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PRP療法はダマになるのか?
2011-06-30 UP! カテゴリー:W-PRP, 診療だより
ときどき東京から患者さんが来れれます。
なんとPRP療法のために来られるのです。
普通に考えて東京のほうが美容のレベルが高いのでは?
冷たく患者さんに言い放ちます。
「新幹線代もったいないし、東京で治療受けたらえーぎゃ。
オレなんかより東京の先生のほうが絶対治療がうみゃーでー(名古屋弁)。」
患者さんも食い下がります。
「PRP療法を受けた友人の顔を触らしてもらいました。でこぼこして気持ち悪かったです。
先生のブログ見ましたが、素朴でちゃんとやってくれそうなので・・・。」
インターネットをみるとPRPの苦情の書き込みが目に付きますね。
いつか私も書かれるのでしょうか? おー怖っ。
本当にダマになるのですかね?
PRPの大家である京都のK師匠に相談しました。
K師匠もダマにしたことがないので、不思議に思い某クリニックへ連絡したそうです。
その先生に施術までの時間、添加した成長因子の濃度を聞いたそうです。
返答はあやふやで的を得なかったそうです。
おそらく全てがスタッフ任せなのでしょう。
濃すぎる成長因子添加は危険です。また施術までに時間がかかるとPRPがゲル化します。
ゲル化したものを注入するとしこりを生じる可能性はあります。
ダマになる、ならないは結局、PRPの作成法、施術法によるところが大きいのです。
遠心分離した試験管から血小板を分離します。試験管を振動させないように気を使います。
血小板が拡散しないようにデリケートに操作します。
成長因子は付属の溶解液や生理食塩水ではなく必ず蒸留水で溶解します。
付属の溶解液にはベンザルコニウム塩化物が含まれているからです。
塩化カルシウムが入った試験管にPRPを注入した後は時間との戦いです。
この試験管にいれた5分後にもっとも活性化されるのです。
私は細胞成長因子入りPPP(血小板が少ない血漿)も作成するのでもうひと手間かかり
ます(ちりめんジワにはこれが効きます)。
一人の患者さんのPRP治療にこれだけの針、シリンジを使います。
成長因子の濃度も複数変えて使います。私と二人のスタッフとの三人がかりです。
いやはや、PRP治療の日は院内がバタバタして大変です。
丁寧にしかも時間内に作成して施術しないといけないからです。
私、凝り性なのでしょうか?
当たり前のことをあたりまえにしているだけですが・・・。 -
ワキの汗 ボトックス治療 パンクチャーかスレッドか?
2011-06-23 UP! カテゴリー:ボトックス, 診療だより
この時期はワキの多汗症でお悩みの患者さんがよく来られます。
ワキの汗にボトックス、よく効きますね。
正確なデータを取ったわけではないですが、治療前を10とすると治療後は2くらいまで
発汗が低下しますね。
なかにはほとんど汗が出なくなって嬉しいです、と言われる人もいますが一部の人です。
YOU TUBEの普及でいろいろなクリニックのワキ汗ボトックス治療を見ることができます。
点で注射しているクリニックが多いですね。
パンクチャーテクニック(点で注射)はかなり多くの点で針を打たないといけません。
痛くないですかね?
ワキの汗は出る範囲が人によって異なります。
ワキ毛が生えている範囲全体に汗が出るタイプ、ワキの一部をメインに発汗されるタイプ
など人それぞれです。
まず、ワキをじっと観察します。
この方はワキ全体ではなく中央部の範囲で発汗が強いです。
何事も観察です。発汗を目印にボトックス注射する範囲をマーキングします。
片側で25単位、両側で計50単位注射します。Neuronox もしくはRegenox を使用します。
ワキ多汗症の治療のコツは点ではなく面で発汗を抑えることだと思います。
長い針を真皮に入れて、面としてボトックスを広げるスレッドテクニックを私は好みます。
この手技は渋谷イーストクリニックの平井 隆先生から教えて頂きました。
いろいろな先輩方からのアドバイスがあり、ここまでたどり着きました。感謝です。 -
稗粒腫と脂腺嚢腫
2011-06-09 UP! カテゴリー:エルビウムヤグレーザー, 診療だより
顔面は付属器が多いせいか、いろいろな皮膚腫瘍が発生します。
顔の白いプツプツは稗粒腫(はいりゅうしゅ)、黄色いプツプツは脂腺嚢腫です。
脂腺嚢腫と近い関係にある疾患が軟毛嚢腫です。
顔の黄色いぷつぷつで困っている人は多いと思います。
が、どこで治療を受けたらよいのでしょうか?
53歳のミセスさんです。顔全体に黄色いプツプツがあります。
エルビウムヤグレーザーで黄色いプツプツの表面を照射します。
面皰圧出器で内容物を押し出します。黄色いクリームのようなものが飛び出ます。
黄色の内容物を出し切ると薄い袋が出てきます(ピンセットの先です)。
この袋を照射するのが治療のコツです。
伝家の宝刀エルビウムヤグレーザーで袋を照射します。下の写真はイメージです。
治療後1ヶ月半です。少し発赤が残っていますが、おでこと眉間がきれいになっています。
治療前の右頬部です。大きくて目立つものを治療します。
治療後1ヶ月です。かなりすっきりしました。
顔の黄色いプツプツ(軟毛嚢腫)。患者さんが時々遠方から来られます。
どの病院に行っても様子を見るしかないと言われた、と。
皮膚科か形成外科か美容外科か? はたまたなんちゃって美容皮膚科か?
治療そのものはそれ程難しくはありません。
しかし、ルーペを用いて袋を一つずつ照射する根気と丁寧さが必要です。
袋の同定は意外と大変です。
はっきりと言います。10個治療した内の1~2個は再発します。
全顔の治療では顔を3パーツ(おでこと左右の頬)に分けています。
脂腺嚢腫の数にもよりますが1パーツ6~7万円です。
顔全部でおよそ20万円くらいです。
本当に効果があるかどうか微妙なたるみ治療よりは、効果がリアルにでるこのような治療が私は好きです。
リポレーザーに20万払うよりエルビウムヤグレーザーに20万円払うほうがよりリアルな結果を得られるのでは?
何事も考え方次第です。 -
PRP(多血小板血漿療法)とヒアルロン酸治療
2011-05-12 UP! カテゴリー:W-PRP, 診療だより
数年前までほうれい線の治療といえばヒアルロン酸でした。
私も開業前は東京へヒアルロン酸の有料講習会によく行きました。
いろんな講師がいました。
ほうれい線の治療について私が実際に施術した患者さんの経過写真を比べながら
検討したいと思います。
48歳の女性です。ほうれい線を気にされて来院されました。
(患者さんのご希望により今回は目はカットさせてください)
カルテを見ると平成21年6月となっています。2年前の症例写真です。
この当時、私はヒアルロン酸をメインに施術していました。
ヒアルロン酸注入1週間後の写真です。
ある程度は改善していますが口角部横のシャープなラインがまだ目立ちます。
自分としては納得できない出来映えです。
ヒアルロン酸の有料講習会で講師の先生から言われたことを覚えています。
ほうれい線は鼻の下付近の深い溝の治療は容易だが口角周囲の細くて浅い溝の
治療が大変なのだ、と。
ここの部分を修正するのにヒアルロン酸を溝と平行に注入するだけでなく、横方向にクロス
して追加注入する方法を講師の先生は説明していました。
この患者さんが2年ぶりに来院されました。平成23年1月の写真です。
またほうれい線が元に戻ってきたので治療してほしい。
ヒアルロン酸でなくW-PRP(多血小板血漿)をお勧めしました。
以下のように説明しました。
治療費はヒアルロン酸より高額だが効果の持続期間がずっと長い。
ヒアルロン酸治療では改善できなかった口の横ジワも改善できるかもしれない。
W-PRP治療の2ヵ月後の写真です。いい感じですね。
W-PRP治療4ヵ月後です。口の横ジワ消えましたね。
再度比較します。
治療前の左横顔です。口の横ジワが目立ちます。
治療後4ヵ月の左横顔です。ナチュラルな仕上がりです。
若々しいお肌になりました。
これなら患者さんも大満足ですね。肌のハリもでるから不思議です。OK!
ここからは私見です。
PRP治療はまだ見解が統一していない点もあります。
細胞成長因子を入れたほうがよいか、入れないほうがよいか、など。
細胞成長因子を入れると施術部にしこりを生じるリスクがある、というのが入れない派の
理屈のようです。
しこりは細胞成長因子を入れないPRP療法でも生じることがあります。
しこりは注射する深さ、注入量によるところが大きいのです。
私は細胞成長因子を入れる派に組しています。改善度が違うからです。
年齢、皮膚のたるみぐあいで細胞成長因子の濃度は変えています。
細胞成長因子を入れないこともあります。
膨らみを出さずに肌の質感だけを改善する時は成長因子を入れません。
下眼瞼などは時にそのようにしています。
いろいろとドクターによって言い分があるとは思いますが、結果が全てです。
しわでお悩みの方はお気軽にご相談にいらしてください。
一方的にW-PRP療法を勧めたりはしません。
お互いが納得いく治療がもっともよい治療だと思います。 -
ほうれい線 あなたの選択は?
2011-02-16 UP! カテゴリー:W-PRP, 診療だより
年齢とともに頬の皮膚がたるみほうれい線が目立ってきます。
嫌ですね~。
ほうれい線の治療の代表がヒアルロン酸治療でしょう。
ヒアルロン酸をほうれい線に注入すると溝が目立たなくなります。
SSクリニックでも施術しています。
コラーゲンに比べて異物反応が少なく比較的安全な治療とされています。
生体内では関節、硝子体、皮膚、脳の細胞外マトリックスに存在するそうです。
過去に数回のヒアルロン酸治療を受けて当院を訪れるかたもいます。
私も要望があればほうれい線へヒアルロン酸の再注入を行います。
ヒアルロン酸治療について思うことがあります。
複数回の治療歴のあるかたを私は見抜けます。
ほうれい線をよく見ると白かったり、触ると硬さを感じることがあるからです。
生体のヒアルロン酸はN-アセチルグルコサミンとグルクロン酸の二糖単位が連結した
構造を持つ高分子です。
注射するヒアルロン酸と生体内に存在するヒアルロン酸は構造が違うのでしょうか?
私には分かりません。
白く見えるの注入が浅すぎることに起因します。
では、硬さは?
なんらかの異物反応が生じているようにしか私には思えないのです。
2~3回のヒアルロン酸注入なら問題ないでしょう。
では、長期的にほうれい線治療を続けていきたい人には?
私は多血小板血漿療法(W-PRP)をお勧めしています。
自分ならばこちらの治療を受けたいです。
またまた前置きが長すぎました。
39歳、ロシア人とのクォーターさんです。
クリスチーナ、ブログ協力ありがとう。ボルシチ奢りますね。
ヒアルロン酸治療を受けましたが改善しなかったそうです。
ヒアルロン酸の効果が出にくいほうれい線は確かにあります。骨格などの問題でしょうか。
迷わず多血小板血漿療法を行いました。
ヒアルロン酸注入と違い、効果が1ヶ月単位で表れるので自然です。
施術1ヶ月後です。効果が少し出てきたところです。
硬結はなく触った感じがとても自然です。
治療前の側面写真です。
治療3ヵ月後です。より効果が出てきています。
肌にもハリが出てますね。糸ではハリはでないですよね?
私の経験ですと、ほうれい線への多血小板血漿療法は2週間くらいで効果を感じます。
6~9ヶ月くらいまで効果がアップし続けます。その後、数年間効果が持続します。
多血小板血漿療法の利点を私なりにまとめました。
○注射針は30G使用なので痛みがかなり少ない。
○効果が少しずつでてくるので他人にばれにくい。
○ヒアルロン酸と異なりほうれい線が硬くならずナチュラル。
○効果が3年くらい持続するらしいでの頻繁な注射が不要。
欠点は、
●塩化カルシウムを入れて最もよく活性化される時間帯があるので術者がせわしない。
●ていねいに作成しないと効果がでない。
●下眼瞼では予想よりも改善度が低いことが多い。
●濃度と注入する深さを考えないと効果がでない、もしくはダマ(小さなシコリ)になる。
(ヒアルロン酸のダマはヒアルロニダーゼで分解できるが多血小板血漿のダマは分解が
困難)。
クリスチーナは下眼瞼の効果が不十分であったので再チャレンジしました。
32Gの針を用いルーペで真皮内の針を透見し、よい深さに確実に注入するのがコツです。
多血小板血漿療法による下眼瞼治療はかなり熟練の技が必要ですね。
京都のK師匠に言われたことがあります。
「多血小板血漿療法は家にたとえるとリフォームです。土台を一回壊してから再構築します。
下眼瞼は毎日のまばたきで絶え間なく動くのでリフォームしにくいのです。」
より確実で安全な治療を多くの方に提供したい、そんな所存でございます。 -
脂肪腫 突然のFinal stage
2011-02-03 UP! カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより
あまり時間がありません。
脂肪腫は今回のブログで一区切りさせてください。
手術の上手な先生はたくさんいますので、まずは地元の先生に相談を!
最後ですので、皮膚切開についての私の考えを述べます。
右背中の脂肪腫です。わりと大きいです。
まずは2cm の皮膚切開をデザインしました。
脂肪腫を小さな皮膚切開で摘出するには指での剥離が不可欠です。
メッチェン(医療用のハサミ)では脂肪腫の表層は剥離できても、側方~下床は
なかなか剥離できないのです。
図で示すとこのような感じです(下手くそな絵ですみません)。
人差し指で脂肪腫を周囲組織からぐりぐりと剥離します。
私のひとさし指の太さが2cm弱です。
この症例では剥離しても腫瘍が飛び出てこないため、切開を1cm 伸ばします。
やっと出ました。下は僧帽筋と癒着していました。
全摘した脂肪腫です。このように全体として弾力性が強くぷりぷりとした脂肪腫は2cmの
穴からはなかなか飛び出てくれません。切開の長さは脂肪腫の性質にもよりますね。
もう一例、提示します。右肩の脂肪腫です。
有名な女流作家さんです。わざわざ東京から来られました。
けっこう大きいですね。
サルサをたしなんでおり邪魔なようです。
2cmの切開で取れるかな~?
大作家の利き腕です。なるべく傷は小さくしたいですね。
ひとさし指でぐりぐりして飛び出させます。
どっどっと飛び出てきました。
下床は三角筋と癒着していますが取れそうです。
一塊として脂肪腫が取れました。完全に取りきれば再発はありません。
皮膚外科学会で形成外科の先生が筋鈎を2本用いて脂肪腫を剥離摘出する演題を聴きました。
指であれ筋鈎であれ鈍的な剥離が脂肪腫治療には重要だと思います。
鈍的剥離では脂肪腫が周囲組織ときれいな層ではがれます。出血もほとんど出ません。
きれいな層で剥がれる=腫瘍が完全摘出できている
皮膚外科学会を通じてよりよい手術を普及していきたいです。
当医院は『予約制』です。お問い合わせ・診療のご予約はこちら 受付可能時間=診療時間 TEL 052-332-7870
診療時間
当医院は『予約制』です | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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○…通常診療
☆…手術/レーザー治療(フォトRFなど)/ヒアルロン酸/ボトックス治療など