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皮膚線維腫 -dermatofibroma-
2014-06-29 UP! カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより
臀部、下肢に生じやすい硬いしこり。
皮膚科でホクロと言われたり、粉瘤と診断されます。
見て、触れば診断は簡単なんですけどね。
皮膚線維腫を診断できる皮膚科医はあんがい少ないようです。
今回もブログに協力いただき、ありがとうございます。
45歳の女性です。
数年前より左下腿に褐色のしこりが出現しました。ダーモスコピー診断です。
全体がうろこ状で中央は黄色。辺縁は褐色網目状(pigment network)です。ダーモスコピー画像からも、ホクロ、粉瘤と異なるのは一目瞭然です。
良性腫瘍ですので、放置してよいです。
ときに圧痛、掻痒があり、治療を希望されることがあります。レーザー治療は不適当であり、メスでの切除がよいです。
しばらくテーピングして創の緊張を軽減させます。
お疲れさまでした。ここからが、本題です。
なぜレーザー治療が不適当か?
答えは病理組織検査にあります。
このかたの病理組織検査です。
皮膚線維腫を構成する細胞が、脂肪組織まで及んでいます。しばらく病理の世界へ。
皮膚線維腫は紡錘形細胞より構成されます。細胞密度が高いですね。
皮膚線維腫は脂肪組織まで浸潤・増生していることが多いです。
レーザーで腫瘍細胞を取りきろうとすると、真皮の全層欠損を生じます。
瘢痕になることは必発です。皮膚線維腫は何もせずに放置するか、メスによる切除がよいと思います。
ケナコルト(ステロイド)を局所注射して、隆起が改善したケースもありますが、
十分なエビデンスがありません。皮膚線維腫をしっかりと診断できる皮膚科医に見てもらうことが大切ですね。
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汗管腫 -やっかいなぷつぷつ-
2014-06-19 UP! カテゴリー:エルビウムヤグレーザー, 皮膚腫瘍, 診療だより
眼のまわりにできる白いぷつぷつ。
女性に多いです。
気になって皮膚科を受診しますが、
放って置くしかしょうがない、と言われてお終いです。汗管腫( Syringoma )は確かに治療が難しい。
私ですら、そのように思います。
根治は難しいかもしれませんが、目立たなくすることは可能です。
ブログに協力して頂いた患者さんの治療経過を見ながら、
当院の治療についてお話します。今回は話が長くなりますが、最後までお付き合い下さい。
36歳の男性です。下眼瞼を中心に白色の丘疹が多発しています。
写真は右眼ですが、左眼にもプツプツはあります。
毎朝、顔を見るたびに、とても気になるそうです。汗管腫は女性の眼瞼に好発する小丘疹、エクリン汗管の限局性増殖です。
(皮膚科学 第9版 金芳堂より)以前は炭酸ガスレーザーで丘疹を一つずつ焼灼していました。
熱エネルギーが蓄熱してしまい、治療後に瘢痕を生じることがあります。汗管腫は腫瘍の深さが人によって異なります。
腫瘍の深さを確認することが大切と考えるようになりました。2mm トレパンで生検して、病理組織検査で深さを確認します。
7-0 ナイロンで一針縫合するので、傷は目立ちません。一番下のピンク色の細長い塊が眼輪筋です。
その上にエクリン汗器官の分泌部があります。汗管腫の腫瘍細胞は真皮浅層(乳頭下層)に限局しています。
汗管腫のどんな顔つきをしているか?
索状物、丸い房構造、ドーナツ状構造(中に分泌物)といろいろです。
汗管腫の丘疹1つにこれだけの細胞があります。
汗管腫の治療が難しいのは、これだけの細胞を間引かなくてはならないことです。ホクロのレーザー治療が、母斑細胞すべてを消滅させなくともそこそこの結果になります。
汗管腫の治療も細胞をある程度間引きすれば外観上は目立たなくなります。
ただし、将来的な再発の問題は残ります。無理をして瘢痕を残すほど照射するよりは、傷が残さないように気をつけ、そこそこ
目立たなくすることを私は目指しています。なにを用いるか?
エルビウムヤグレーザーでしょう。組織ダメージが少ないからです。
茄子を照射したところです。蓄熱せずに組織が蒸散するので、照射部位どうしの干渉が
ありません。このことは、丘疹が密に増生する汗管腫の治療に最適です。この方は皮膚生検で汗管腫は浅いところに限局していたので、浅く照射しました。
通常はもう少し深く照射します。照射5日後です。治療して2週間は厳重に閉鎖療法をお願いします。
汗管腫の治療は、治療する医療サイドも患者さんも本気の覚悟が必要です。
照射して1ヶ月が経過しました。淡いピンク色が残りますが、いづれ消退します。
当院の汗管腫の治療戦略をまとめると、
①皮膚生検で汗管腫の深さを確認する。
②病理組織検査の結果を参照にエルビウムヤグレーザーで照射する。
③10日~2週間の閉鎖療法を行う。
*治療は片側ずつ行うことが多いです。いずれ、もっときれいに仕上がった症例をブログで登場させます。
乞うご期待! -
老人性血管腫 -胸元をすっきりと-
2014-06-11 UP! カテゴリー:血管腫, 診療だより
うっとうしい梅雨の季節、元気にお仕事していますか?
SSクリニックは働く女性を応援しています。
最近よく相談を受けるのが、胸元の赤いぷつぷつです。
老人性血管腫、ルビースポット、Cherry angioma などと呼ばれます。
ブログに協力下さり、ありがとうございます。
51歳の女性です。見た目年齢は40歳の素敵な方です。
胸の赤い丘疹が気になると。これから、胸元を露出する衣類を着用する機会が増えます。
なんとなく、赤いぷつぷつが気になるのでしょう。ダーモスコピー写真です。毛細血管の増生からなる良性腫瘍です。
いろいろな治療法があります。
炭酸ガスレーザー、エルビウムヤグレーザー、高周波ラジオ波メス・・・。局所麻酔が不要であり、ダウンタイムが少ない。
ロングパルスヤグレーザーによる治療は皮膚ダメージが少なく、
かなりお勧めできます。照射エネルギーと照射時間がポイントです。
照射時間は長めに設定します。小さすぎる老人性血管腫は反応が良くなく、高周波ラジオ波メスを
併用することがあります。治療3ヶ月後です。すっきりしましたね。
部位によっては色素沈着が残っていますが、いずれ消退します。ここ10数年間の医療機器の進歩はめざましいものがあります。
老人性血管腫がここまできれいに治る時代になりました。
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多血小板血漿療法(PRP) -治療編-
2014-06-05 UP! カテゴリー:W-PRP, 診療だより
口角周囲の細いシワ、マリオネットライン(顎の両外側の溝)を
どのように治療するか?当院では多血小板血漿療法(PRP)を行っています。
百聞は一見にしかず。
60歳代の女性です。左マリオネットラインを気にされています。
この部位にお化粧がつまることが不愉快とのこと。多血小板血漿療法(PRP)を行い、5ヵ月後です。
マリオネットラインがかなり目立たなくなりました。治療してから1年6ヵ月後です。さらに改善しています。
触った感じもとても自然です。ヒアルロン酸注入、スレッドリフト(糸による引き上げ治療)なら、効果がなくなっている
時期です。PRP療法は、注入して1ヵ月後くらいより効果が発現します。
6ヶ月、長い人ですと9ヶ月くらいまで効果が向上します。効果は3年以上継続することも、しばしばあります。
とてもよい治療だと思います。 -
多血小板血漿療法(PRP) -基礎編-
2014-06-05 UP! カテゴリー:W-PRP, 診療だより
開業してから、ずっと多血小板血漿療法に邁進しています。
よりよい条件を求めて、プロトコールを進化し続けています。
採血量は17ml です。これで治療に十分な血小板が採取できます。
遠心条件と血小板回収率について、2010年の日本美容皮膚科学会誌より。
当院では2回遠心分離法を採用しています。
白血球、血小板を含んだ部分を条件を変えて分離します。採血管底の赤い部分に血小板、白血球、極少量の赤血球が凝集しています。
血漿成分を多く取り去ることで、血小板の濃度を上げることは可能です。
血小板の濃度が高いほどよいと言う訳ではないのです。適正な血小板濃度になるよう、血漿を取り去り、ボルテックスで撹拌します。
多血小板血漿(PRP)はパスキンと呼ばれる3本針を用いて、面として注入することも
あります。注入量はほどほどに、注入後のマッサージが治療のポイントです。
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老人性血管腫 -いろいろな治療法-
2014-05-22 UP! カテゴリー:血管腫, 診療だより
胸にできる赤いぷつぷつ。
なぜか、女性に多いようです。
気にされる人は、すごく気にします。ブログに協力して頂き、ありがとうございます。
28歳の女性です。
頚の赤いできものを気にされて受診されました。ダーモスコピー診断です。血管が大きく拡張しています。老人性血管腫の像です。
数年前まで、老人性血管腫を高周波ラジオ波メス(サージトロン)、エルビウムヤグレーザーで 治療していました。
ロングパルスヤグレーザーを導入してからは、こちらも治療に用います。
ロングパルスヤグレーザーで照射しました。治療は一瞬です。黒くなりました。
黒く変化したものをダーモスコピーで確認します。みごとに変化しています。
レーザー照射で熱くなった赤血球が血管壁を破壊します。治療して1ヵ月後です。紅斑が残りますが、かなりすっきりしました。
3ヶ月も経てば、分からなくなるでしょう。本人さんも満足していました。ロングパルスヤグレーザー照射1ヶ月後のダーモスコピー。
大きく拡張した血管は跡形もなく消退しています。頚、胸の老人性血管腫(cherry angioma)は、きれいに治療することが可能です。
以前はエルビウムヤグレーザーで照射していました。
最近の第一選択はロングパルスヤグレーザーです。
これで反応が悪い場合(赤色が変化しない)は、高周波ラジオ波メスで治療します。
治療の選択肢が複数あったほうが、安心、安全、確実です。
胸は肥厚性瘢痕になりやすい部位なので、注意が必要です。
よりよい治療を提供できるよう、がんばります。
当医院は『予約制』です。お問い合わせ・診療のご予約はこちら 受付可能時間=診療時間 TEL 052-332-7870
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○…通常診療
☆…手術/レーザー治療(フォトRFなど)/ヒアルロン酸/ボトックス治療など