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- そのまぶたの下がりは放置してはダメ!
眼瞼下垂の症状と治療をチェック
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眼瞼下垂
2019.12.27
女性の眼瞼下垂は40歳ぐらいから始まると言われています。年齢を重ねるにつれ、なんだか目が小さくなった? と感じたら、早めの受診をおすすめします。眼瞼下垂は、放置することで症状が進行し、日常生活にさまざまな不具合が生じる可能性があります。
気になる方は、このコラムの眼瞼下垂チェックリストでご自身の状態を確認してみてください。
眼瞼下垂にならないように日常生活で気をつけることや、治療をうける際の注意についても解説します。
あなたは眼瞼下垂?
眼瞼下垂とは、上まぶたが下がって、自然な状態で目が開けにくくなっている病気のことです。目の黒目の中にある瞳孔に、まぶたがかぶさってしまう状態が、保険診療での手術の適応となります。
まだそこまでいっていないけど、最近目が開きづらいなどの自覚症状がある方は、眼瞼下垂かどうか確認してみましょう。
チェックしてみましょう!
あなたは眼瞼下垂?
□ 若い頃に比べ、上まぶたがたれてきた
□ 目が開きづらい
□ 夜間はまぶたが重く感じる
□ 視野が狭くなってきた
□ 疲れている?とよく聞かれる
□ 一重まぶたが二重になった
□ 常に眠たそうな表情だ
□ 年齢より老けて見える
□ 眉毛の下がくぼんできた
□ 物を見る時にあごを上げてしまう
いかがでしょうか?
上記の症状は全て眼瞼下垂と関係があるため、たくさんあてはまるという方は、早めの受診をおすすめします。
眼瞼下垂になりやすい人とは
眼瞼下垂になる理由には、先天性のものと後天性ものがあります。加齢が原因の眼瞼下垂は後天性のもので、誰でも罹患する可能性があります。
さらに後天性の眼瞼下垂になりやすくなってしまう、やってはいけない行動がいくつかあります。以下に解説します。
①ハードコンタクトレンズを長期使用している人
ハードコンタクトレンズを長期間使用している方は、眼瞼下垂になりやすいと言われています。
眼瞼下垂は、かつてNHKの情報番組で取り上げられ、一般的にも広く知られるようになりました。この番組で眼瞼下垂を解説したのは、信州大学の形成外科松尾清前教授です。信州大学形成外科医局員の北澤健医師が論文を発表し、ハードコンタクトレンズを20年使用すると、そうでない人と比べてリスクが20倍になる発表しました※。
眼瞼下垂は以前からある病気ですが、ハードコンタクトレンズが登場したこともあって、近年では罹患率が上昇しているかも知れません。
※ Hard Contact Lens Wear and the Risk of Acquired Blepharoptosis: A Case-Control Study
②目をこする人
花粉症やアトピーなどで、目が痒くなったときに目をこする人はリスクが高いと言えます。まぶた越しに目をこすると、目を開ける筋肉である挙筋腱膜が痛みやすくなります。
かゆみを抑えるために、目薬などを利用して、なるべくこすらないようにしてください。
③いつもアイメイクする人
日常的にメイクを行うのは女性の方が多いと思いますが、アイメイクをしっかりする方は要注意です。
眼瞼下垂は、女性は40歳ぐらいから始まって、男性で50歳ぐらいから症状が出ると言われています。女性は男性より10年早ですが、それはお化粧をすることによって目に負担がかかっているからと考えられています。アイメイクをする・アイメイクを落とす際にまぶたに常に刺激を与えているため、挙筋腱膜が痛みやすいのです。
クレンジングの際は、力を入れずにメイクを落とすことが大切です。
眼瞼下垂を放置してはいけない理由
眼瞼下垂をそのままにしておくと、症状が進行してしまい、日常生活にも不自由が出ることがあります。
代表的な症状では、目が開けづらい、視界が狭い、夜はまぶたが重いといった目の機能低下が挙げられます。
さらに、見た目にも影響を及ぼします。眠そうに見える、疲れて見えるなどが代表的な症状で、特に眼瞼下垂は眉下がくぼむため、老け顔に見られてしまいます。
目が開きづらいため、眉毛を上げて無理矢理目を見開くことから、肩に力が入り過ぎて肩こりになったり、頭痛が出る人もいます。またおでこにしわが刻まれてしまい、さらに老けた顔なってしまいます。
また、眼科と形成外科では見解が分かれるところですが、眼瞼下垂は自律神経失調症にも関与しているという説があります※。眼瞼下垂は挙筋腱膜が上がらなくなる病気ですが、その際に自律神経に支配されているミュラー筋が刺激過剰になるため、不安や緊張、警戒心、睡眠障害などの精神症状を引き起こしてくるのではないかと考えられています。
眼瞼下垂手術について
眼瞼下垂手術の主たる目的は、ずばり目を開きやすくするための機能の改善です。ですが同時に、眼瞼下垂手術を受けた方は、もれなく二重まぶたになります。
テレビで認知度が上がったことから、眼瞼下垂手術を希望される患者さまは年々増加の傾向にありますが、そこで迷われるのは、保険診療で受けるか自由診療で受けるかです。
保険診療の眼瞼下垂手術は両側で約5万円と手術費の負担が少ないのが大きなメリットですが、保険診療か機能改善を目的としているため、術後の見た目、仕上がりには関与しない傾向にあります。まぶたは上がるようになったけれども、左右差が出たり、ビックリ目になったり、顔の印象が以前と違ってしまうといったケースも見受けられます。もちろん全ての医療機関がそうではなく、きちんと仕上がりまで責任を持つドクターもいますが、当クリニックでも「術後の二重のラインに不満が残る」「以前の二重ラインと違う」「傷が汚い」と来院され、再手術する方もいらっしゃいます。
その点当クリニックをはじめとした自費診療の美容クリニックでは、機能の改善とともに見た目も美しく仕上がるように治療を行います。そもそも美容クリニックは、二重まぶたの美容整形などを数多く手がけており、美容形成術に長けた医師が多いと言えるでしょう。また、症状によっては術式を変えて、患者さま個々に対応した柔軟な治療も可能です。ただ、治療費が高額になるというデメリットがあります。
もうひとつ注意すべき点として、切開式重瞼術を眼瞼下垂手術との名称で行う美容クリニックも少なからずあるので、クリニック選びは大変重要です。
目は印象を決める、特に重要なパーツです。患者さまの満足につながらない治療は、保険診療にしても自費診療にしても良くはありません。
手術を受ける前に、インターネットなどで手術についてご自分で調べて、可能であれば良いと思った医療機関の先生に詳しく相談してみましょう。
- Doctor comment
- ドクターコメント
眼瞼下垂の手術は腫れなどのダウンタイムが大きいため、手術は人生で1回でいいと私は考えています。
そのため、機能改善だけでなく、仕上げの美しさにもこだわっています。例えば当クリニックでは、40~50代の患者の治療が多いのですが、カウンセリングには必ず20代くらいのスナップ写真を持ってきていただきます。それを基準にして、どうしたいかを必ずお聞きします。患者さまの若い頃の顔を目指し、仕上がりの違和感をなるべく取り除きたいと考えています。
眼瞼下垂手術は、手術のなかでも内面が安定する手術のひとつだと思っています。見た目が若くなり、機能も改善する。上記のチェックリストであてはまる方は、ぜひカウンセリングを受けてみてください。
この記事の監修
SSクリニック 柴田真一 院長
プロフィール
- 経歴
- 平成6年 岡山大学医学部卒業
社会保険中京病院(臼田俊和 部長)
虎の門病院(大原國章 部長)に勤務 - 平成12年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科 助手
- 平成16年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科 講師
- 平成20年 皮ふ科SSクリニック(現在 SSクリニック)開院
- 所属学会・資格
- 日本皮膚科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本皮膚外科学会
- 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
- 日本皮膚外科学会評議員
- 日本アンチエイジング外科美容再生研究会 認定医