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診療だより

診療だよりの記事一覧

  • 雀卵斑のフォトRF治療

    2010-11-03 UP!     カテゴリー:しみ フォトRF, 診療だより

    フォトRFの最もよい適応が雀卵斑(そばかす)だと思います。
     
    35歳の男性です。知人に肝斑と言われて来院されました。
     
    米粒大の色素斑が鼻から頬部に対称性に広がっています。
    典型的な雀卵斑(じゃくらんはん)の所見です。

     
    フォトRF治療の最もよい適応は雀卵斑です。
    1~2回目が最も効果が高いです。1回のみフォトRF治療を行いました。
     
    1年後に再診されました。これなら上出来ですね。

     
    雀卵斑は病態の本質が色素異常です。フォトRF治療しても1年もすれば色素斑が濃くなってきます。1年たってこの状態ならばよいほうでしょう。
     
    両頬部やや下方の大きな色素斑は雀卵斑ではなく老人性色素斑です。
    この部分のみはQスイッチルビーレーザーで照射してもよいでしょう。
     
    雀卵斑は頑張って続けて何回も治療しない。
    2~3回できっちりと結果を出して、その後は年に1~2回フォローアップ照射をする。
     
    これでいいのです。

  • エルビウムヤグレーザー 【フラクショナル照射】

    2010-10-16 UP!     カテゴリー:エルビウムヤグレーザー, 診療だより

    当院ではAsclepion社(ドイツ)のエルビウムヤグレーザー機器を使用して
    フラクショナル照射をしています。

     
    皮膚に一定の間隔で穴を開けるのがフラクショナル照射です。

     
    穴が治癒する際に皮膚が収縮、コラーゲンが増加することによって凹みを引き締める治療
    です。アクネスカー(ニキビ痕)、毛穴の開大の治療に利用される施術です。
     
    フラクショナルレーザーといえば本家であるフラクセル、アファームが有名ですが、
    eCO2(エコツー)など炭酸ガスレーザーでのフラクショナル照射が注目されてきています。
     
    私はエルビウムヤグレーザーによるフラクショナル照射を使用して効果を上げています。
    水分吸収率が炭酸ガスレーザーの10倍高いため、麻酔なしでの施術が可能です。
     
    百聞は一見にしかず。症例をお見せします。57歳のナイスな女性です。
    鼻と頬部の毛穴の開きが主訴です。

     
    エルビウムヤグレーザーによるフラクショナル照射後です。
    結構赤くなりますよ。ダウンタイムがかなりでる治療です。

     
    鼻です。わりときつい治療です。

     
    私から一言。
    鼻の毛穴を引き締めるのにはこれくらいの治療をしないと十分な効果はでないでしょう。
    ケミカルピーリング、フォトRF治療・・・どれも効果は不十分でした。
    カーボンピーリング、なんですかそれは?
     
    ①回目のエルビウムフラクショナル照射前の写真です。

     
    施術9日目です。鼻は発赤が引いてきました。頬とくらべると鼻は皮膚が強いです。

     
    施術16日目です。いい感じで毛穴が締まってきていますよ。肌のハリも出てきました。

     
    通常は2ヶ月間隔で3回以上照射します。2ヶ月かけてじわじわと効いて来ます。
     
    はっきりと言います。毛穴治療はとても難しいです。
    エルビウムヤグレーザーによるフラクショナル照射でも効果が不十分な症例もあります。
     
    シミ、しわ治療のほうが断然結果を出しやすいです。
    いろいろと照射法を工夫しならがら毛穴治療しているのが現状です。

  • フォトRF治療 【そばかす(雀卵斑)】

    2010-10-11 UP!     カテゴリー:しみ フォトRF, 診療だより

    そばかすは正式には雀卵斑と呼ばれます。
    学童期に発症し、数ミリ大の褐色斑が両頬・下眼瞼~鼻根部に散在します。
     
    フォトRF治療の最もよい適応は、そばかすであると私は思っています。
     
    もちろんQ-スイッチルビーレーザーで色素斑をひとつずつ照射する方法もありますが、
    ちょっと大変です。
     
    フォトRF治療によるそばかすの治療について思うところを述べます。
     
    56歳の女性です。学童期から出現したそばかすです。
    このような大型のそばかすもあります。

     
    フォトRF治療でSRハンドピースを使用することはまれです。照射時間が長すぎるからです。
    より照射時間が短いSRAハンドピースを用いて照射します。
     
    照射直後の状態です。
    そばかすの周囲にこの程度の紅斑が出現するように出力を調整します。

     
    照射9日後です。1回の照射でこのくらいまでは薄くなります。

     
    なぜか、鼻と下眼瞼は反応がよくないのです。理由はわかりません。
    どなたか教えて下さい。
     
    フォトRFでそばかすに効果が出やすいのは色が濃い1~2回目くらいです。
    色が薄くなるにつれて効果は急速に低くなります。光治療はメラニンに反応するわけですから当然です。
     
    また、フォトRF治療で薄くなったそばかすは早晩必ず色が濃くなってきます。
    そばかす(雀卵斑)の本質が色素異常なのですからこれも当然です。
     
    老人性色素斑と違いそばかすの根治治療はまだありません。
    (Qスイッチルビーレーザー治療では数年治療効果が続きます)
     
    そばかすはフォトRF治療を続けて2~3回くらい行い、年に1~2回のメンテナンス照射を行う。なぜか鼻と下眼瞼の反応が良くないことが多いので鼻と下眼瞼はルビーレーザーを後から併用する。
     
    葛西先生の言葉をお借りするなら「がんばって治療を重ねて完全に治そうなどとは考えずに、ほどほどでやめておき、また目立ってきたら治療しましょう」です。
     
    これこそ理にかなった施術法と思いませんか。
     
     
    参考文献
    シミの治療 葛西健一郎 文光堂

  • ルビースポットを吹っ飛ばせ!

    2010-09-30 UP!     カテゴリー:エルビウムヤグレーザー, 診療だより

    腕や体にできる赤いぷつぷつしたやつ、それが老人性血管腫です。
     
    若い人にも生じるので老人性はよい名称ではありません。
    私は英語名のルビースポットのほうが好きです。
     
    46歳の素敵なミセスです。胸のルビースポットが気になるようです。
    良性腫瘍なので放っておいてかまいません。
    しかし、夏に肩があいた服を着るとめだつのが気になるようです。

     
    治療は炭酸ガスレーザーで焼灼するのが一般的です。
    治療3ヵ月後ですが、炎症後色素沈着がちょっと目立ちますね。

     
    治療5ヵ月後です。いい感じですね。胸元が若々しくなりました。

     
    さて、今回なぜ老人性血管腫を取り上げたかというと・・・
     
    じゃ~ん。最新皮膚科学体系です。
    最も格式がある皮膚科の教科書です。

     
    上から2番目に私の名前があります。老人性血管腫は私が執筆したのです。
    第13巻は半田芳浩先生、満間照之先生と名大の先生が複数執筆されています。

     
    いい内容ですよ、と自画自賛。

     
    ルビースポットの治療について。
    大きいのは炭酸ガスレーザーが無難ですね。小さいのはエルビウムヤグレーザーで治療しています。麻酔が必要なく上皮化までの経過が早いからです。
     
    胸の赤いプツプツは治ります!

  • やっぱりルビーレーザー

    2010-09-19 UP!     カテゴリー:しみ(ルビーレーザー)

    しつこいですけど、やっぱりルビーレーザーですよ。
     
    たびたびこのブログで登場する60歳のミセス。
    ひさしぶりにクリニックに来られました。
     
    シミ治療前の写真です。
    頬部にある2つの大きな老人性色素斑が目立ちます。
    数年前にヤグレーザーを照射されシミがまだらになっています。

     
    Qスイッチルビーレーザー照射の約10ヵ月後の写真です。
    一点の曇りも無い状態がキープされています。

     
    シミ治療にQスイッチルビーレーザーが最も有効なことは自明です。
    患者さんもよく勉強されており、インターネットでルビーレーザーを検索され、
    当院を受診されるかたもちらほらといらっしゃいます。
     
    今回はケアについてお話します。
     
    基本的にはレーザー照射から10日間は茶色のテープで患部を覆います。
    洗顔、化粧ともこのテープの上からしてもらいます。
     
    「えっ~、10日間もテープするんですか」、と驚かれる患者さんもいます。
    テープ保護ができない人は治療をお断りしています。
     
    不遜な言い方で申し訳ありませんが、私のポリシーなのであしからず。
     
    テープ保護がお嫌いな方は「テープは要らないですよ」と言われるお優しい先生に
    ヤグレーザーで適当にお茶を濁してもらってください。
    そういう先生はたいてい長期のフォローアップをなさってくれません。
     
    テープを剥がした後のケアについて。
     
    ハイドロキノン軟膏を処方することもあります。その際は刺激が少ないものを処方します。
     
    それでも炎症後色素沈着が出現した場合はどうするか?
     
    放っておきましょう。3ヶ月くらいから薄くなります。
     
    炎症後色素沈着が遷延する人がいるのも事実です。
    炎症ですからいずれ消退します。
     
    基本的にはテープを剥がした後は余計なことをあまりしない。
    通常通りにお化粧をして必要以上に構わない。
     
    これまでのレーザー治療で私が学んだことです。

  • 【石灰化上皮腫】 診断が大切!

    2010-09-12 UP!     カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより

    ときどき遠方から患者さんが来られます。
     
    広島県から来られた26歳の女性です。
    左眉毛にしこりがあります。前医で粉瘤と診断されたそうです。

     
    腫瘤は硬く触れ、粉瘤ではなく石灰化上皮腫を疑います。
    石灰化上皮腫はトレパンによるくりぬき法は不適です。
    4mmの穴では腫瘍が取れきれない、またくり抜きの刺激で検体がぼろぼろになって
    しまうからです。
     
    正確な診断があってこそ正しい皮膚腫瘍の治療が可能なのです。
     
    不遜な言い方ですが、粉瘤と石灰化上皮腫を鑑別できる皮膚科医は10人に1人でしょう。
    だからこそ皮膚外科学会の存在価値があるのです。
     
    エコー検査です。 腫瘤の表面でエコーが強く反射され後方が無エコーとなっています。
    石灰化上皮腫で矛盾しない所見です。

     
    傷跡が目立たなくなるよう眉毛の下縁に沿っての切開でアプローチします。

     
    白色の腫瘤です。きれいに取れましたね。

     
    病理組織は好塩期性の小型円形細胞と好酸性に染まるshadow cell から構成される
    石灰化上皮腫の所見です。

     
    広島県ですと福山市の岩崎皮フ科形成外科がお勧めです。
    院長の岩崎泰政先生は皮膚外科学会の評議員もしておられます。
     
    全国に皮膚外科の輪が広がるといいですね。

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