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- 目の下のクマにW-PRP治療をおすすめする理由とは?
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PRP
2019.12.02
顔がなんとなく疲れて見える、老けて見える原因のひとつに、目の下のクマがあります。クマとは、目の下部にできる黒ずんだ部分のことで、クマができる原因は症例によってさまざまです。
当クリニックでは、このクマの治療に多血小板血漿療法(W-PRP)を行っています。クマを治療して目の周りが明るくなると、顔の印象も自然に明るく見えます。
クマの基本的な情報と治療法について解説します。
クマの原因と種類について
クマと呼ばれている症状の原因は、大きく「肌の色調の変化によるもの」と「皮膚の立体構造が影響しているもの」に大別されます。
色調の変化によるものには、以下の原因が挙げられます。
①炎症による皮膚の色素沈着
目の周りの皮膚は人体の中で最も薄く、約0.6mmしかありません。さらに感覚が鋭敏な部分であるため、かゆみや腫れなどの炎症症状が起きやすい部位です。特に女性はファンデーションやアイカラーなどでメイクを行い、お化粧を落とす際にもクレンジング剤などを用いて、強くこするという刺激を与えがちです。
これらの原因により、炎症性の色素沈着が起こりやすいと考えられます。
②真皮の色素沈着(ADM)
目の下に起こりやすい病変に「後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)」があります。これは、アザの一種です。通常は表皮に発生するメラニンが真皮層にできるという特徴があり、皮膚の新陳代謝では排出されずに皮膚に留まり続け、目の下のクマのような形で現れます。
20〜30代に出現する後天性皮膚疾患の一種で、灰青色の独特な色調です。
③眼輪筋が透けて見える
下眼瞼(目の下の部位)には皮下脂肪がなく、真皮のすぐ下は眼輪筋(がんりんきん)と呼ばれる筋肉が存在します。疲れなどで顔面の血液循環が低下すると、静脈のうっ血状態が起こり、眼輪筋の色が紅色から暗い青色に変化します。薄い皮膚から透けて見えるこの青黒い色が、本来の「目の下のクマ」と呼ばれるものです。
何らかの理由で標準より皮膚の薄い人は、常にクマが出現した状態になります。
④静脈が透けて見える
目の下部分の静脈が浮き上がって青く見えるために、クマに見えるケースです。
一方、皮膚の立体構造が影響しているものには、以下の原因が挙げられます。
⑤目袋の影
眼輪筋のうしろにある眼窩脂肪(がんかしぼう)が加齢などの変化によってゆるみ、前方に押し出しように突出することがあります。これがいわゆる目袋で、目袋の下は影になって黒く見えるために、クマとして認識される場合があります。
皮膚を軽く引っ張ってみて、クマが消えるようであれば、目袋が原因であると言えます。
⑥小ジワ
目の下は皮膚が非常に薄いために、他の部位と異なるパターンで皺が形成されます。非常に細かいシワがたくさん形成されるケースが多く、少し遠くから見るとシワとは認識されずに目の下全体が少し黒くなったように見えるため、これをクマと思ってしまう方も多いようです。こちらも皮膚を軽く引っ張ってみて、黒さが消えるようであれば、小ジワが原因であると言えます。
また、他のタイプのクマが存在する場合に、小ジワが増えることによってさらにクマが深刻になるケースもあります。
以上が、クマの原因となるものです。
クマと間違えやすい他の症状には、女性ホルモン、加齢や紫外線、皮膚のこすり過ぎが関係していると言われる肝斑(かんぱん)というシミがあります。
一見して区別が付きにくく、間違ったケアを続けていると症状を悪化する可能性もあります。目の下のクマを直したいとお考えの方は、まずは皮膚科で正確な診断を受けることをおすすめします。
クマの一般的な治療について
クマ治療は、それぞれの原因によって治療法も異なります。
例えば、⑤目袋の影によるものでは、まぶたの裏側を切開して眼窩脂肪を取り除く経結膜下脱脂法(けいけつまくかだっしほう)という手術が有効です。皮膚のたるみ取りを兼ねて、表皮を切って脂肪を取り、縫い縮めるという下眼瞼形成術(かがんけんけいせいじゅつ)と言う手術を行うこともありますが、ダウンタイム(回復までに要する期間)がとても長く、日常活動が制限されます。
また、目の周りにヒアルロン酸を注入して目もとを明るくみせる治療法は、チンダル現象(ヒアルロン酸が膨らんで水っぽい肌質に見える現象)が起きやすいというリスクがあります。
クマにみえる肝斑や小ジワに、トレチロイン処方を行うケースもありますが、効果がゆるやかな割にかぶれなどのリスクがあります。他のクリニックでは一般的に行われているレーザー治療は、当クリニックでは行っていません。エビデンス(医学的根拠)が少ないことと、白斑といって治療後に肌の色が白く抜けることがあるためです。さらにレーザー治療をやめると元に戻ってしまうケースが多いため、ずっと治療をし続けなければならないというデメリットもあります。当クリニックで肝斑と診断した場合は、美白効果のあるトランサミンン(トラネキサム酸)の内服薬の処方と、こすらないスキンケアの指導を行っています。
当クリニックで行っているクマ治療は「W-PRP治療」です。目袋の影に対しては、手術を行いますが、それ以外の皮膚の薄さ・小ジワに対しては、高い効果が期待できます。
W-PRP治療とは
PRP治療は再生医療の一種で、ご自身の血液から抽出したPRP(多血小板血漿)を用いて行う、肌の再生治療です。PRPには豊富な成長因子が含まれており、小ジワの解消や、薄い皮膚の改善が期待できます。
他のクリニックでは「プレミアムPRP皮膚再生療法」「PRP療法」などの治療名で行われており、その手法も少しずつ異なりますが、SSクリニックでは白血球と血小板をカクテルした「W-PRP」を使用しています。W-PRPをクマ部分に注入することで、真皮層で線維芽細胞が増加し、コラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなどが生成され、自然に肌に明るさとハリがよみがえり、クマの改善が図られます。
美しい仕上がりのポイントは「注入量」と「注入の深さ」にあります。PRPを入れすぎると、注入部位が膨らんで逆にクマが目立って失敗してしまうことがあるため、量を控えめに打ちます。また注入は、下眼瞼には浅めに、皮下脂肪があるところは深めに打ち、注入する場所によって深さを変えています。さらに当クリニックでは、痛みが少なく注入量が均一になる機械式のメソセラピー注射器での注入も選ぶことができます。注入後にはマッサージを行い、より美しい仕上がりになるように注力しています。
個人差はありますが、W-PRP治療を一度行うと3年ほど効果が持続します。皮膚を切開しないため手術よりはるかにダウンタイムが少なく、自然な仕上がりです。ヒアルロン酸注入のように水っぽくなるということがなく、手術と異なり少しずつ変化があらわるために、周りの人にも治療を気づかれにくいといったメリットがあります。
目標は長期的に美しく
クマの治療は、すぐの結果はもちろんですが、長期的に美しさをキープするという姿勢が大切です。当クリニックでは、術後1ヵ月、3ヵ月、半年に定期検診を行っています。ご希望があれば、1年、2年と中期フォローも行います。
それは、以下のような理由があるからです。
例えば目袋の解消に手術を行いますが、一時的には良い結果でも、5〜10年経ってくると少しくぼんでしまうといったケースが多く見られます。そのため、W-PRP治療を併用して、長期的に見て自然な形の美しさを施すようにしています。
さらに目は常に動いているため、W-PRP治療で効果の出方が弱い方もいらっしゃいます。そういった方には、半年後の検診でベビーコラーゲンを注入し、結果をご実感いただけるように併用療法を行っています。
患者さまの経過をみつつ、長期的に見て自然な形の美しさを施すことが、当クリニックの目標です。
- Doctor comment
- ドクターコメント
私は皮膚科医として、10年以上のクマ治療を行ってきたキャリアがあります。その結果、長い目で見てクマをメンテナンスし、良い状態を保つというのが大切であると考えます。
W-PRP治療は単体でも行いますが、症状によっては他の治療と併用してご提案することもある、患者さまにとってメリットの多い治療法です。
愛知県内でクマ治療を受けたいと思われている方は、お気軽にカウンセリングにいらしてください。美容のかかりつけ医として、長期的に見て自然な形での美しさを実現する治療をご提案いたします。
この記事の監修
SSクリニック 柴田真一 院長
プロフィール
- 経歴
- 平成6年 岡山大学医学部卒業
社会保険中京病院(臼田俊和 部長)
虎の門病院(大原國章 部長)に勤務 - 平成12年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科 助手
- 平成16年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科 講師
- 平成20年 皮ふ科SSクリニック(現在 SSクリニック)開院
- 所属学会・資格
- 日本皮膚科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本皮膚外科学会
- 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
- 日本皮膚外科学会評議員
- 日本アンチエイジング外科美容再生研究会 認定医