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診療だより

診療だよりの記事一覧

  • エルビウムヤグレーザー 稗粒腫を吹っ飛ばせ!

    2010-09-09 UP!     カテゴリー:エルビウムヤグレーザー, 診療だより

    顔にできる白い丘疹。触るとプツプツしたあの嫌なやつです。
     
    稗粒腫(はいりゅうしゅ)とよばれる軟毛部の粉瘤です。
     
    針で小さな切開を加えて内容物を出すだけでは再発します。
    炭酸ガスレーザーで焼灼していましたが、今はエルビウムヤグレーザーで治療しています。
     
    顔全体に生じた稗粒腫です(写真は左頬部です)。

     
    エルビウムヤグレーザーをピンポイント設定にして皮膚を照射します。麻酔は不要です。

     
    内容物が露出しました。

     
    マイクロセッシで内容物を摘出します。

     
    残った嚢腫壁を照射するのがポイントです。

     
    全部取るとこんな感じになります。
    傷が大きいところは老人性脂腺増多症を照射した部位です。

     
    下の写真は汗管腫を炭酸ガスレーザーで焼灼した直後の写真です。
    違いは明らかですね(麻酔による皮下出血のおまけまであります)。
    どうしても炭酸ガスレーザーだと組織がこげてしまうのです。

     
    実は1週間前に左下顎部の稗粒腫を治療しました。
    まだ発赤が残りますがいい感じに上皮化しています。
    凹みはありません。発赤は3ヶ月もすれば消えてなくなります。

     
    稗粒腫で困っている患者さんは意外と多いようです。
    現時点ではエルビウムヤグレーザーによる照射が最も良いようです。
     
    さてさて、にっくき汗管腫はエルビウムヤグレーザーでどこまできれいになるか?
    こらからもいい治療を追及していきたいですね。

  • 炭酸ガスレーザー 【口粘膜粘液嚢腫】

    2010-08-29 UP!     カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより

     口唇部は出血し易いので、
     venous lake(口唇部の血管腫)、mucous cyst of the oral mucosa(口粘膜粘液嚢腫)は
     炭酸ガスレーザーを使用します。

     下口唇部の粘液嚢腫です。 粘液腺排泄管が破れシアロムチンが粘膜下に貯留した病態です。

     炭酸ガスレーザーで嚢腫のみを摘出します。慣れてくると嚢腫の境界が見えてきます。  

     

     今まさに病変が摘出されるところです。
     

     

     基本的に縫合はしません。粘膜は治りが早いのでこのまま保存的に経過を見ます。

     病理組織検査所見 です。嚢腫が完全に取れています。

     

     術後約1ヶ月です。いい仕事してますね。
     

     

     口唇のできものでお困りの方はお気軽にご相談ください。

  • 炭酸ガスレーザー 【血管拡張性肉芽腫】

    2010-08-26 UP!     カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより

    エルビウムヤグレーザーが大活躍です。 ~ 毎日毎日、ホクロ、イボ、汗管腫などに照射しています。 大阪の師匠が言われたように、もう炭酸ガスレーザーには戻れません。 ~ But, 炭酸ガスレーザーにも出番はあるのです。 野球で言えばピンチヒッターのような役割です。 ~ 口唇、指など出血が予想される部位、血管腫などは炭酸ガスレーザーがよい適応です。 指の血管性病変を提示します。 ~ 指に生じた血管拡張性肉芽腫(GT)です。外傷を契機に生じることがあります。

    ~ 冷凍凝固療法を行い、やや縮小しました。

    ~ 妊娠の影響もあり増大してしまいました。 逃げませんよ、私は。 名古屋で一番の皮膚外科クリニックの看板を背負ってますから。

    ~ ナイロン糸による結紮療法を行いました。ちょっとしぼんできました。

    ~ ある程度まで小さくなるのですが、時々あたって出血して困るそうです。 茎部が小さくなったこの時点で炭酸ガスレーザー焼灼します。

    ~ 炭酸ガスレーザー焼灼1ヶ月後の写真ですがまずまずの結果です。 軽度の瘢痕が残ったのでドレニゾンテープを貼付しています。

    ~ 炭酸ガスレーザーもピンチヒッターとしての出番はあります。 ~ でもホクロ、イボはぜったいにエルビウムヤグレーザーですよ。

  • たかが粉瘤、されど粉瘤 season 4

    2010-08-11 UP!     カテゴリー:粉瘤, 診療だより

    東京、神奈川、静岡、愛知、岐阜、三重、福井、和歌山、京都、大阪。
     

    遠路はるばるSSクリニックに粉瘤の手術を受けにこられた方々です。
    名古屋でダントツの皮膚外科クリニックと自負しています。
     
    みなさん、クリニックのブログを見て来られます。
    くりぬき法を希望される方が多いです。
     
    でもね、くりぬき法が適応でない方もいるのです。
    今回はそれにまつわる話をしますね。
     
    右胸のしこりです。
    しこりの中央部にヘソがあり粉瘤であることは一目瞭然です。

     
    触診で気になる感じがあったのでエコーで確認します。やっぱりね。壁の一部が不整です。
    炎症を生じているようです。

     
    このような症例ではくりぬき法ではなく、メスでの全摘術が無難です。
    皮膚腫瘍の基本は完全摘出だからです。
     
    メスで摘出しました。相変わらずきれいに摘出していますね。
    病理組織検査の標本です。

     
    壁の底面を拡大します。
    粉瘤の嚢腫壁は重層扁平上皮ですが、一部が組織球、異物巨細胞に置換されています。
    エコーはこの早期の変化を捉えたことになります(エコーとは左右が逆になっています)。

     
    エコーいいですよ。
    杉本先生(名古屋スポーツクリニック)、またディスカッションさせてください。
     

    皮膚腫瘍とエコー診断。 いつの日か実践的な本を出版しますよ。
    タイトル 【皮膚エコー診断の基本とその勘どころ】 SS出版、なんてね(笑)。

  • 多血小板血漿療法はどこまで有効か?

    2010-08-05 UP!     カテゴリー:W-PRP, 診療だより

    多血小板血漿療法(W-PRP)はどこまで有効か?
     
    難しい問題ですね。
     
    私の経験として、ほうれい線は年齢に関係なくかなり効果があります。
    皮下組織に注入するので濃度の高い細胞成長因子が使えることが理由の一つでしょう。
     
    問題は眼の下です。
    皮膚の薄い部分であり細胞成長因子はかなり低い濃度を使います。
    むちゃくちゃに施術するとダマになってしまうからです。
     
    濃度、注入法に細心の気を使いますが効果がはっきりしない人もいます。
    30歳代は効果が目立たないことがあります。
    ベースの肌がフレッシュなため改善度の差が目立ちにくいのです。
     
    眼の下のしわに効果がでやすい年齢は40歳~60歳くらいである。
    経験からこのように考えています。
     
    おもしろい本を学会会場で見つけました。
    多血小板血漿(PRP)療法入門 全日本病院出版

     
    ちょっと気になる点があるました。この本では2回遠心法を薦めています。
     
    PRP療法はもともと口腔外科領域(下顎骨の再生など)で発達しました。
    私もアメリカの創始者の論文を取り寄せましたよ。
    Marx, R.E. : Platelet-rich plasma : Evidence to support its use.
    J  Oral  Maxillofac  Surg. 62:489, 2004

     

    さてと、能書きはこれくらいにしましょう。
    実践なければ証明されない。証明なければ信用されない。
     
    56歳のチャーミングなミセスです。最初は汗管腫を主訴に来られました。

     
    病変が集族していたのでメスで切除しました。すっきりとしましたね。
    今度はシワが気になるので何とかして欲しいと。

     
    PRP療法を施行しました。下は直後の写真です。少し赤く腫れますね。
    この症例のポイントは下眼瞼の溝(nasojugal groove)に控えめな量で注入、濃度の低い
    PRPを放射状のシワに浅く注入することです。さらに頬の高まりを形成するように皮下へ
    注入することでリフトアップ効果も期待できます。

     
     
    ちょっと手技をシェーマで。
    細胞成長因子の濃度、深さを考えて注入します。

     
     
    施術して2週間がたちました。
    眼の下にはりがでてきました。シワが少し目立たなくなってきましたね。

     
    1ヵ月後です。(写真の条件が異なりすみません。同じ条件で撮影するのは難しい!)
    いい感じに若々しくなってきましたね。最初の写真と比較してみてください。

     
    Yさん、ブログに協力してくれてありがとう。 クリニック開院直後からのお付き合いですね。
    これからもよろしく!

  • 脂肪腫 season 4  指がポイント!

    2010-08-01 UP!     カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより

    左側腹部の脂肪腫です。
    外科を受診しましたが、がばっと切るしかないと言われたそうです。
    43歳の素敵なミセスです。できれば小さな傷で摘出したいですね。

     
    まずはエコーで確認しましょう。
    外腹斜筋と接していますが強い癒着はないようです。

     
    こんな絵を書きました。エコー検査の補足です。

    2cm ほど皮膚を切開します。切開創から指で剥離するのがポイントです。
    指でぐりぐりと周囲から剥離していく。患者さんからはこそぐったいと言われました。

     
    脂肪腫の底面が見えました。ここまで見えればOKです。あと少しです。
    皮膚腫瘍は完全に摘出することが原則です。

     
    もちろん外腹斜筋に損傷はありません。

     
    きれいに取りきりました。 プロですから。

     
    これだけ大きな脂肪腫がこの切開創なら合格点でしょうか。

     
    真皮縫合して手術は終了です。

     
    このタイプの脂肪腫は指での剥離がポイントだと思います。
     
    いい手術をして患者さんに喜ばれる、これぞ医者冥利ですね。

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