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- 汗管腫治療は保険適用外?
費用の目安と自費治療のメリットとは
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汗管腫
2019.12.02
目の下などの周辺にできる汗管腫。思春期以降に発症し、30代を過ぎて目立ってくる肌色の小さなぶつぶつで、放置するとだんだん融合して大きくなってくる良性の腫瘍です。理由はわかっていませんが、女性に好発します。
痛みやかゆみなどは伴いませんが、目の周辺にできやすいため、治療を望まれる方が多く、必要な費用を準備する必要があります。
汗管腫の治療について、健康保険の適応の可否や、治療費の目安について解説します。
汗管腫治療は保険適用外
汗管腫の治療には、健康保険が適用となる有効な治療が少ないです。治療費は、全額自己負担の自費診療になります。
ところが汗管腫が老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)などの他の病気と誤って認識されてしまい、保険適用で治療されるケースがあります。
老人性疣贅は、皮膚の老化に伴って増えてくるイボの一種で、汗管腫とおなじ皮膚の盛り上がりが見られます。イボは肌の表面にできる表皮の疾患のため、マイナス196℃の液体窒素で表皮の細胞ごと破壊していく治療法が多用されています。イボと誤診された汗管腫は液体窒素で治療されますが、汗管腫は肌の内部(真皮内)で発生する疾患のため意味がなく、むしろ表皮が黒ずむリスクもあり、デメリットの方が多いと言えるでしょう。
なぜ保険適用外なのか
汗管腫は肌の内部で発生した腫瘍であるため、化粧品などのスキンケアで解消されることはありません。そのため、治療を望む患者さまも多いのですが、自由診療での治療に限定されています。
その理由は、汗管腫はガンのような悪性腫瘍ではなく、良性の腫瘍であるからです。
医者の中には治療の必要がないと考える者もおり、実際に病院や形成外科などで診察を受けて「これはしょうがない」「気にしないほうがいい」と言われて、治療されずに帰宅を促されたというケースもあります。
お金がかかっても治療をお勧めする理由
施術名:エルビウムヤグレーザー治療
治療期間:3ヶ月
費用:両眼 50,000円
施術のリスク・副作用:創の陥凹、もしくは肥厚性瘢痕
写真は当クリニックを受診された汗管腫の患者さまです。涙丘の上から目の下まで、びっしりとぶつぶつが発生しています。
汗管腫は放置していても健康には影響はありませんが、症状が進行すると小さな点が融合し、大きな面となる場合があります。実際に左目の写真では、いくつかのぶつぶつがくっついているのが見てとれます。
人と話すときは、目と目を合わせてコミュニケーションをとることが多いでしょう。その度に、目の周囲にあるぶつぶつが気になるという心理は非常に共感ができます。また、汗管腫は立体的な盛り上がりを伴うため、お化粧では隠せません。
汗管腫を治療する最大のメリットは、ぶつぶつと共に心理的な負担を取り除き、見た目を美しく整えるという点にあります。例えば美容皮膚科では、レーザー治療後の肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)という傷が盛り上がらないように、予防薬を処方することがあります。跡が目立たないような美しい仕上がりを目指すことができます。
汗管腫の発生の原因は解明されてはいませんが、取り除いたあとも再発する傾向があります。発生したら取り除くという、見た目をコントロールする治療が要求されるため、長期的に汗管腫を診てくれるクリニックで治療を受けられることをおすすめします。
美容皮膚科の治療と費用について
それでは、汗管腫の具体的な治療を解説します。
その前に大切なことがひとつあります。それは正しい診断を行うということです。
汗管腫には、形状が似ているために間違われやすい病気がいくつかあり、最初に述べた老人性疣贅もそのひとつです。誤った診断で誤った治療を行うと、前述のようなデメリットを被る可能性があります。
当クリニックでは、皮膚科専門医がしっかりと診察を行います。診断がつきづらい症例は、皮膚の組織を一部採取して顕微鏡で観察する生検(病理検査)を行い、正しい診断をくだします(保険診療)。
汗管腫の治療には以下のような種類があります。治療費の目安も合わせて表記します。
炭酸ガスレーザー 【治療費の目安:1個 8,000円】
波長10600nmの遠赤外線の熱エネルギーで、汗管腫を削る治療です。
出血が少ないのが特徴です。
エルビウムヤグレーザー 【治療費の目安:1個 8,000円】
炭酸ガスレーザーの10倍の効率で組織を蒸散切除して、汗管腫を削ります。
瘢痕を生じにくく、密生した汗管腫の治療に適しています。
針電気凝固法 【治療費の目安:下眼瞼全体で50,000円】
汗管腫のひとつひとつに表皮を保護する絶縁針を刺して、汗管腫の腫瘍細胞や、その周辺に増生した組織を熱で凝固させます。
侵襲が少なく、治療後に痕になりにくい、テープでの保護が不要といったメリットがあります。
どれか一つの治療法が優れているのではなく、汗管腫の大きさによって効果的な治療法は異なります。当クリニックでは上記3種類の全治療を行っており、しっかりと効果を出すことを目指しています。
- Doctor comment
- ドクターコメント
汗管腫の治療には費用がかかってしまいますが、コンプレックスによる心理的な負担を取り除くと言った点でも、必要な治療であると私は考えています。
汗管腫は診断が難しく、なかには汗管腫と正確に診断されても、治療を行わない医療機関もあります。そのため名医と呼ばれる医師を探すのにも一苦労でしょう。
SSクリニックは、多くの症例を診断してきた皮膚科専門医が、症状に合わせた複数の汗管腫治療を行うクリニックです。費用をかけてでもキレイにしたいとお考えの方は、ぜひカウンセリングにお越しください。
この記事の監修
SSクリニック 柴田真一 院長
プロフィール
- 経歴
- 平成6年 岡山大学医学部卒業
社会保険中京病院(臼田俊和 部長)
虎の門病院(大原國章 部長)に勤務 - 平成12年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科 助手
- 平成16年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科 講師
- 平成20年 皮ふ科SSクリニック(現在 SSクリニック)開院
- 所属学会・資格
- 日本皮膚科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本皮膚外科学会
- 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
- 日本皮膚外科学会評議員
- 日本アンチエイジング外科美容再生研究会 認定医