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眼瞼下垂手術 -眼瞼の構造-
2012-11-23 UP! カテゴリー:眼瞼下垂, 診療だより
注意!!
かなり生々しい写真がでますので苦手な人は見ないで下さい。
眼瞼下垂手術は眼瞼の構造を変える手術である。
このように考えて手術を行っています。
下図は眼瞼の構造です。
加齢とともに生じる腱膜性眼瞼下垂症は上図の挙筋腱膜が瞼板から外れることが
原因です。
外れる原因としてまぶたの擦りすぎ、ハードコンタクトレンズの長期使用が上げられ
ます。
その他の原因として下横走靭帯の発達も無視できません。
下横走靭帯はまぶたが大きく開くのを邪魔する靭帯です。
眼球を凍傷から守るために私たち祖先が獲得した防衛策の名残りとの説もあります。
(まぶたで健康革命 松尾 清 小学館)
実際の下横走靭帯について供覧します。写真は右眼です。
斜視鉤(直角に曲がったもの)で引っ掛けた白い索状物が下横走靭帯です。
下横走靭帯を切らないと挙筋腱膜はスムーズに前転しません。
両端をカットして腱膜を前転します。
下横走靭帯を切ることは眼瞼の構造を変えることだと私は理解しています。
54歳女性の症例について考えます。
右のまぶたが開けにくいため当院を受診されました。
臨床写真を出すことはできませんが、左まぶたに比べて右まぶたは陥凹して二重のラインも
複数に乱れています。右まぶたは開けるのがつらそうです。
左の挙筋腱膜を前転したところです。比較的きれいな状態です。
右の挙筋腱膜を前転しました。左に比べ右は下横走靭帯がより発達していました。
右の挙筋腱膜が左より薄くなっているのがわかりますか?
下横走靭帯が発達している人は長年の摩擦?(下横走靭帯の下を挙筋腱膜が動きます)
により挙筋腱膜が薄く伸びやくなるのでしょうか。
左の挙筋腱膜を瞼板に固定したところです。
同じように右も固定します。右は左よりやや前転を強くして固定します。
これにより左右差のないきれいな重瞼ラインと眼の縦幅が確保できます。
腱膜性眼瞼下垂の術式は一つだけではありません。
挙筋腱膜を瞼板・結膜からはがして瞼板に再固定する術式にも良さはあります。
下横走靭帯を切開して眼瞼の構造を変える術式は根治性が高く長期的な再発予防の
観点から優れていると思っています。
このあたりについて多数の先生がたと検討していきたいと思っています。 -
美容解剖セミナー 大連にて
2012-11-04 UP! カテゴリー:その他, 診療だより
連休を利用して大連に行ってきました。
私は日本アンチエイジング外科・美容再生研究会(JAAS)の会員です。
第12回 JAAS美容外科解剖・執刀トレーニングに参加しました。
飛行機から見た大連です。建設ラッシュが続いているようです。
大連は都会ですね。行きかう車も高級車が多かったです。
初日は宿泊先のシャングリラホテルの会議室を貸しきっての講義です。
山本 豊塾長が翌日の解剖のポイントを説明します。
2日目はHoffen Bio にて解剖トレーニングを行いました。
寄贈献体の保存状態がとてもよく、眼窩脂肪、挙筋腱膜、下斜筋、大鼻翼軟骨、眼窩下神経、
顔面神経などをじっくりと確認することが出来ました。
特に鼻の解剖はとても興味深く、鼻中隔軟骨、大鼻翼軟骨を詳細に解剖することができたのは
生涯の財産となりました。
眼瞼を専門とする私としてはもっと挙筋腱膜、ミュラー筋をむきむきにして眼瞼挙筋まで追って
いけばよかったな、と後悔もあります。
この解剖トレーニングにはJAASの会員以外に聖心美容外科の先生がたも参加されていました。
鼻の解剖の際にはあっという間に耳介軟骨を2枚に重ねて鼻中隔延長術を行う早業には舌を巻き
ました。手の動きが早くて正確です。見習うところ大でした。
聖心美容外科の先生がたの集中力は凄かった。一心不乱に解剖する姿には驚異すら感じました。
朝から夕方までじっくりとトレーニングしました。記念写真には充実感がみなぎっています。
中央が山本塾長、向かって左が聖心美容外科統括院長の鎌倉先生、その横が私です。
この解剖セミナーを通じて自分の中で何か開眼した気がしてなりません。
本当に得がたい経験をさせてもらいました。JAAS 事務局のみなさん、有難うございました。 -
粉瘤 カリフォルニアの風に吹かれて
2012-11-01 UP! カテゴリー:粉瘤, 診療だより
粉瘤はやり尽くした感があります。
患者さんは52歳の素敵なミセスです。カリフォルニアにお住まいです。
平成24年6月頃から右頬部の膨らみに気づきかれたそうです。
アメリカで3人のドクターの診察を受けられたそうです。
最初のドクターからは腫瘤をよくマッサージするよう指示、そして
次のドクターからは腫瘤を温めるように言われたそうです。
ちなみに診察したドクターは家庭医ではなく皮膚科医だったそうです。
ドクターによって色々な考えがあると思いますが、腫瘤は外科的に切除
するのが最も確実だと私は思います。
腫瘤が大きくなるので心配になり緊急帰国。
初診時の所見です。右鼻翼外側に人差し指頭大のしこり。
腫瘤の拡大写真です。内容物が青灰色に透けて見えます。
皮膚の血管拡張があり、病変の主座が真皮内であることが予測できます。
エコー所見です。黒く丸い塊が腫瘤です。底面後方エコーの増強、両外側陰影があり
粉瘤の所見です。下床に癒着(白くなっている部位)あり?
前医ではエコー検査をしてくれなかったと患者さんから言われることがあります。
エコー検査はあくまで診断の補助であり、診断は触診が最も重要です。
ではなぜ私がエコー検査にこだわるのか?
それは私が粉瘤の治療にくり抜き法を好んで用いるからです。
エコー検査で嚢腫壁に癒着がある場合はくり抜き法ではなくメスによる切除術を
お勧めしています。完全摘出することがより大切だからです。
上記の患者さんも嚢腫壁の底に癒着があり、くり抜き法で完全に摘出できる可能性は
90% くらいと予測しました。
カリフォルニアからはるばる来られた患者さんです。全力で執刀します。
この大きさなら3mmトレパンでもよいですが、エコー所見での
癒着が気になるので4mm トレパンでくり抜きます。しっかりと
粥状物を出し切ることが大切。指の使い方がポイントです。
嚢腫壁がつるりと飛び出してきました。
摘出した検体です。一塊として取りきります。
病理組織標本で確認します。
手術1週間後です。かなり肉芽が盛り上がっていますが陥凹が
残っています。ハイドロコロイドを3~4日貼ってもらいます。
半年もすればニキビ痕くらいに落ち着きます。
その後、患者さんから添付写真とメールを頂きました。
写真では肉芽も盛り上がり順調な経過でした。
これからも多くの方を救って差し上げてください、と有難いコメントを頂戴しました。
はい、がんばります。 -
SSクリニック
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第10回 日本臨床ラジオ波手術研究会学術集会
2012-10-21 UP! カテゴリー:その他, 診療だより
下を向いて神妙な顔をしています。判決を待つ被告人のようです。
何かしでかしたのでしょうか・・・。
そんなわけないでしょう(笑)。
第10回日本臨床ラジオ波手術研究会学術集会に参加してきました。
約30年前に白壁征夫先生(サフォクリニッ院長)がエルマン社のサージトロンをアメリカから
持ち帰り日本でもサージトロンが普及しました。
4.0MHzの高周波ラジオ波メスは、その周波数特性により低侵襲な手術が可能です。
今回の10回記念学術集会は形成外科、産婦人科、整形外科、耳鼻咽喉科、脳神経外科、
皮膚科とさまざまな科のエキスパートが集まり大いに盛り上がりました。
これだけ複数の診療科が一同に集まって行われる学会は他にはないでしょう。
辻 芳之先生(神戸アデベンチスト病院産婦人科)の卵管、卵巣機能に細心の注意を払った腹腔鏡手術、
赤井文治准教授(近畿大学境病院脳神経外科)の神経内視鏡手術による脳室内の髄液内操作、
矢部多加夫先生(都立広尾病院耳鼻咽喉科)の鼓膜切開など科を越えて勉強になること大でした。
私は眼瞼下垂手術、筋層内の脂肪腫などを発表しました。
脂肪腫の多くは皮下脂肪組織内ですが、時に筋層内に局在するものもあります。
下の写真は広背筋を切開して脂肪腫を露出している所見です。
サージトロンを使用することで筋層内脂肪腫の低侵襲手術が可能です。
座長をして下さった日本医科大学武蔵小杉病院形成外科の村上正洋教授、有難うございます。
村上教授は実家が当院の近くということで大いに盛り上がりました。
研究会では素晴らしいドクターと知り合えるのも大きな魅力です。
学術集会では各ドクターが意見を持ち寄りサージトロン電極の開発について話し合いました。
臨床の現場から米国製造メーカーへ希望をフィードバックして商品化する、日本発世界へ!
大変実りある学術集会でした。
ところでDerma No.197 最新号が手元に届きました。
本書の中で「サージトロンによる手術の基本と応用」を執筆しました。
どうやら最近の私はサージトロン贔屓のようですね。
多方面から講演、執筆依頼のお声をかけて頂き、私はどえらい幸せな皮膚科医です。 -
脂肪腫 TWINS
2012-10-18 UP! カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより
脂肪腫のブログは封印していましたが、患者さんから載せて欲しいと
逆指名がありましたので筆を取りました。
41歳の僧侶さん。右肩のしこりが主訴です。
診察の実況中継
私 「しかし、ずいぶんと育てましたね~」
僧侶 「どんどん大きくなってきました。もう限界です。取って欲しいです。」
私 「さすがにここまで大きくなると・・・。」
僧侶 「何とかなりませんか?」
私 「いや~、あんまり大きいのは大学病院とかで手術したほうがよくないですか?」
僧侶 「ホームページでは大きな脂肪腫が取られていました。」
私 「まあ、ホームページだと簡単そうに見えるんですよ。ウソは書いてないですけど。」
僧侶 「ホームページを見てここのクリニックで取ってもらうと決めて来たんです。」
私 「そんな、勝手に決めて来られても・・・。」
僧侶 「・・・。」
禅問答ならぬ、お互いの駆け引きが続きます(笑)。
右肩の脂肪腫の皮膚エコー診断
脂肪腫(白い固まり)の内部エコーは均一。臨床でも皮膚に凹凸はなく硬さも均一。
以上の所見から脂肪肉腫は考えにくい。下床の三角筋との癒着も強くはない。
とりあえず4cm 皮膚切開することにしました。ここから写真は横向きになります。
指を上手く使い鈍的剥離で脂肪腫を出します。
なんと脂肪腫が2つ。双子や!
なんとか全摘しました。これだけの脂肪腫がこの切開線ならまずまずでしょうか。
脂肪腫もこれだけ育つとそれをつつむ被膜も厚くなります。
きっちりと全摘するのがプロの皮膚外科医です。
皮下に血抜きのドレーンを留置。真皮縫合をきっちりと合わせてから皮膚縫合します。
二つに大きく分かれた脂肪腫は珍しいです。 LIPOMA TWINS
僧侶さんには随分と感謝されました。手術中は全てを忘れ無心で執刀します。
まさに涅槃寂静の世界でございます。
【追 記】 反省を込めて。
病理組織標本を確認すると通常の脂肪腫よりも脂肪細胞の核がやや大きいのが気になりました。
私が最も信用するA医科大学附属病院病理部 H先生に診断をお願いしました。
脂肪腫(spindle cell lipoma)を疑うが脂肪肉腫(well diff. liposarcoma)を完全に否定でき
ないとのことで免疫染色(CD34)を追加しました。CD34 にてspindle cell は強陽性であり
脂肪腫(spindle cell/ pleomorphic lipoma)と診断。良性だが大きいので局所再発の可能性
は完全には除外できないとのコメントでした。
僧侶さんにはそのままを説明ました。
一塊としてきれいに摘出しているので再発の可能性は少ないと考えますが最低1年間は通院する
ように説明しました。完全に摘出した自信はあります。
今回の症例から反省すべきことがあります。
あまりにも大きな脂肪腫はやはり総合病院で造影MRI 検査を行い脂肪肉腫の鑑別をしてから執刀
にあたるべきであり、個人クリニックでの手術は控えたほうがよいと痛感しました。
当医院は『予約制』です。お問い合わせ・診療のご予約はこちら 受付可能時間=診療時間 TEL 052-332-7870
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○…通常診療
☆…手術/レーザー治療(フォトRFなど)/ヒアルロン酸/ボトックス治療など