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フォトRF治療 -ほどほどがよい-
2010-01-07 UP! カテゴリー:しみ フォトRF, 診療だより
当院ではSyneron社のe-lightを使用しています。
e-lightはバイポーラRF(高周波)とパルスライトの複合機です。
色素斑、皮膚のハリ・小じわ・毛穴開大、赤ら顔に効果があるとされています。
このフォトRF治療を施術し続けて思うこと。
この治療を受ける患者さんの希望の最大公約数はしみ(色素斑)なのです。
最も適応が高いのはそばかす(雀卵斑)だと思います。
そばかす以外のしみには効果はないのでしょうか?
あなたの周りに顔全体に小さな老人性色素斑が多発している方はいませんか?
これがいわゆる‘くすみ’だと、私は考えています。
フォトRF治療にもちょっとしたコツがあります。
渋谷の師匠はフラッシュランプ治療(フォトRFを含む)について以下のように言われました。
「しみは最初が最も濃いのだから最も反応がでるのは最初だよ。最初の1~2回にしっかりと効果を出さないとだめだよ!1~2回治療してしみが薄くならない症例は何回やっても効果はないよ。」
はっとしました。たしかに理屈はそうです。私も思い当たるふしがあるのです。
実際の症例を提示します。
47歳の素敵なミセスさんです。顔全体に淡い褐色斑が散在しています。
いわゆる‘くすみ’です。なんとか、うすくしたいですね。
標準ハンドピースのSRで3回照射を行いました。この時点でしみへの治療効果がはっきりとしませんでした。患者さんはかなり不満顔です。しんちゃん院長も困りました。
「この治療はあなたには向いていなかったようです」 この言葉で逃げるか?
4回目で照射モードを大幅に増量、さらにはアドバンスハンドピースのSRA(照射幅が約半分の13ms)のハンドピースも併用しました。顔全体にmicrocrustと呼ばれる点状の痂皮が形成されました。
左頬部のアップです。これくらいの痂皮ならば、なんとかファンデーションでカバーできます。
これでいいのです。
一番最初の写真と見比べてください。明らかにスキントーンが明るくなっています。
またフォトRF治療は高周波による皮膚のタイトニング(引き締め)効果もあります。
頬部が引き締まったのが分かりますか?
SRAでしっかりmicrocrustを生じさせ、効果を出すことは大切です。
しかし、あまりにも強いmicrocrustはフォトRFと言えども炎症後色素沈着が生じるリスクがあります。
何事もほどほどです。
話題を変えます。
西洋人はしみより小じわ、たるみを気にされます。日本人はどうでしょうか?
日本人は最初にしみを治療したほうが若く見えると考えるのは私だけでしょうか?
フォトRF治療もそうですが、Q-ルビーレーザーで濃いしみを取ると顔の印象が変わります。
そして何よりもかくす必要がないのでお化粧が楽になります。
日本人はまず、しみなのです。 -
ボトックスと Sobotta解剖学
2009-12-23 UP! カテゴリー:ボトックス, 診療だより
私がクリニックで常時手元に置いているのが Sobotta解剖学です。
ソボッタ解剖学、ドイツの解剖学書です。
虎の門病院研修中に大原國章先生が愛用しているのを見てこっそり購入しました(笑)。
シェーマ(絵)にリアリティーがあり、いい本ですよ。
頚部は大切な神経が走行しており、この部位の手術の際は毎回確認します。
(下の写真、後頚三角を走行する副神経がくせものです)
すてきなミセスさんです。でも眉間の縦ジワがないと、もっと素敵かも。
このシワは皺眉筋の収縮が原因です。この筋肉は深く、前頭筋の下に存在します。
皺眉筋へボトックスを注射しているところです。
シワの動きを見て、筋肉の走行をイメージします。イメージを確認してから筋層内に注射します。
眼輪筋へ浸潤しないよう、指でブロックして注射します。注射後は15分間ベッドで休んでもらいます。
目から鼻のラインを見てください。思いっきり力を入れているのがわかりますか?
ボトックス注射9日後です。眉間の縦ジワはでませんね。
眉間ボトックスでは合併症に最大限気をつけます。
ボトックスが皺眉筋から眼瞼挙筋に浸潤すると目が開けづらくなってしまいます。
注射時の指ブロックは大切なのです。
またおでこのボトックスでは前頭筋の下方に注射されると目が開けにくくなることがあります。
眼瞼下垂症がある方は前頭筋を代償性に動かしていることが多いためです。
施術前のチェックが大切です。
解剖は本当に大切です。前頭筋、皺眉筋、眼瞼挙筋をよく理解する。
ボトックス治療は経験とそれを裏打ちする解剖学が必要なのです。 -
第250回 東海地方会
2009-12-15 UP! カテゴリー:診療だより
平成21年12月13日に行われた第250回東海地方会で発表しました。
タイトルは「エコー検査は外来手術にどこまで有用か?」です。皮膚腫瘍の超音波診断についての3つのポイント、鑑別診断・局在・周囲組織との関係について検討しました。フロアーからいくつか質問があり、実りある学会発表でした。
日常診療でたくさんの腫瘍を超音波で観察していると、教科書には書かれていない様々の新知見に出会えます。そんなこんなを同じ皮膚科の先生がたに伝えることができたら幸いです。
下の写真は皮ふ科SSクリニックで採用しているLOGIQ BOOK XP Enhanced です。
コンパクトでとてもいい超音波器械ですよ。
また、学会は他人の報告を聞いて学ぶ場でもあります。
藤田保健衛生大学の秋田浩孝先生の「両側性遅発性太田母斑様色素斑に対するQ-switched レーザー治療」は私の今後のレーザー治療にとても参考になりました。真皮メラノサイトーシスに効くはずのないフォトフェイシャル治療を施術して高額な料金を請求する美容の先生がたもいるそうです。ADM(両側性遅発性大田母斑様色素斑)にフォトフェイシャルは効きません。効果があるのはQ-switched レーザーだけです。
ADMなのか、肝斑なのか、雀卵斑なのか、老人性色素斑なのか?
しみの治療は正確な診断が最も大切なのです。 -
眼瞼下垂手術 Life work
2009-11-28 UP! カテゴリー:眼瞼下垂, 診療だより
私のライフワークのひとつが腱膜性眼瞼下垂手術です。
多くは語りません。手術は結果が全てです。
41歳の男性です。私が経験した中でも重症の眼瞼下垂症です。
日常生活ではアイプチをしています。そうしないと目が開かないのです。
MRDは左右ともマイナス。LFは左右とも 0.2mmです。
かなり重症です。しかし、睫毛と眉毛の距離はそれ程離れていません。
手術はデザインがとても重要です。この一枚の写真から瞬時にいろいろな情報を得ます。
切開線はgray line より6mm、皮膚の切除幅は7mmにとどめました。
重症例ですが、この症例では皮膚を切除しすぎないのがポイントです。
専門用語が多くてすみません。私のブログは同門の先生がたも見ていますので。
眼瞼下垂手術において通常は眼窩脂肪は切除しません。しかし今回の症例に限っては
眼窩脂肪が多いため一部を切除しました。これで上眼瞼もすっきりとします。
術後1ヶ月の写真です。もうアイプチをしなくても目が開きます。
眼を閉じた写真です。創も自然で目立ちません。
術後2ヶ月の写真です。
手術直後に比べると1mmくらいは戻りますね。手術はやや過矯正でちょうどよいのです。
術後3ヶ月の状態です。目元の表情が柔らかくなって自然な奥二重です。
手術デザインをしっかり考えるとその人にあった眼瞼の形態に落ち着きます。
手術はデザインがとても重要なのです。
この患者さんが術後に言われました。
「先生、アイプチを使わなくても目が開くようになりました。頭痛も肩こりもなくなりました。
一番驚いたのは記憶力がよくなったことですよ。何も忘れないんです。自分でも驚いています。」
眼瞼下垂手術と記憶力。関係はないと思いますが・・・。
この手術からは色々な事に驚かされます。
頭痛、肩こりがなくなった。足の冷えがなくなった。記憶力がよくなった、などなど。
眼瞼下垂手術で交感神経の過緊張が取れて全身の血流がよくなるせいでしょうか?
まだまだ未知の領域が多い分野です。だからこそやりがいがある手術なのです。 -
マスターたちとの日々 その2
2009-11-22 UP! カテゴリー:その他, 診療だより
勉強していますか?
開業して1年6ヶ月になりました。
名古屋という地方都市で個人クリニックを経営するとどうしても独りよがりになりがちです。
美容皮膚科・美容外科の世界では特にそれが言えます。私がヒアルロン酸注入で最も影響を受けた平井 隆先生のクリニックに行ってきました。
3度目の訪問です。渋谷駅南口のビルの中に渋谷イーストクリニックはあります。
お昼の12時から夕方8時までみっちりと外来、施術を見学することができました。
驚いたのは患者さんの層の幅広さです。この日はロシア人、グルジア人などいろいろな国の患者さんたちが来られました。インターナショナルなクリニックですね。
一日中、接することで平井先生の治療哲学にも触れることができました。
これは大きかった!それは哲学というよりは美学に近いのかもしれません。
患者さんとの立ち位置が全く対等であり、治療も一方的に選ぶのではなく、患者さんと話し合いながらいっしょに考えて選んでいく先生の姿勢を強く感じました。
あれだけ優秀な先生なのに患者さんに対してまったく偉ぶったりしないのです。
自分もこんな先生になりたいと、意を強くしましたよ。
私は短気でたまにイライラしてしまうことがあります。いかんですね~。
平井 隆先生との貴重なツーショットです。
技術的なことではヒアルロン酸注入の深さ、マッサージなど基本を再確認することができました。目のくまに対するアプローチには目からうろこが落ちる思いでした。
ヒアルロン酸注入は簡単なようですが、奥が深い治療だと思います。
量を注入すればよいというものではない。マッサージも繊細なタッチが必要ですね。
ボトックス、炭酸ガスレーザー治療なども平井先生のセンスの良さに目が釘付けでした。
いろんな点で自分の施術の再確認をすることができました。
また平井先生の医療機器を選択するセンスにも衝撃を受けました。
下の写真は次世代IPLでもあるI2LP デンマークDDD社製のエリプスフレックスです。
数人の施術を見学しましたが、しみへの紅斑反応がとてもしっかりと出ます。
黄色のレーザー光を発生するNORSELD社製DUAL YELLOWです。
578nm511nmの2つの波長を発行します。赤アザ、血管拡張に抜群の切れ味です。
このレーザーはまだ日本に5台しかないそうです。
このような優れた医療機器を初期に世界から持ってくるセンスが平井先生の凄さです。
スタッフとのツーショット。学生時代にはモデルもしていた素敵なスタッフです。
おにぎり、ありがとうございました!名古屋に来たときは手羽先をご馳走しますよ。
(気のせいか私の手がハート型になっていませんか?)
帰りの新幹線の中では一心不乱にメモをまとめました。
いい治療を提供するには生涯をかけて勉強を続けていくしかありません。 -
ボディシェイピング治療
2009-11-04 UP! カテゴリー:その他, 診療だより
株式会社JMECさんが主催する第9回トータルアンチエイジングセミナーに参加しました。
京王プラザホテルで開かれたセミナーは200人以上の医師が集まり大盛況でした。
4部構成からなりとてもバランスのよいセミナーでした。
私が特に注目したのが第1部の光レーザーと第3部のボディシェイピングです。
このセミナー学んだことを順に列記します。
後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)の最もよい治療はQスイッチルビーレーザーです。
肝斑合併例もありどうしても炎症後色素沈着症(PIH)が気になります。
ADMでのPIH出現率は66.6%とのこと。老人性色素斑の40.2%と比べると随分頻度が高いですね。肝斑合併例だと90%まで上昇するそうです。
ADMはやはりレーザー治療前からビタミンC、トラネキサム酸の服用、ハイドロキノン軟膏の外用を行ったほうがよいようです。
肝斑合併例ではドット(点)状の色素斑のみレーザー照射すべきですね。
第3部のボディーシェイピング、つまり痩身です。
今回、私が最も聞きたかったテーマです。
従来の脂肪吸引に変わる治療としてのBody contouringという概念が注目されています。
countouring、すなわち輪郭描出のことです。
Body contouringとは脂肪を減らすだけではなくラインを美しくする意味のようです。
JMEC社が取り扱っているVela ShapeとZeltiq の話を聞くことができました。
Vela Shapeは高周波、赤外線、吸引マッサージの相乗効果で部分痩せによい機器です。
セルライトの治療にも有効とされていますが、ある程度のシェイピング効果を維持するのに定期的に施術を受ける必要があります。
Zeliq も部分痩せの機器ですね。皮膚を外から吸引して、その間の脂肪を4℃以下に冷却して溶解させるという原理です。Cryolipolysisという言葉も初めて聞きました。
しかし、美容外科ではセルライトを含めていろんな造語が登場しますね(苦笑)。
(これらの言葉は医学的に根拠のあるterminologyなのでしょうか?)
Zeltiq はアダプターが大きいので腹部、腰部の大きな部分など適応が限られています。
1~2時間かけて腹部の脂肪を冷却しながら融解します。
理論、効果とも自分が納得した治療しか提供しないのが私のポリシーです。
私が購入したいと考える痩身機器に少しずつ近づいてきました。
当医院は『予約制』です。お問い合わせ・診療のご予約はこちら 受付可能時間=診療時間 TEL 052-332-7870
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○…通常診療
☆…手術/レーザー治療(フォトRFなど)/ヒアルロン酸/ボトックス治療など