診療だより
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第250回 東海地方会
2009-12-15 UP! カテゴリー:診療だより
平成21年12月13日に行われた第250回東海地方会で発表しました。
タイトルは「エコー検査は外来手術にどこまで有用か?」です。皮膚腫瘍の超音波診断についての3つのポイント、鑑別診断・局在・周囲組織との関係について検討しました。フロアーからいくつか質問があり、実りある学会発表でした。
日常診療でたくさんの腫瘍を超音波で観察していると、教科書には書かれていない様々の新知見に出会えます。そんなこんなを同じ皮膚科の先生がたに伝えることができたら幸いです。
下の写真は皮ふ科SSクリニックで採用しているLOGIQ BOOK XP Enhanced です。
コンパクトでとてもいい超音波器械ですよ。
また、学会は他人の報告を聞いて学ぶ場でもあります。
藤田保健衛生大学の秋田浩孝先生の「両側性遅発性太田母斑様色素斑に対するQ-switched レーザー治療」は私の今後のレーザー治療にとても参考になりました。真皮メラノサイトーシスに効くはずのないフォトフェイシャル治療を施術して高額な料金を請求する美容の先生がたもいるそうです。ADM(両側性遅発性大田母斑様色素斑)にフォトフェイシャルは効きません。効果があるのはQ-switched レーザーだけです。
ADMなのか、肝斑なのか、雀卵斑なのか、老人性色素斑なのか?
しみの治療は正確な診断が最も大切なのです。 -
眼瞼下垂手術 Life work
2009-11-28 UP! カテゴリー:眼瞼下垂, 診療だより
私のライフワークのひとつが腱膜性眼瞼下垂手術です。
多くは語りません。手術は結果が全てです。
41歳の男性です。私が経験した中でも重症の眼瞼下垂症です。
日常生活ではアイプチをしています。そうしないと目が開かないのです。
MRDは左右ともマイナス。LFは左右とも 0.2mmです。
かなり重症です。しかし、睫毛と眉毛の距離はそれ程離れていません。
手術はデザインがとても重要です。この一枚の写真から瞬時にいろいろな情報を得ます。
切開線はgray line より6mm、皮膚の切除幅は7mmにとどめました。
重症例ですが、この症例では皮膚を切除しすぎないのがポイントです。
専門用語が多くてすみません。私のブログは同門の先生がたも見ていますので。
眼瞼下垂手術において通常は眼窩脂肪は切除しません。しかし今回の症例に限っては
眼窩脂肪が多いため一部を切除しました。これで上眼瞼もすっきりとします。
術後1ヶ月の写真です。もうアイプチをしなくても目が開きます。
眼を閉じた写真です。創も自然で目立ちません。
術後2ヶ月の写真です。
手術直後に比べると1mmくらいは戻りますね。手術はやや過矯正でちょうどよいのです。
術後3ヶ月の状態です。目元の表情が柔らかくなって自然な奥二重です。
手術デザインをしっかり考えるとその人にあった眼瞼の形態に落ち着きます。
手術はデザインがとても重要なのです。
この患者さんが術後に言われました。
「先生、アイプチを使わなくても目が開くようになりました。頭痛も肩こりもなくなりました。
一番驚いたのは記憶力がよくなったことですよ。何も忘れないんです。自分でも驚いています。」
眼瞼下垂手術と記憶力。関係はないと思いますが・・・。
この手術からは色々な事に驚かされます。
頭痛、肩こりがなくなった。足の冷えがなくなった。記憶力がよくなった、などなど。
眼瞼下垂手術で交感神経の過緊張が取れて全身の血流がよくなるせいでしょうか?
まだまだ未知の領域が多い分野です。だからこそやりがいがある手術なのです。 -
マスターたちとの日々 その2
2009-11-22 UP! カテゴリー:その他, 診療だより
勉強していますか?
開業して1年6ヶ月になりました。
名古屋という地方都市で個人クリニックを経営するとどうしても独りよがりになりがちです。
美容皮膚科・美容外科の世界では特にそれが言えます。私がヒアルロン酸注入で最も影響を受けた平井 隆先生のクリニックに行ってきました。
3度目の訪問です。渋谷駅南口のビルの中に渋谷イーストクリニックはあります。
お昼の12時から夕方8時までみっちりと外来、施術を見学することができました。
驚いたのは患者さんの層の幅広さです。この日はロシア人、グルジア人などいろいろな国の患者さんたちが来られました。インターナショナルなクリニックですね。
一日中、接することで平井先生の治療哲学にも触れることができました。
これは大きかった!それは哲学というよりは美学に近いのかもしれません。
患者さんとの立ち位置が全く対等であり、治療も一方的に選ぶのではなく、患者さんと話し合いながらいっしょに考えて選んでいく先生の姿勢を強く感じました。
あれだけ優秀な先生なのに患者さんに対してまったく偉ぶったりしないのです。
自分もこんな先生になりたいと、意を強くしましたよ。
私は短気でたまにイライラしてしまうことがあります。いかんですね~。
平井 隆先生との貴重なツーショットです。
技術的なことではヒアルロン酸注入の深さ、マッサージなど基本を再確認することができました。目のくまに対するアプローチには目からうろこが落ちる思いでした。
ヒアルロン酸注入は簡単なようですが、奥が深い治療だと思います。
量を注入すればよいというものではない。マッサージも繊細なタッチが必要ですね。
ボトックス、炭酸ガスレーザー治療なども平井先生のセンスの良さに目が釘付けでした。
いろんな点で自分の施術の再確認をすることができました。
また平井先生の医療機器を選択するセンスにも衝撃を受けました。
下の写真は次世代IPLでもあるI2LP デンマークDDD社製のエリプスフレックスです。
数人の施術を見学しましたが、しみへの紅斑反応がとてもしっかりと出ます。
黄色のレーザー光を発生するNORSELD社製DUAL YELLOWです。
578nm511nmの2つの波長を発行します。赤アザ、血管拡張に抜群の切れ味です。
このレーザーはまだ日本に5台しかないそうです。
このような優れた医療機器を初期に世界から持ってくるセンスが平井先生の凄さです。
スタッフとのツーショット。学生時代にはモデルもしていた素敵なスタッフです。
おにぎり、ありがとうございました!名古屋に来たときは手羽先をご馳走しますよ。
(気のせいか私の手がハート型になっていませんか?)
帰りの新幹線の中では一心不乱にメモをまとめました。
いい治療を提供するには生涯をかけて勉強を続けていくしかありません。 -
ボディシェイピング治療
2009-11-04 UP! カテゴリー:その他, 診療だより
株式会社JMECさんが主催する第9回トータルアンチエイジングセミナーに参加しました。
京王プラザホテルで開かれたセミナーは200人以上の医師が集まり大盛況でした。
4部構成からなりとてもバランスのよいセミナーでした。
私が特に注目したのが第1部の光レーザーと第3部のボディシェイピングです。
このセミナー学んだことを順に列記します。
後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)の最もよい治療はQスイッチルビーレーザーです。
肝斑合併例もありどうしても炎症後色素沈着症(PIH)が気になります。
ADMでのPIH出現率は66.6%とのこと。老人性色素斑の40.2%と比べると随分頻度が高いですね。肝斑合併例だと90%まで上昇するそうです。
ADMはやはりレーザー治療前からビタミンC、トラネキサム酸の服用、ハイドロキノン軟膏の外用を行ったほうがよいようです。
肝斑合併例ではドット(点)状の色素斑のみレーザー照射すべきですね。
第3部のボディーシェイピング、つまり痩身です。
今回、私が最も聞きたかったテーマです。
従来の脂肪吸引に変わる治療としてのBody contouringという概念が注目されています。
countouring、すなわち輪郭描出のことです。
Body contouringとは脂肪を減らすだけではなくラインを美しくする意味のようです。
JMEC社が取り扱っているVela ShapeとZeltiq の話を聞くことができました。
Vela Shapeは高周波、赤外線、吸引マッサージの相乗効果で部分痩せによい機器です。
セルライトの治療にも有効とされていますが、ある程度のシェイピング効果を維持するのに定期的に施術を受ける必要があります。
Zeliq も部分痩せの機器ですね。皮膚を外から吸引して、その間の脂肪を4℃以下に冷却して溶解させるという原理です。Cryolipolysisという言葉も初めて聞きました。
しかし、美容外科ではセルライトを含めていろんな造語が登場しますね(苦笑)。
(これらの言葉は医学的に根拠のあるterminologyなのでしょうか?)
Zeltiq はアダプターが大きいので腹部、腰部の大きな部分など適応が限られています。
1~2時間かけて腹部の脂肪を冷却しながら融解します。
理論、効果とも自分が納得した治療しか提供しないのが私のポリシーです。
私が購入したいと考える痩身機器に少しずつ近づいてきました。 -
マスターたちとの日々 その1
2009-10-23 UP! カテゴリー:その他, 診療だより
岐阜市の市田クリニックをご存知ですか?
美容外科のクリニックさんです。院長の市田正成先生の技量には定評があります。
岐阜市の郊外ですが東京、関西、九州方面からも患者さんが来られます。私も勤務医の時に見学させて頂いたことがあるのです。
その時、市田先生は60歳くらいだったと思いますが、細かい手術を寸分のくるいなく執刀する様子はまさに匠の技でした(確かその時はtatoo切除後の植皮術、重瞼術、眼瞼下垂手術を見学したのを覚えています)。
勤務医の頃に手術見学した際のツーショットです。
私の右手と市田先生の左手に注目してください! 何かわかりますか?
チューイングガムの紙でできた鶴です。
片手だけでチューイングガムの紙で鶴を折る、これは最高の外科手術トレーニングです。
市田先生の書物に書いてあり、一時期はまりました。そのことに触れたら、皮膚科医でそれやってる先生は珍しいな~、先生すごいよ、とほめて頂きました。
市田先生の著作 スキル美容外科 手術アトラスは凄い本です。
特にシリーズ1の眼瞼編は何回も読み返しました。
今回、第3弾の鼻編が出版されたので早速購入しました。
ヒアルロン酸隆鼻術についても書かれていました。
私はある講習会で骨膜上にヒアルロン酸を注入する、と習いました。
この本では注入レベルが皮下となっています。東海コラーゲン研究会での講師の先生も
皮下に注入していました。ヒアルロン酸による隆鼻術は骨膜上の注入か、皮下注入か?
私は最近では皮下へ注入しています。そのほうがより鼻筋が通る印象があります。
ただし、あまり上方(眉毛側)まで注入しないように気をつけています。
いかにも整形しました、というような鼻を作りたくは無いですよね。 -
多血小板血漿療法 【W-PRP注入療法】
2009-10-04 UP! カテゴリー:PRP療法, 診療だより
最も難渋する治療の一つが眼の下の小じわです。
新しいタイプのヒアルロン酸であるリデンシティーもしくは多血小板血漿療法を行っています。
多血小板血漿療法(W-PRP)はかなり普及されました。
自分の血液を用いて肌の再生を促す、シワ・タルミの治療です。
もともと血液に含まれている血小板や白血球は体にできたキズを治す働きをしています。
その血小板と白血球を濃縮し併用して用いることで、ヒトが本来持っている自然治癒力・組織再生力を
最大限に引き出します。
自分の血液で自分の肌を再生させる、再生医療を応用した治療法といえます。
当院での再生医療の手順について説明します。
36歳のとてもチャーミングな女性です。眼の下のこじわを気にされて来院されました。
特殊な採血管で採血します。この採血管1本で血液を9cc取ります。
献血の400ccに比べるとわずかな血液量です。
強く駆血しすぎると血球が破壊されカルシウムイオン濃度が高くなってしまいます。
すでにこの時点から治療の仕上がりは影響されるのです。
遠心分離機で血球成分と血漿を分離します。
分離された状態です。ここからは採血管を振動させないよう慎重に取り扱う必要があります。
血漿成分を1ccほど残します。ここに濃縮された白血球、血小板が凝集されています。
血漿は上層からゆっくりと吸引していきます。撹拌させてしまうと効果が全くでません。
*後輩ドクターより以下のような質問がありました。
「遠心分離にかけると白血球、血小板などの血球成分もフィルター下の赤血球の層にいくのでは?」
下の試験管を良く見てください。中央に白い固まりがあります。
これはフィコールのような分離フィルターです。これにより密度勾配遠心がかかり、白血球と血小板が
白い分離フィルターより上の層にたまるのです。このフィルターがこの試験管のポイントです。
塩化カルシウムが入ったスピッツに入れます。
活性化されたW-PRPです。これは強力ですよ。
30Gの針を用いて眼の下に注入します。注入点は3点、皮下脂肪のレベルに注入します。
時間がたつにつれてゲル化が進むので、手早く正確に施術します。
ガーゼを用いて顔の輪郭に沿って軽く押し広げます。強く押し付けるのもよくありません。
この操作で仕上がりが左右されるほどです。
施術直後の状態です。発赤が目立ちます。
発赤は3日間くらいは目立ちますのでOLさんは週末の施術がよいでしょうね。
W-PRP療法は下眼瞼の小じわよりはゴルゴラインのくぼみ、ほうれい線のほうが効果は高い印象を感じています。
下眼瞼の小じわ治療として、
W-PRP以外にもフラクセル照射、ペレブ(高周波治療)、リデンシティーなど多くの治療があります。
侵襲が少なく、効果の持続期間がより長いのが良いのは言うまでもありません。
これからもずっと眼瞼治療を追求していきます。
当医院は『予約制』です。お問い合わせ・診療のご予約はこちら 受付可能時間=診療時間 TEL 052-332-7870
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○…通常診療
☆…手術/レーザー治療(フォトRFなど)/ヒアルロン酸/ボトックス治療など