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HIFU
2019.12.27
顔のたるみや痩身の治療として行われるHIFU治療。気になる部位にマシンのカートリッジをあてるだけの手軽な施術なのに、手術級の効果が期待できると人気を集めている治療です。
このHIFU治療に使う機器(マシン)には、いくつかの種類があります。今回は、そのHIFU機器の種類や効果について詳しく解説したいと思います。
HIFU機器とは?
HIFU(ハイフ)とは、High Indensity Focused Ultrasound の頭文字の略称で、日本語では高密度焦点式超音波という意味になります。
HIFU機器は、超音波を体内の特定部位に集中させることで熱エネルギーをピンポイントで発生させて、組織を「熱凝固」させる機械のことです。狙った部位だけに熱エネルギーを届けるため、その他の組織を傷つけないといった大きなメリットがあり、病気治療の分野では前立腺がんの治療に用いられています。
美容整形外科や美容皮膚科では、顔のたるみや小顔治療、部分痩せなどの目的で使用されています。
HIFU機器には1.5mm、3mm、4.5mmの深さに焦点をあわせるカートリッジが用意されており、それぞれ「真皮層」「脂肪層」「SMAS(筋膜)」と作用させたい組織に的確に超音波をあてることができます。
HIFU治療のなかでも最もニーズが多いのは、リフトアップ治療です。HIFU機器が登場する前は顔の皮膚を切開する手術でしかアプローチできなかったSMAS(筋膜)を、肌に傷をつけずに熱凝固させて引き締めることができるため、「切らないリフトアップ手術」とも呼ばれています。同じメカニズムで、脂肪組織や筋膜層に熱エネルギーを与えて引き締め、腹部や二の腕などの部分痩せを図る治療も人気です。
代表的な医療用HIFU機器
日本では多くの美容外科や医療機関が導入して、美容治療としてすっかり一般的になっているHIFU治療ですが、HIFU機器はさまざまなメーカーが製造しており、特長も異なります。
現在日本で多く使用されている、代表的なHIFU機器を解説します。
ウルセラシステム
アメリカのウルセラ社が製造・販売しているHIFU機器です。
おそらくこのウルセラからHIFU治療が一気に認知され、全国に広まったと考えられるパイオニア的なマシンです。米国FDA※で初めてリフトアップ効果があると認められて、承認を受けている唯一の医療機器でもあります。
数あるHIFU機器の中でもパワーが強く、おそらく一番高い効果を目指すことができる最高峰マシンで、カメラで例えると一眼レフのような感じです。効果も半年以上と長期間の持続が期待できます。
ただしパワーが強い分、治療に痛みを伴い、治療前に鎮痛剤や麻酔クリームを使用するクリニックもあります。あまりパワーが強すぎると、顔面神経を傷つけるなどの合併症を起こす可能性もわずかながらあります。また、治療費が他のHIFU治療と比べて高額です。
※FDA(Food and Drug Administration,米国食品医薬品局):日本の厚生労働省にあたるアメリカの行政機関
ダブロ
ウルセラを真似てつくられた韓国製の医療用HIFU機器です。カートリッジはウルセラと同じ1.5mm、3.0mm、4.5mmの3種類です。
ダブロの特長は、超音波を広範囲照射してエネルギーを分散させるため、ウルセラと比べて痛みが感じにくいという点です。その分、効果の持続も弱く、数ヶ月〜半年程度の持続になります。
コントレックス
ダブロと同じく、韓国製の医療用HIFU機器です。ウルセラよりは痛みが少なく、効果は半年~1年程度持続します。
ウルトラセルQ+
韓国のJeisys(ジェイシス)社のHIFU機器です。
ウルセラのカートリッジは3種類ですが、こちらは2.0mmのカートリッジも備わっており、よりきめ細やかな治療が可能です。さらにウルセラにはない、ボディ用のカートリッジもあります。照射スピードが速く、短時間で治療を行えます。また、照射エネルギーを細かく調整しやすいため、痛みを感じにくいのも特長です。治療費も比較的手頃です。
ウルセラ以外のHIFU機器は、カメラで例えるデジカメのようなものです。ウルセラが先発機械で、それ付随するようにいろいろな機械がアメリカ以外の国から出てくるというイメージです。
医療用HIFU機器の効果
美容医療のHIFU治療は、組織を「熱凝固」させてタイトニングを図ることにあります。例えば脂肪層にあてると、脂肪が熱でぎゅっと縮まります。ちょうど卵をフライパンで熱すると締まるというような作用です。
HIFU治療後は、個人差はありますが、半年~1年程度で効果がうすれてきます。その後に時間が経っても、治療前よりも悪くなることはありません。
加齢により顔のたるみが強い場合は、HIFU治療の効果はあまり期待できません。顔の骨と皮膚をつないでいる支持靭帯(リガメント)がゆるんでしまっているため、筋膜や脂肪層へのアプローチでは、効果が弱いのです。この場合は、フェイスリフトなどの手術で、靭帯のゆるみを治療するほうが適応であると考えられます。HIFU治療は半年~1年程度のスパンで行うとよいですが、たるみが気になる人は3ヶ月くらいで追加照射することもあります。
エステ用HIFU機器との違い
医療機関ではないエステサロンなどでもHIFUと銘打った小顔ケアなどが行われています。エステ用のHIFU機器と医療用のHIFU機器は何が違うのでしょうか。以下にまとめてみました。
①出力(パワー)
出力は、イコール効果のことです。同じHIFUと銘打っていても、最大に異なるのはこの「出力」です。エステのHIFU機器は、医療従事者が扱える出力を出すことはできません。
またクリニックでのHIFU治療は、医師か医療従事者が安全に配慮しながら行います。そのため強い出力であるにもかかわらず、火傷やしこりのリスクはとても低いのです。
一方、エステではエステティシャンが行うため、熱傷や皮下硬結(深部の熱傷)の危険性があります。
②施術法
HIFU治療は、カートリッジを施術部位にあてるだけの治療ですが、何も考えずにただ漫然と照射するだけでは、以下のような問題が起こる可能性があります。
・解剖学に基づいた知見を有さないため、陥凹している部分がより目立つなど照射するとかえって逆効果になる部位にあててしまう可能性がある。
・神経解剖学の知見を有さないため、深い位置に照射するハンドピースで顔面神経にあててしまい、神経を傷つけたり一時的な麻痺を起こす可能性がある。
③コスト
エステサロンによっても異なりますが、大半はお客様に多くの回数の来店を促すようです。一方クリニックでは、個人差はありますが、一度治療すると半年〜1年程度効果を維持できます。
エステサロンのHIFUも決して価格が安いというわけではありません。コストを深くしてみると、案外クリニック治療の方がコスパが良かったということもあるかもしれません。
- Doctor comment
- ドクターコメント
HIFU治療は、手軽さとその効果の高さから人気となっている治療です。
ウルセラが登場して以来、さまざまな類似の機器が登場していますが、それだけニーズが高いと言うことでしょう。新しいHIFU機器が次々と登場しています。例えば、今まではドット(点)状に熱エネルギーが入るカートリッジですが、最近ではライン(線)状のものが登場しています。これは首のタイトニングにとても適しており、顔と首を一緒にHIFU治療することで、さらに効果が高まります。
治療費が決して安いとは言えないクリニックのHIFU治療ですが、それだけにしっかり効果を感じて欲しいと考えています。解剖学の知識を持つ医師が的確に照射すると、効果が10〜20%くらいの差が出るのではないかと感じています。
HIFU治療は、ぜひクリニックでお受けください。
この記事の監修
SSクリニック 柴田真一 院長
プロフィール
- 経歴
- 平成6年 岡山大学医学部卒業
社会保険中京病院(臼田俊和 部長)
虎の門病院(大原國章 部長)に勤務 - 平成12年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科 助手
- 平成16年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科 講師
- 平成20年 皮ふ科SSクリニック(現在 SSクリニック)開院
- 所属学会・資格
- 日本皮膚科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本皮膚外科学会
- 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
- 日本皮膚外科学会評議員
- 日本アンチエイジング外科美容再生研究会 認定医