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診療だより

診療だよりの記事一覧

  • 【しみの治療】 Qスイッチルビーレーザー

    2009-05-21 UP!     カテゴリー:しみ(ルビーレーザー), 診療だより

    私がこだわっている治療の一つがしみ治療です。
     
    しみと言ってもたくさんの種類があります。
    老人性色素斑(日光黒子)、雀卵斑、肝斑、太田母斑、後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)、外傷性刺青、炎症後色素沈着などなど。

    この中でも治療頻度の高い疾患は老人性色素斑です。
    このしみ(老人性色素斑)治療のゴールデンスタンダードはQスイッチレーザーです。

    ちょいと小難しい話をします。
    Qスイッチとはレーザー共振器に特殊なシャッターを取り付けることにより光エネルギーを
    十分に蓄積して、瞬間的にパルス幅の狭い大出力のレーザー光を照射するものです。
    この方法により通常はms(ミリセカンド:10-3秒)程度のパルス幅を、数十ns(ナノセカンド:10-9)まで短縮することができます。
     
    パルス幅の短い大出力のレーザーを照射することにより周辺正常組織へのダメージが少なく、変性や瘢痕を形成せずにしみのみを有効に治療できるのです。

    医療用Qスイッチレーザーとしては、Qスイッチルビーレーザー(QSRL)のほかに、Qスイッチアレキサンドライトレーザー(QSAL)、QスイッチNd:YAGレーザー(QSYL)があります。
     
    波長の長さはQSYL(1064)>QSAL(755)>QSRL(694)>QSYL(532)の順です。
    ルビーの694nmという波長がメラニンの吸収率が最も高いです
     
    照射時間はQSYL(10ns)<QSRL(20ns)<QSAL(50~100ns)の順に短いです。

    しみ治療において日本で最も有名な葛西健一郎先生(葛西形成外科 院長)は真皮メラノサイトや刺青粒子を破壊するにはQSRLの20nsくらいが「ちょうどよい」のではないかと述べられています。波長だけではなく照射時間も重要なファクターなのです。
     
    その他の重要なポイントとして「実用フルエンスにおけるスポットサイズ」を指摘しています。
    スポットサイズはある程度大きいほうがよいのです。
     
     
    第59回日本皮膚科学会中部支部学術学会にて葛西先生と(右端の大きな先生です)。
    しみ治療に関して葛西先生から実に多くのことを学ばせてもらいました。
     
     
    前置きが長すぎました。
    私はQスイッチルビーレーザー(JMEC社 The Ruby Z1を購入しました。
    波長694nm、パルス幅20ns、スポットサイズ6mmとすべてがしみ治療に理想的です。
     
    ルビー、アレキサンドライト、YAGといくつも使用した経験を踏まえての最終判断です。
    スタッフもルビーレーザーの切れ味のよさに興奮しています(笑)

     
     
    ルビーレーザーは他のQスイッチレーザーよりデリケートな機器でありメンテナンス費用などもかさみます。美容外科の先生がたの多くはQスイッチYAGレーザーを使用しています。
     
    私は真面目な皮膚科医です。コストが高くなってもしっかりと結果を出す治療を提供したい。
     
    The Ruby Z1は厚労省の薬事承認が取れています。いわゆる‘しみ’は自費診療になりますが、太田母斑、扁平母斑、異所性蒙古斑、外傷性刺青などは保険診療が可能です。
     
    しみ治療、そろそろ本気で考えませんか?
     
     
    参考文献
    しみの治療  葛西健一郎 文光堂
    Qスイッチルビーレーザー治療入門  葛西健一郎 文光堂
    Visual Dermatology 【しみはどこまできれいになるか?その理論と実際 治療法編】
    2005年8月号 秀潤社
    皮膚科診療プラクティス 17 Rejuvenationの実際  文光堂
    若返り美容医療の実際 永井書店  編集 窪田潤一郎 永井書店

  • 脂肪腫 season 2

    2009-04-29 UP!     カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより

    脂肪腫で当院を受診された患者さまからよく言われることがあります。
    どの科を受診すればいいのか分からない。外科なのか整形外科なのか?
     
    皮膚科で手術してくれるとは思わなかった・・・
     
    私は勤務医時代から脂肪腫の手術も数多く手がけてきました。
    その時の経験で感じたことがあります。
     
    ①脂肪腫は頭、後頚部、背、肩、下腹部、前腕によく見られる。
      その中でも肩、下腹部の脂肪腫は大きく育っていることがある。
    ②背部の脂肪腫を摘出すると肩こりの軽減を感じる人がいる。
    ③臨床的に脂肪腫と思っても病理組織検査で脂肪肉腫と診断されることがまれにある。
     
    脂肪腫は良性腫瘍です。
    しかし大きくなると整容的に具合が悪いので肩、下腹部の脂肪腫は早期に摘出するようにしています。
    皮膚科医として脂肪肉腫(間葉系のがん)を見逃すことは許されないので全例を病理組織検査
    提出しています。
     
    当院で行う脂肪腫の治療を供覧します。
    脂肪腫の摘出術を受けたい患者さんに治療のイメージをお伝えすることができれば嬉しいです。
     
    左鼡径部(股の付け根)の脂肪腫です。触ると柔らかい腫瘍です。

     
     
    大きく切開して摘出するのが一般的です。しかし私は皮膚腫瘍のプロフェッショナルです。
    傷を最小にすることをいつも心がけています。腫瘍の中央に11番メスで小切開を加え、
    揉みだして腫瘍を露出させてます。(上の写真と向きが違います)

     
     
    摘出した検体です。なんともかわいらしい形ですね。

     
     
    傷はわずか5mm程度です。創は何ミリまで縮小できるのか?
    限界にチャレンジしたいですね。

     
     
    真皮縫合を丁寧に行うので創はほとんど目立たなくなります。
    手術の所要時間は15分くらいです。

     
     
    左肩の脂肪腫です。かなり大きく手強い症例です。肩の脂肪腫は下の筋膜と癒着していることが
    多く切開を大きく取らざるを得ないです。しかし、本心では最小切開で摘出したい。
    特に肩関節付近は術後に創が瘢痕ケロイドとなりやすいのです。

     
     
    このような症例で心強い武器が皮膚エコーです。LOGIQ Book XPの出番です。
    脂肪腫の末梢側(肩関節と反対方向)は筋膜と癒着がなさそうです。
    (黄色の矢印が筋膜です)

     
     
    肩関節付近の脂肪腫は筋膜と癒着がありそうです。癒着があるかどうかは肩を動かしてもらい
    腫瘍と筋膜との引きつれの有無で判断します。黄色矢印の筋膜が引きつれています。
    こうして術前のエコー検査で腫瘍の三次元的なイメージを頭にインプットします。

     
     
    肩関節方向には傷を伸ばしたくないので腫瘍の中央部にのみ切開します。
    周囲を揉むと脂肪腫が飛び出てきました。

     
     
    ここからがポイントです。
    スーパーメッチェンで周囲を剥離します。出血しないようなるべく鈍的に剥離を進めます。

     
     
    皮膚エコーの情報を参考にしながら腫瘍の底面を指で鈍的に剥離します。
    この指での剥離はとても有効です。院長のゴールドフィンガーの出番です。

     
     
    脂肪腫がどばっと出てきました。

     
     
    露出した左肩の三角筋です。指で鈍的に剥離したため筋肉には損傷がありません。

     
     
    ずいぶんと大きな脂肪腫ですね。これだけ大きいと病理組織検査で脂肪肉腫と鑑別することが
    大切です。今までは脂肪腫のためカッターシャツが着づらかったとのことです。
     
    これでもう大丈夫です。 写真は脂肪腫の表側と裏側です。


     
     
    腫瘍の治療で最も大切なことは腫瘍の完全摘出です。できれば傷も小さいとよりいいですね。

     
     
    脂肪腫は皮膚良性腫瘍です。腫瘍なので少しずつ大きくなります。
    邪魔になり腫瘍が気になりだしたら治療を受けるタイミングだと思います。

  • 超音波検査 LOGIQ Book XP

    2009-04-23 UP!     カテゴリー:その他, 診療だより

    超音波診断装置(LOGIQ Book XP)がクリニックの仲間に加わりました。
    清水の舞台から飛び降りるつもりで思い切って購入しました。
     
    皮膚腫瘍のスペシャリストを自負する院長としてどうしても導入したかった医療機器です。
    私も今まで色々と使いましたが従来の超音波診断装置にくらべてかなりコンパクトです。
    プローブも軽く皮膚腫瘍の診断にはもってこいです。

    もちろん保険適応(D215 超音波検査 2 断層撮影法 )が可能であり、CT、MRI検査に比べるとずっと検査費用が低いです。また動的な検査が出きるのも超音波診断の特徴です。
     
    カバーを閉じるとこんなにコンパクトです。小回りが抜群です。

     
    画像はかなりいいですよ。
    カラードップラー法もできますので血管腫も鑑別可能です。
    撮影した写真は患者さまにお渡しするようにしています。

     
    アップに耐える顔ではありませんが・・・  めんそ~れ。
    このプローべ(院長の右手)を見てください。とても小さく軽量です。

     
    すこし症例を提示します。皮膚腫瘍の王様、粉瘤です。形が丸く、境界が明瞭です。後方エコーの増強と両外側陰影(腫瘍の両外側から下に伸びる線状の黒い影)が見られます。

     
    下の写真は女性の腋窩部に見られた化膿性汗腺炎の像です。
    化膿性汗腺炎は化膿性粉瘤とよく誤認されます。エコー像が粉瘤のそれとは明らかに違いますね。境界が不整なのが鑑別のポイントです。内容物が膿瘍なので後方エコーの増強がより強くでます。またcyst構造ではないため両外側陰影も見られません。

     
    このように超音波検査(皮膚エコー)は腫瘍の性状だけではなく、腫瘍と感染症の鑑別診断にも大変有用です。感染症は時に腫瘍のような感触を呈するものです。
     
    超音波診断装置の導入で皮ふ科SSクリニックがますますパワーアップしました。
    皮膚腫瘍でお困りの方はお気軽に当院にお越し下さい。

  • 第1回中部東海地区コラーゲン・ワークショップ

    2009-04-06 UP!     カテゴリー:診療だより

    平成21年4月5日の日曜日、さかえクリニックにてコラーゲン、ヒアルロン酸注入、美容皮膚科のワークショップに参加してきました。
    コラーゲン株式会社さんが主催です。東海地区は初の開催です。
    講師はさかえクリニック院長末武信宏先生です。
    末武先生は第5回国際美容外科学会で発表されている姿をお見かけしたことがあります。とても聡明な先生です。ヒアルロン酸の症例数は1000例を超えており名古屋で間違いなくトップレベルの美容外科医です。

    ヒアルロン酸注入は私も真面目に手がけていますが自己流に陥るのが怖いです。いろいろな先生と交流して自分の手技を定期的に再確認する必要性を常々感じています。

    末武先生の実技を見て特にプチ整形と呼ばれるヒアルロン酸隆鼻、下顎形成は大変参考になりました。私はヒアルロン酸隆鼻の際に骨膜上で注入していますが、真皮~皮下組織の境界部に注入する方法など違った視点での注入法を学びました。

    末武先生の言葉で特に印象的だったのは「教科書通りにすると必ず失敗する。だから腕の良い開業の先生の施術を見ないとだめなんだよ」。
    まさに正鵠を射る言葉です。私もかつて教科書どおりに施術して痛い目にあったことがいくつかあります。眉間、前額のボトックス治療、下眼瞼のヒアルロン酸注入などです。
    今では自信を持って施術することができます。それはなぜか?
    思い通りの結果を出せなかった症例に対してその原因を徹底的に考え、研究会などに参加した際に経験豊富な先生にとことん質問するからです。
    嫌になるくらい考える、考えて考えて、考えぬく。これがプロになる秘訣です。
    今回のワークショップは末武先生のスーパーテクニックもさることながら末武先生の美容にかける熱い真摯な気持ちを体感することもできました。
     
     
    画面右の白衣の先生が末武信宏先生です。美容外科に対して本当に情熱を持って真面目に接しておられます(中央はSSクリニック院長です)。

     
     
    ワークショップ前半は末武先生の講義です。院長もいろんな質問を経験豊富な末武先生にぶつけます。末武先生の14年もの経験に裏打ちされた美容外科の理論には脱帽です!

     
     
    皮ふ科SSクリニックでメインで使用しているヒアルロン酸はアラガン社のジュビダームウルトラです。麻酔(リドカイン)入りのため注入時の疼痛が少ない優れものです。

     
     
    後半は実技指導です。この日はコラーゲン、ヒアルロン酸注入のほかにQ-YAGレーザーを用いたレーザートーニングも学びました。肝斑もレーザーで治療できる時代です。
    (ここだけの話ですがゴールデンウィーク前後にSSクリニックでも Q switch laser を導入する予定です。YAG、アレキサンドライト、ルビーの3機種をテストしています。しみに対して院長が最も効果的と実感した機種のみを購入します。納得したものしか使いません。)

     
     
    末武先生とのツーショットです。イケメンな先生ですね。
    末武先生はスポーツドクターもされており、K-1 のリングドクターとしてもご活躍です。
    また多忙の中、順天堂大学医学部附属病院の大学院でスポーツ生理学を研究しておられます。勉強し続けるその姿勢には頭が下がります。

     
     
    ワークショップ後の懇親会です。美容治療、運動生理学、音楽、経営学などなど、話は尽きません。本当に有意義な一日でしたよ。 森リ~ン。

     
    豊富な知識を惜しみなく教えてくださった末武先生、そして素晴らしいワークショップを開催してくれたコラーゲン株式会社の深澤さん、川上さん、本当にありがとうございました。
    第2回東海地区ワークショップも期待してますよ!

  • 皮膚腫瘍摘出術 -私の考え-

    2009-03-20 UP!     カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより

    皮ふ科SSクリニックには皮膚腫瘍の手術を目的に多くの紹介患者さまが来院されます。
    皮膚腫瘍摘出術において重要なことは
    ①皮膚腫瘍の完全摘出
    ②手術の傷を目立たないようにする(特に顔面)

    この2点に留意します。特に①の完全摘出が最も大切と私は考えています。
    摘出が完全でない場合、腫瘍は再発します。その際に創部は瘢痕となっているため初回手術にくらべて摘出がずっと困難になります。初回手術が最も大切なのです。
    完全摘出できているかどうかは病理組織検査で確認することができます。
    皮膚腫瘍は必ず病理組織検査を行う病院で受けてください!!

    皮膚腫瘍の摘出にメッチェン(手術用のハサミ)を使う先生もいますが私はメスを好んで使用しますメスで腫瘍を摘出する際に腫瘍の形態がメスを持つ指先に触感として伝わります。この感覚こそが腫瘍摘出の際に私が最も大切にしているものなのです。

    メスはディスポーザブルのプラスティック製ものもありますが私は金属製のメスホルダーを使用しています。金属ホルダーの重さを利用して腫瘍を摘出します。
    メスホルダーはFEATHER (日本製)、Swann-Morton (英国製)の2種類を使い分けます。Swann-Morton社製ホルダーのほうが重量があります。またそれぞれのメス刃の形も微妙に異なります。
     
    写真上の金色のホルダーがSwann-Morton、下の銀色がFeather社 のメスホルダーです。

     
    Swann-Morton社のメス刃(写真上)のほうが形がシャープです。

     
    メスホルダーの重さを利用して組織を切ります。

     
    繊細な操作はメスを立たせてメス刃の先端を使います。

     
     
    実際の症例を4つ(粉瘤、外毛根鞘性嚢腫、脂肪腫、腱鞘巨細胞腫)提示します。
     
    腰部の再発性粉瘤です。スキンフックで検体を引き上げメスで嚢腫壁を露出させます。

     
    摘出した検体です。嚢腫壁がきれいに取れています。余分な組織はついていません。

     
    頭頂部の外毛根鞘性嚢腫です。メスで切り開いていきます。

     
    ひょうたんのようなめずらしい形ですね。きれいに取れています。

     

    後頭部の脂肪腫です。脂肪腫は周囲の皮下脂肪と境界が分かりづらいことがあります。
    このような症例こそメスが大切です。メスで脂肪腫と帽状腱膜をていねいに剥離します。

     
    脂肪腫は完全に摘出されました。相変わらずいい仕事していますね(笑)。

     
    手術直後の創です。時間が経過すれば傷はほとんど目立たなくなります。

     
    腱鞘巨細胞腫の症例です。指にできやすい腱鞘(腱を被う薄い組織)由来の腫瘍です。
    (この症例のみ私が名古屋大学医学部附属病院時代に執刀したものです)

     
    腱鞘をメスで腱から除去しながら腫瘍を摘出します。このような操作はメスが最適です。

     
    関節の拘縮を防ぐためS字に皮膚切開しています。再発しやすい腫瘍なので術後5年間
    経過観察しました。もちろん再発なしです!! これが本当の皮膚腫瘍摘出術です。

     
    写真は唐招提寺の千手観音立像の指です。やわらかく慈愛に満ちた指ですね。
    こんな指になりたいと思いながらメスを握る日々です。

  • 超音波診断法 - 皮膚腫瘍への応用 -

    2009-03-08 UP!     カテゴリー:診療だより

    私は大学病院勤務中に超音波診断法(皮膚エコー)を研究テーマの一つにしていました。皮膚科は他の科と比べて検査が比較的少ないようです。超音波診断法の応用について思いつくままに述べると、循環器内科で心臓の機能評価、消化器内科・外科で肝硬変、胆石の確認、産婦人科で子宮、卵巣の形態評価、新生児の発育評価などなど。

    皮膚科領域への超音波診断の応用はあるのか?

    今回はそのことについて私の考えをまとめました。
    皮膚科で超音波診断法を本格的に応用した皮膚科医として私が真っ先に思い浮かぶのが
    静岡がんセンター皮膚科部長の清原祥夫先生です。清原先生とは現在も個人的に親しくさせていただいており皮膚外科学会などで皮膚エコーのアドバイスを頂戴しています。
    また私は虎の門病院に修行中に皮膚科部長の大原國章先生より手取り足取り皮膚エコーのいろはを教えていただきました。

    今回、メディカルK社さんのご好意で超音波診断装置 LOGIQ BOOK XP Enhanced を使用する機会に恵まれました。私が大学を離れ開業した現在、東海地方で本格的に皮膚エコーを活用している先生はほとんどいないようです。個人クリニックでの症例ですがこのブログで症例を提示することにより東海地方の皮膚科医への問題提起になれば幸いです。

    皮膚科への超音波診断の応用として最も適しているのは皮膚腫瘍だと思います。
    具体的には以下の3つがポイントです。

    ① 皮膚腫瘍の質的診断
    ② 皮膚腫瘍の局在の確認
    ③ 皮膚腫瘍と周囲組織との癒着の有無を確認

    具体的に3つの症例を提示します(いずれも皮ふ科SSクリニックでの症例です)。
     
    これがLOGIQ BOOK XP Enhanced です。小型ですが高性能であり、皮膚科で使用するには十分な器械です。周波数は11MHzを基本としています。

     
     
    皮膚腫瘍の代表、粉瘤のエコー像です。底面後方エコーの増強、両外側陰影が見られます。いづれも粉瘤(Cystを有する腫瘍)の特徴です。周囲組織との癒着はなさそうです。

     
    摘出した検体標本です。Cystがくるりときれいに取れていますね。

     
     
    後頭部の脂肪腫のエコー像です。後頭部の脂肪腫は粉瘤との鑑別がとても大切です。
    粉瘤と比較して全体の形が扁平(紡錘形)です。内部エコーもやや high です。

     
    摘出した脂肪腫です。なんだか愛らしい形をしていますね。

     
     
    最後の症例はリンパ節です。下顎の粉瘤を疑われ同門の先生より紹介されました。
    触診で粉瘤より硬く、局在が深い点などが腑に落ちずエコー検査を行いました。
    黄色い矢印で囲まれているのがtumorです。咬筋の近くに局在しています。
    内部エコーの中心が明るくドーナツ状の構造を示しています。これがポイントです!!

     
    右下顎部に灰褐色の塊が露出しています。顔面神経下顎枝を避けながら摘出しました。

     
    病理組織標本です。診断は reactive lymphatic hyperplasia です。
    炎症によるリンパ節の腫脹です。下方にリンパ門に入る動脈と輸出リンパ管が見られます。この領域がエコーで high に見えた部分です。エコーと病理組織が対応していますね。

     
    このように超音波診断法は皮膚腫瘍の診断、局在(深さ)の確認にとても有効なことが分かります。もちろん保険適応です。皮膚科医も積極的に皮膚エコーをするといいですよね。
     
     

    拙著ですが私が2000年に発表した皮膚科領域への超音波診断の論文です。
    虎の門病院皮膚科の大原國章先生、ご指導ありがとうございました。
     
     
    参考文献
    1) 皮膚科の臨床 第42巻 第8号:1135-1145, 2000
    「皮膚皮下病変への超音波診断の応用」 柴田真一 金原出版
    2) 皮膚科超音波診断マニュアル  Monthly Book Derma. No. 79:18-27, 2003
    「皮膚,皮下病変の超音波検査」 柴田真一 全日本病院出版会
    3) 臨床放射線科 43 : 1375-1380, 1998 入江建夫
    4) 体表エコーの実践 12-15, 1993  医療科学社
    5) Radiology  183 : 215-220, 1992  Vassallo P
    6) 臨床放射線科  43:1392-1395, 1998 白川崇子

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