? 瞼板に糸がない・・・
    瞼板

     

     まさか・・・。
     挙筋腱膜からの糸は瞼板でなく、ミュラー筋に縫合されている。
     これでは瞼は上がりません。むしろ瞼の挙上を妨げています。
    ミュラー筋への糸

     

     ミュラー筋の全層に糸が縫合。結膜だいじょうぶか?
    ミュラー筋奥

     

     執刀医は瞼板に縫合したつもりで、ミュラー筋に縫合したのでしょう。
     どう考えても、これはいただけません。

     瞼板は硬いので、糸を縫いつけるときに抵抗があります。
     この抵抗を感じながら縫合するのが原則です。

     術中に患者さんに聞いてしまいました(ほんとうはいけないことです)。
     なんで、同じ先生に3回も手術してもらったの?

     「勤務先の総合病院に形成外科医は複数いますが、眼瞼下垂手術ができる
      先生はその女医さんだけだったので‥‥」

     ぎゃふん!!

     ミュラー筋に絡まった糸を外すのは大変でしたが、挙筋腱膜をミュラー筋から
     剥離同定して、瞼板へ縫合。

     手術1週間後、抜糸直後です。この時期は腫れています。
     腫れていますが、眼が開けやすいと。
    術後 1W

     

     手術1ヵ月後です。3回も手術を受けているのでまだむくみがあります。
     左眼が開くようになり、嬉しいと。
    術後 開瞼
     

     眼を閉じた状態です。まだ創が赤いですが、半年ほどで消えます。
    術後 閉瞼

     手術前の眼を伏せた写真です。一生このままではお気の毒です。
    術前 閉瞼

     

     写真の見てお分かりのように 眼瞼内部の手術を行うことで、眼を閉じたときの
     傷の状態もずいぶんと改善します。

     いろいろと思うところが多い症例でした。

     ①挙筋腱膜を瞼板に縫合せずに、ミュラー筋に縫合する初歩的なミス。
     ②左眼が開かない理由を深く考えず、皮膚縫合のみを2回も行う安易さ。
     ③眼瞼下垂手術を簡単な手術だからと軽く勧める軽率さ。

     眼瞼下垂手術は簡単ではありません。
     全身全霊をぶつけても、満足していただけないこともあります。

     それにしても、「ごめんね!」ですまされてしまい、患者さんは本当にお気の毒です。。

      眼瞼下垂手術は、修正手術のほうが難易度がずっと上がります。

     普段から修正手術を行っている医師のほうが、初回手術も安心してまかせられる
     のかもしれませんね。
     
     担当医選びだけはくれぐれも慎重にしてください。
     
     眼瞼下垂手術は、つまるところ執刀医のセンスが大きいです。
     総合病院だから安心と考えるのではなく、症例写真などをじっくり検討されるとよいでしょう。

  • 粉瘤 -炎症について-

    2015-11-10 UP!     カテゴリー:粉瘤, 診療だより

    数年ぶりに粉瘤について書きました。

    粉瘤はアテローム、表皮嚢胞などとも呼ばれます。

    表皮が真皮内に下掘れして嚢胞ができると私は習いました。

    粉瘤は毛嚢の非常に浅い部位が狭窄することにより、毛嚢漏斗部が
    拡張して貯留性の嚢胞となるようです。
     (みき先生の皮膚病理診断 ABC ②付属器系病変より)

    粉瘤は放置してよいか? 早期に手術すべきか?

    これは難しい問題ですね。

    放置して粉瘤がなくなることはなく、次第に大きくなります。
    一番やっかいなのは、粉瘤は炎症を生じる頻度が高いことです。

    55歳の女性です。左頚部に小さな粉瘤があります。
    画像 52579

     

    この粉瘤のエコー像です。
    小さな粉瘤では、エコー像も典型像が描出されません。
    下に大きな血管があるのが恐いですね。
    粉瘤 エコー

     

    2mm トレパンを用いたくりぬき法で摘出します。
    画像 52632

     

    摘出した粉瘤の病理組織検査です。

    OLYMPUS DIGITAL CAMERA

     

    拡大像です。

    OLYMPUS DIGITAL CAMERA

     

    粉瘤の袋の下が破れて、中身(ケラチン)が飛び出ているのが分かります。
    ここから異物反応が生じ、強い炎症反応へと移行します。

    粉瘤のへそから細菌感染が始まり、炎症が広がると考えられていました。

    ①赤く炎症を生じた部位が、へそから離れていることが多い。
    ②抗生物質を投与しても、炎症が改善されない。

    上記の2点をしばしば経験します。

    粉瘤の炎症の始まりが、袋からケラチンがこぼれることによる異物反応ならば
    上記2点も納得できます。

    この見解は、第114回日本皮膚科学会総会で大阪医療センター皮膚科の
    為政大幾先生が発表されていました。

    やはり学会には参加して、勉強を続けることは大切です。
    この歳になっても、得るものが多いです。

    粉瘤は積極的に取るべきかどうか?

    なんでもかんでも取る必要はないと思います。
    臭いや見た目などが気になるようなら、取ればいいと考えています。

    顔などは粉瘤が小さくとも、炎症が生じる前に切除したほうがよいでしょうね。

     
     【注 意】
    粉瘤に発赤・腫脹などの炎症所見がある場合は手術の時期ではありません。
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