美容医療コラム
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  1. 切る手術と切らない手術、どちらがいい?
    眼瞼下垂の手術について
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切る手術と切らない手術、どちらがいい?
眼瞼下垂の手術について
切る手術と切らない手術、どちらがいい?<br>眼瞼下垂の手術について

眼瞼下垂

2020.02.28

加齢などの原因によって、目を開いているのに上まぶたが常に下がってしまう眼瞼下垂という病気。重度の場合は、黒目の真ん中にある瞳孔の中ほどまでまぶたが下がってしまい、視界にも影響が出てしまいます。女性は40代、男性では50代以降にあらわれはじめ、年間10万件以上もの手術が行われています※。
常に目が開きにくい状態にあることで、周囲の人に眠そうに思われたり、そんなつもりはないのに「睨んでいる」「不機嫌に見える」と思われるほか、無理に目を開こうとして頭周辺の筋肉が緊張し、頭痛や肩こりの原因になったりします。
この眼瞼下垂の治療には、いわゆる「切る手術」と「切らない手術」の2つの方法があります。細かな手法は医療機関や先生によって異なる場合がありますが、この2種類の手術についてそれぞれのメリットとデメリットを解説します。

※ 「手術数が増えているまぶたの病気「眼瞼下垂(がんけんかすい)」より https://www.tbsradio.jp/167370

  1. 眼瞼下垂とは
  2. 眼瞼下垂の切る手術について
  3. 眼瞼下垂の切らない手術について
  4. それぞれのメリット・デメリット
  5. ドクターコメント

眼瞼下垂とは

上まぶたの中には、眼球とまぶたを動かす動眼神経の命令を受ける「眼瞼挙筋」と、交感神経の命令を受ける「ミュラー筋」という2つの筋肉があります。これらは、通常まぶたの先にある「瞼板(けんばん)」にくっついており、寝ている間以外は目を開けたり閉じたりするまばたきをくり返しています。
まばたきは1分間に約20回繰り返しており、1日16時間を起きている計算では1年で約700万回、50年でおよそ3.5億回もまばたきをしていることになります。この積み重ねで、だんだんと挙筋腱膜が伸びて緩んでしまい、筋肉の収縮がうまく伝わらずに目が開きにくくなります。これが眼瞼下垂と呼ばれる状態です。
眼瞼下垂は加齢だけでなく、まぶたのこすりすぎやコンタクトレンズの刺激なども原因となり、若い方でも発症する場合があります。また、生まれつき目が開きにくい先天性の眼瞼下垂もあります。

眼瞼下垂の切る手術について

それでは、「切る手術」について説明します。切る手術とは、「上まぶたを外側から切開して治療する」手術のことです。当クリニックでは、症例に応じて2種類の「切る手術」を使い分けています。
ひとつは「信州大学方式」と呼ばれる手術で、①上まぶたを切開する ②下横走靭帯などまぶたの開きを妨げている部分を切除する ③切開した部分から緩んだ挙筋腱膜を糸で瞼板に固定する手術です。主に形成外科などで受けられます。

もうひとつは、「挙筋前転法」と呼ばれる手術で、①と②までは同じですが、③挙筋腱膜の先端をミュラー筋より少量剥がして腱膜を前転し、正しい位置に固定する手術です。こちらは主に眼科、もしくは一部の形成外科が行う方法です。

固定が終了したら、切開部分を縫合します。術後は二重まぶたになります。

眼瞼下垂の切らない手術について

次に「切らない手術」について説明します。よく誤解される方がいらっしゃいますが、一般的な「切らない手術」は、全く皮膚を切開しないのではありません。「上まぶたを外側から切開しない」手術のことです。
手術は、上まぶたを裏返して結膜側を1cmほど切開し、そこからミュラー筋もしくは挙筋腱膜を糸で短縮する手法です。「経結膜的眼瞼挙筋短縮術」と呼ばれます。
目の裏側からアプローチするため、まぶたの外側には傷が付きません。

それぞれのメリット・デメリット

眼瞼下垂の手術を検討されている方は、「切る手術」「切らない手術」どちらのほうが良いか、迷われる方の多いでしょう。
そこで参考にしていただけるように、それぞれのメリットとデメリットを挙げてみます。

切る手術

【メリット】
・まぶたの表からアプローチするため、手術時の視野が広く、医師がしっかりとした処置を行いやすい。そのため機能改善効果が高い。
・中〜重度まで、どのタイプの下垂でも治療ができる。
・皮膚のたるみや、腫れぼったい目になる原因の脂肪も同時に切除でき、術後はすっきりとした目を目指すことができる。
 (ただし、自由診療の場合。保険診療の場合はたるみの処置は行いません)
・しっかりと糸で固定できるため、持続期間が長い。
・術後に左右差が出にくい。
・術後は二重まぶたになる。

【デメリット】
・術後に目の腫れが強く出ることがある。ダウンタイムが長い傾向にある。

切らない手術

【メリット】
・術後の腫れが少なくダウンタイムが短い。翌日から仕事に行けるほど軽い場合も。

【デメリット】
・裏まぶたの視野が狭いところから糸を留めるため、仕上がりに左右差が出る場合がある。
・重度の場合は、あまり改善が期待できず、不向きである。
・目の裏から糸で留めるため、皮膚の表面はノータッチ。そのため皮膚のたるみを取ることはない。
・術後にかけた糸の結び目が眼球にあたり、ゴロゴロしたり、角膜炎を発症する場合がある。
・処置の方法によっては、糸が取れやすい可能性がある。

ドクターコメント

Doctor comment
ドクターコメント

当クリニックでは、「切る手術」のみ行っています。ダウンタイムが少ないという点においては「切らない手術」は良い手術ですが、眼瞼下垂の治療を希望される方は40代以降の方が多く、皮膚のたるみも発現しているため、同時に切除したほうがより効率的だと考えるからです。また、10〜20代の方で眼瞼下垂を訴えて来院される人の多くは一重まぶたのため、二重まぶたをしっかりつくるという意味合いでも、「切る手術」のほうが良いと判断しています。
また、眼瞼下垂術は二重にする手術でもあります。保険診療では「切る手術」が対象となりますが、機能改善が目的のため、審美的な仕上がりは二の次になる傾向があります。目の手術は、デザインで成功が決まると言っても過言ではありません。美容クリニックなどで行う自由診療では、デザインだけでも30分以上かけて、末広型や並行型などなりたい二重の形を決めることが可能で、さらに目の大きくする目頭切開なども自由に組み合わせることができます。
当クリニックでも、ひとり一人の顔に合った理想的な目の形を、オーダーメイドで承っています。

この記事の監修

SSクリニック 柴田真一 院長

プロフィール
経歴
平成6年 岡山大学医学部卒業
社会保険中京病院(臼田俊和 部長)
虎の門病院(大原國章 部長)に勤務
平成12年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科 助手
平成16年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科 講師
平成20年 皮ふ科SSクリニック(現在 SSクリニック)開院
所属学会・資格
日本皮膚科学会
日本美容皮膚科学会
日本皮膚外科学会
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
日本皮膚外科学会評議員
日本アンチエイジング外科美容再生研究会 認定医
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